巡り
ーー羽音ーーーーバサバサ!バサバサ!と云うような音がして静かなこの地に突然何かがやってきた!鳥が一羽、不器用な羽音を立てながら空から落ちてきたのだ。翼はもうボロボロにやつれていた。鳥はその翼を懸命に動かしているが、その甲斐もなく急速に落下し、途中太い枝にぶつかりながら、蕾と一メートル程離れた地面に叩きつけられた。ほんの一瞬の出来事である。跗蹠の小刻みな震えも少しずつ消え、趾は張りが消えると同時に、力無く内側へ丸まった。目は光を失い、腹から押し出された、様々なものを含んでいるであろう、不思議な和音が鳴り響くーーまた静けさが戻ってきた。周りには飛び散った羽が散乱していた。そして、鳥は遂に動くことはなかった。
その場所には草々が、その瞬間を指をくわえて待っていたかと云うように、恐ろしい早さで生い茂っていった。彼らの根は深く、強く、地中に刺さっている。遠慮のない自然の内力が顔を見せた瞬間であった。樹々の影を器用に縫いながら、彼らも又光を求め、懸命に首を伸ばしていた。草々は、鳥の亡骸の端々からも顔を覗かせ、次第に腐敗する屍の、日に〻〻増えていく欠落を埋め、そんな勢いに鳥の姿は沈んでいった。
その間にも、時は刻まれた。そして、誰にも知られぬままに、白い蕾は少しずつ動き始めていたのだった。
)))))四部)))