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第13話 召喚:ガルム

今回も短くてすみません!!!

明日は8:10に投稿予定です!

なにはともあれ、今のウツセミの山にスライムは不要だ。

さっさと次の魔物にいこう。


次の魔物は──っと、ゴブリンか。

召喚に必要な山ポイントは150ポイント。

──俺はゴブリンのページを見つめて、しばし頭を悩ませる。


”筋骨隆々とした人型の亜人種” とのことだが……


「(ゴブリンはいいかな……)」


声には出さず、心の中で独りごちる。

その理由は、極めてシンプルだ。


人型の魔物に対して、どうしても剣を振るう気になれないからだ。


もしゴブリンが──先ほどのスライムのように、今のこのウツセミの山にとって害悪な存在だった場合。

俺は先ほどのようにこの錆びついた剣をゴブリンに振るって、倒す必要が出てくるわけだ。


でも、前の世界の倫理観を持つ俺からすると、人型の生物に剣を向けるのはどうも抵抗があるんだよな。

スライムとかバジリスクみたいな、明らかに異形な生物なら倒しやすいんだけど。


ということで、こっそりとゴブリンを飛ばして、次の魔物のページを開く。

次は、このガルムとかいう魔物だ。

こいつも、召喚に必要な山ポイントは150ポイントでゴブリンと同じ。

”狼に似た姿を持つ小型の魔獣”──うん、大丈夫そうだ。


俺は迷わずページに指を滑らせて、スッと上にスワイプした。


──目の前に現れたのは、俺の腰ほどの高さを持つ、まさに狼のような魔獣。

ガルムだ。

召喚された瞬間から、喉の奥でグルルと低く唸り声を上げている。


「この魔物は……ガルムか」


「そうです、ご存じですか?」


「ああ。エルフと馴染み深い魔物だ。ガルムは森に住む個体も多いのでな。毛皮や牙など、利用価値の高い素材が多く、我々の狩猟対象にもなっている。眼球にエーテルを貯める特性から、眼すらも活用できる」


「なるほど、素材としての価値が高いんですね──ああっ!!」


──唸り声を上げていたガルムが突然、アサさんへ向かって跳びかかった!


「ガアアッ!!」


「アサさんっ! あ、危ないですわっっ!!!」


俺とミュリさんが反応する間もなく、ガルムの凶撃がアサさんに届くその瞬間。


「──ふん」


刹那の脚撃がガルムの顔面に突き刺さる。

アサさんが、目に見えぬ超速の蹴りをガルムにぶち当てたのだ。


そのたった一撃で、ドサッ、と鈍い音を立てて、ガルムはその場に沈んだ。


「……す、すごいですわ……」


「アサさん! だ、大丈夫ですか!?」


「ああ。この程度、造作もない」


平然と答えるアサさんは、さっきまでと何ひとつ変わらぬ落ち着いた表情だった。


「ガルムはかなり狂暴な性格をしている。こうして腹が減っているとすぐに飛び掛かってくるから、クロノとミュリも気を付けるんだぞ」


「は、はい……アサさんって、お強いんですね……」


「ああ。己が身を守れる程度の力は持っているつもりだ」


……よかった。無事で。


そうか、俺はこの山の中だと魔物から攻撃されないが、アサさんは普通に攻撃の対象になっちゃうのか……


──でも、この強さなら気にせずに召喚しても大丈夫かもしれない。

それくらい、あの脚一閃は華麗だった。

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