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第10話 召喚:グリフォン

評価やブクマ、是非よろしくお願いします!

説明文的にも、役割に適していそうだ。

ポイントはかなり重いが、まあそれは比較的すぐに貯められる。

今は、昼飯を守るほうが先決だろう。


俺は、上にスワイプした。


目の前に巨大な化け物が現れる。

ワシの頭と大きな翼を持った、四足歩行の魔獣。

グリフォンは長い尾をなびかせながら、鷹揚にこちらに目を向けた。


「ひいっ!?」


思わず声を出してしまう。


「大丈夫だ、グリフォンは知能が高い。クロノが召喚主だと分かっているようだぞ」


アサさんの言う通り、グリフォンはまるで猫が甘えるように、頭を優しく俺に擦り付けてきた。

な、なんだよ、かわいいやつだな。


「よ、よーしよし」


そっと頭に手を伸ばして、頭を撫でてやる。

すると、グリフォンは気持ちよさそうに目を細めると、尻尾を大きく揺らした。


「早速、随分と懐いているようですわね?」


「そのようだな」


「……わたくしも触ってみたいですわ」


「大丈夫じゃないか? なあ、グリフォン」


俺がグリフォンの目を見ると、グリフォンも見返してくる。

まるで意思疎通を図ろうとしているようだ。


「うーん、分からんが大丈夫だと思うぞ」


「適当ですわね!?」


ミュリさんがおそるおそる手を伸ばす。

グリフォンはミュリさんを驚かさないように、ジッとその場で動かなかった。


「――撫でられましたわ! いいこ、いいこですわ!」


「ふっ、ミュリは可愛いな」


そう言いながら、アサさんもグリフォンを撫でる。

みんなに撫でられて、グリフォンは気持ちよさそうにしつつも、少し恥ずかしそうにしていた。


「随分と毛並みが良いな」


「──さて、ふれあいの時間はそろそろ終わりにして」


俺は空を見上げる。

空には、俺たちのことなど意にも介さず、シルマリルの樹の実をつつくカムビたちの姿があった。


「全然ビビってないですわね」


「知能が低いからな。グリフォンとの力の違いを理解できていないんだろう」


「あいつら……俺たちの実を勝手に食べやがって」


俺がキッとにらむのをみて、グリフォンはどうやらカムビたちが敵だと認識したようだ。

カムビたちを見上げたまま、グリフォンは翼を広げると、空高く飛び上がった。


──そして、空中での一方的な殺戮が始まる。

グリフォンがカムビを前脚で掴むと、そのままシルマリルの樹に叩きつける。

叩きつけられたカムビはそのまま、俺たちの目の前にボトリと落ちた。


「……死んでるな」


アサさんがカムビの亡骸を持ち上げる。


「焼いて食えそうだ」


おっ、確かに!

久しぶりに肉が食えるぞ!


再び見上げると、グリフォンが残りのカムビたちを追いかけている。

カムビは逃げようとするが、そのスピードの差は歴然だ。

悠々と追いつくと、グリフォンはカムビに噛みつくと、荒々しく噛み千切った。

その間に、他のカムビたちはどこか遠くの空に飛び去ってしまった。


「すごいぞ、グリフォン!!」


俺が空に手を挙げて大声をあげると、グリフォンが地上まで降りてくる。

なんだか誇らしげだ。


「──見ろ、カムビを口にしたままだ」


グリフォンはカムビを地面に吐き出す。

翼が片方もがれ、ぐちゃぐちゃになったカムビだ。


「どうやら、クロノの許可が欲しいみたいだ」


グリフォンは俺をまっすぐと見つめている。


「ああ、もちろん食べていいぞ」


俺がそう言うと、グリフォンは伏せの姿勢になり、前脚で抑えながらカムビに齧りついた。


「本当に利口ですわね……」


「私もこれほどの個体は見たことが無い。相当な良個体だろうな」


「ま、マジか」


良個体、と聞くと何だか尚更愛着がわいてきた。

ペットとかはあまり考えていなかったが、グリフォンは野生じゃなくてちゃんと飼うか。


「ミュリさん、グリフォンは俺らで世話をして、野生の魔物を追い払うのに使おうと思うんですが……」


「いいですわね!!」


随分とあっさりだな


「グリフォンは人を乗せて飛ぶこともできる。私が鞍や手綱を作ろう。そうすれば、近くの街まで飛んでいけるはずだ」


「それなら随分と早く街に行けるはずですわ!!」


「……え、と、飛んで……?」


「なんだ、問題が?」


「い、いや……」


俺は、余り高いところが得意ではない。

高所恐怖症というほどではないが、ジェットコースターや飛行機は苦手なんだ。

ましてや、安全の保障が無い魔物の背なんて…………


「……私にしがみつけば、絶対に大丈夫だぞ」


「いやだからそれは……」


俺はアサさんの身体に一瞬目を落とすと、サッと目を背けた。


そのため、俺の態度を見てアサさんが一瞬だけ笑ったのを俺は見逃したのだった。


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