34:この世界にも和という文化があるようだ
どうも、ラグナです。
名前は人間たちが勝手にラグナロクと命名してたので自らこういうふうに名乗るようにしたんだよね。
まぁ、名前を名乗るところで別にこうと言った変わりなんてないから問題なかったけど、やっぱり名前の一つや二つぐらい欲しいよな?
で、そんなラグナさんですが…砂漠を抜け出し、東へ進んでるとちょうど良さげな竹林があったので、ここで羽休めしてるところだ。
ここはいいぞ。川のせせらぎに心地いい小鳥のさえずり…飯も川には鮭がいるんで問題ない。つまりここの環境は最高、言っちゃ悪いがワガママなお嬢様もいないわけだからな。
そんなとっても過ごしやすいこの場所だが、今までの地域とは一つだけ違う部分がある。
_ドンドンドンッ!!
『…また、か』
噂をすればなんとやら。
こんな人気のない竹林の奥底から太鼓を叩く音が聞こえてきたと思えば尺八の音色、鼓の音、そして三味線の弦を弾く音が聞こえてきた。
結論から言うと、ここに住まう魔物…いや、逢魔と言ったか?…が、お祭り騒ぎしてやがる。
ここへ来て早三日経過するが、この時間帯になると毎晩ああいった騒ぎが聞こえてくるので眠れやしない。
んで、一度苦情っつったらあれだけど見に行って話しかけたらよ…
『近イウチ、祭リガ始マル!!御前モ参加スルカ?』
と、片言ながら猿型の逢魔ことアマノジャクに言われた。
ふむ、祭りか。祭りってあれだよね?屋台が並んで踊ったり花火したりするあれ。
逢魔たちがその祭りをするとは到底想像出来ないが、相当でかい祭りなんだろう…あそこまで練習してるとなりゃどれぐらいの規模になるのか想像つかないぜ…。
というよりも、逢魔って言ったが…わかりやすく言うと妖怪だ。
アマノジャクだけでなく、オニを始めとしてイッタンモメン、ヌリカベ、ヒャクメ、ロクロクビなど色んなやつにあってきたんだが、どいつもこいつも祭りの準備で忙しいようで俺と争う様子なんてなかった。
つっても全部が全部って訳じゃない。獲物を取ろうとした所、ガキっつー小型の鬼達に襲われたことあるんで油断出来ないな。
当然、この地域に住む人間たちも文化が違っていた。
和服に刀、女に関しては手裏剣なんて持ってやがるんで、完全にここは雅の世界だ。
言うなれば日本。それも現代ではなく、戦国時代とかその辺りを連想するような服装だったな…どうも地域によって文化が違うらしい。
ま、祭りだろうが人間だろうが俺にとっちゃ関係ないな。
けど頼むから俺を巻き込むようなことだけはしないでくれ。それだけが心残りだな。
『…眠、たい…』
それにしても眠いな。まぁここ最近連戦続きだったから少しぐらい休んでもバチは当たらんだろ。
…しかしまぁ、なんだ。やっぱりあの出来事について気になってしかたないっちゃ仕方ねぇな。
あれだ、神と会った時の話。あいつはあん時俺の事情について何か知ってるような様子だった。
それ以来、ずーっとこうやって考えてるんだが…やっぱりというかなんというべきか、思い出せない。
それにあの光景…俺はあいつに殺されたのか?あの拳銃持ってるやつに。
今まではよくある交通事故からの異世界転生だと思っていたんだが、よりにもよって殺人事件の被害者として出てくるとはな。
…でもなんでだ?俺なんかそいつに恨まれるようなことでもしたか?
あとあの女誰だよ。声はどことなく聞いたことあるんだが…顔が塞がれてるって言うこともあってかどーしても思い出せない。
だが、ほんの少しだが手掛かりが掴めた。俺の死因はとにかく他人による射殺で間違いないだろう。
信じられんが、転生させたあの神っつー奴が言ってんなら納得する他ない。…まぁ、まだ状況の整理がつかないが。
…ま、いいか。考えても答えなんて出ないし、それにあの神が言うにゃ求めるものじゃなくて探し出すものっつってたから、この世界のどこかに俺の記憶に関係するもんでもある…気がする。
取り敢えず今日の考え事はここまでにしよう。色々ありすぎて疲れちまった。
んじゃ、おやすみなさい…。
地域解説
ムラクモ渓谷
遥か東に位置する地域で、紅葉や竹林が盛んで川の水が透き通ってることで有名な場所。
ここに住まう魔物は魔物と呼称せず、逢魔と呼んでは恐れ戦いてる。逢魔、とは鬼を始め…雪女、九尾、餓鬼、天邪鬼、一反木綿、塗壁などと言った妖怪の類の事を指す。
ちなみに動物もいる。主に虎、熊、鹿、梟、鮭などが生息しており、川が最も綺麗であるが故に、ここに住まう鮭はふっくらと太り、栄養も豊富なので近くに存在するとされるユタカタの里では鮭を主流とした飯が美味しいようだ。




