さよなら8月のスイマー
夏は好きではないですが。
灼けた背中としぶきをのこして
夏が 第3コースのむこう岸へと
こっちをふりかえりはしないまま
ちいさくなっていく
画用紙みたいなビート板には
クレヨンで描きなぐって
25mを泳ぎきっても
クイックターンでもどってきたりせずに
こっちをふりかえりはしないまま
むこう岸へとひきあげるんだ
長いプールサイドをのんびりと歩いて
また こっちへ帰ってきたときには
日に灼けた背中も すっかり白くなって
ウエハースみたいなビート板につけた
かじりあとも すっかり消えて
来年の夏の顔をしたあんたは
また 背中をむけながら
また しぶきをあげながら
25mさきのむこう岸へと
こっちをふりかえりはしないまま
泳ぎだすのだろう
それまで ひとまず
さよなら8月のスイマー
クイックターンできません。