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赤竜転生録  作者: 42神 零
ビラ砂漠編
23/37

21:防衛戦

※今回は人によっては不快に感じてしまうシーンが含まれます。ご了承ください

「投擲、放て!!」



 両者が合間見える中、先に仕掛けてのは人間の方だった。


 品定めするかのように無い目で人間たちを見下しているデスワームをいいことに、爆薬を積んだ大樽を乗せた投擲機を発射させて先制攻撃を仕掛けた。


 多数の大樽が投擲され、その大半がデスワームに直撃。オレンジと黒の爆炎が舞い、その中でデスワームは触覚を蠢かせながらおぞましいような咆哮を放ち、ゆらゆらと左右に大きく巨体を揺らす。



「効いてるぞ!!」


「隊列はいい!!装填出来た奴からどんどんぶちこんでやれ!!」



 怯んだ様子を見せたデスワームを見た冒険者らはこの期を堺に調子に乗り、次々と投擲し続け、確かなダメージを与え続けた。


 そこからさらに追い打ちと大砲、バリスタ、魔法使いらによる魔法が放たれ、巨大であるデスワームの胴体へと次々に打ち込む。


 直撃した部分から出血が発生し、防衛線上は一瞬にして赤く染まり上げ、轟音と土煙が舞う戦場と化した。



「ははは!!撃ち放題だ!!」


「デスワームも大したこたァねぇぞ!!」


「押せ!!押し殺せぇ!!」


「人間様を甘く見るなよ!!ミミズめ!!」



 さらに調子に乗った人間らは罵声を合わせながら攻撃し、対するデスワームは大口を開いて地面に向けて首を曲げるとそのまま潜り込んで行く。


 あれだけの砲撃や攻撃に耐えきれず、逃げたのだろうと。勝手にそう思い込んだ冒険者らは大笑いするが…それはただの想像の話。



 _ズドォンッ!!



 デスワームの全身(上半身のみ)が砂の中に沈む直後、ちょっとした地鳴りが発生したと思えば防衛線の右翼に当たる箇所が爆発と共に吹っ飛んでしまった。


 被害にあったのは戦闘用小型船三隻に数十人の冒険者。うち、半数が即死して瞬く間に肉塊にへと変貌して地面に転がり落ちた。



「うわああぁぁぁっ!!」


「怯むな!!死を覚悟してここにいるんだぜ!!」


「国のために死ねるなら本望だ!!撃て!撃てぇ!!」



 被害が出てもなお攻撃の手を緩めない人間たちは引き続き決死の思いで攻撃を続ける。


 中には死ぬことを前提に接近戦を仕掛ける者も居たが、暴れ回るデスワームの前に攻撃するどころか吹っ飛ばされて余計な犠牲が出るだけに終わった。


 だがこの場にいるもの全員が決死の覚悟でやってきたのは本当のことらしい。現に怯みは見せているものの誰も逃げ出したりはしないのが何よりの証拠である。


 そんな人間らに対し、デスワームはさらなる行動に出る。口を大きく開いたと思えば、再び地面へと首を曲げると一気に砂を吸い込み始めたのだ。


 巨体故に規模の桁が異なり、残骸となった小型船をも巻き込み、大量の砂がデスワームの体内へと吸い込まれると圧縮され、開いた口を閉じては冒険者らに向けて視線を合わせた。



 _何か嫌な予感がする。



 そう感じた魔法使いらはデスワームの前方に複数のグラビオンの壁と巨大なガーディアンを展開させて完全防御態勢に入った。



 _ドオオォォォンッ!!!



 直後、巨大な爆発音が響いたと思えば地面全体を揺らがすほどの砂による大爆発が発生した。


 魔法使いらの防御展開により致命傷は逃れたが、衝撃波だけで吹き飛ばされ、重傷を負ったものが多数出現。戦闘の続行は無理だと判断された。


 どうやらデスワームはひとつ、ブレスを放ったという。最早ただのブレスではなく、砂嵐を連想させるような大爆発に戦意を削られた冒険者が多々現れることとなる。



「重傷者多数!!戦闘続行、不可能!!」


「構わん!!戦えるやつだけ迎え撃て!!」


「俺たちの後ろには関係ない民間人がいる…!!死なせる訳には行かんぞ!!」



 一瞬にして大量に現れた重傷者が運ばれる中、逆に数が減った無傷の冒険者らは引き続き大砲とバリスタ、投擲機を上手く使ってデスワームと交戦を続ける。


 攻撃は確かに命中している。だが、かの巨人族さえ一撃で吹き飛ばすほどの威力を誇る大砲でさえもデスワームの前ではただの豆鉄砲程度しか思えていないようで、こうと言った効果は見られなかった。


 ここで冒険者らは気付いた。最初に見せた怯みは攻撃によるものでない、ただ単に攻撃されて驚いてただけだった、と。



「撃て!!撃てぇ!!生き物である以上、死ぬ筈だ!!撃てぇ!!」



 威勢だけは一丁前だが、残念なことに現実は揺るがない。


 豆鉄砲は豆鉄砲でも鬱陶しいと感じたのか、デスワームは体を捻らせて地面に潜り込むと、再び顔を出し、防衛線上の左翼部分に目掛けて奇襲を仕掛けた。


 同じように吹っ飛んだ小型船に冒険者たちだったが、先程とは異なってデスワームはそのまま直立したまま真横へと倒れ込んだ。


 その先には大型船五隻のうち、二隻が…



「逃げ_」



 倒れてくる巨体から逃げようとする冒険者。だがその足も時期にデスワームの胴体に追いついてしまい、土煙と共に下敷きになってしまった。


 グシャリと聞きたくもない生々しい音が耳を塞いでも聞こえてくる。結果的に大型船二隻を失ったが、デスワームはこれで終わらせるほど甘くはなかった。


 上体が倒れたデスワームを他所に、今度は右翼側から爆発音が聞こえると同じような太くて長く、穢れた土色の尻尾が飛び出してきた。


 デスワームの尾である。巨体だけでなく、全長だけで軽く数百メートルを越すデスワームの胴体が上体と下体合わせて同時に襲いかかってきたのだ。



「やばい!!退避しろ!!潰されるぞ!!」



 中央に置かれた大型船の上にいた冒険者が叫ぶ。


 それに応えるようにと大型船の上を走り、尻尾の薙ぎ払いから逃れようと全力疾走するが、目の前で吹き飛ばされ、砂の上に叩きつけられた。


 まるで強風に散ってしまう枯葉のように飛んで行った冒険者複数が瞬く間に死に、残った人間はデスワームの圧倒的な実力の前に絶望する他なかった。



「だ、ダメだ…!!兵器も効かないし、魔法も通用しない…!!一体どうすれば…!!」



 大自然に生きる生物の前にただただ絶望する冒険者たち。


 生きるために必死なのか何故か祈りを捧げているものまで現れたが、デスワームからすればそれはただの餌に過ぎない。


 戦意が削がれ、攻撃の手が緩んだことを言い事に、デスワームはヨダレを撒き散らしながら口を開き、残った大型船一隻ごと飲み込もうと迫ってくる。



「嫌だ!!嫌だあぁぁぁ!!」



 逃げる冒険者、それを追うデスワーム。


 最早勝負の行方など見えてるような状況だったが…





「…え?」



 …だったのだが、ここで異変が起きた。


 襲ってきたデスワームだったが、何かに攻撃されたのか糸が切れたようにピタリと止まると、そのまま体がバラバラになって崩れ落ちてしまったのだ。


 突然過ぎて状況が読み込めない冒険者たちは、呆然としたままその謎現象の前に固まっては脳の処理を行い、同じように目を丸くして凝視する。



「この場にいるもの全員が、俺の魔法を見て同じ反応をするってことは…」



 誰かいる。


 デスワームの死体が落下してきたことにより発生した土煙の中に誰かがいると気付いた冒険者たちは声を聞いて我に返るとそちらの方向へと視線を向けた。


 どこからかなびいてきた風によって舞った土煙が晴れると…



「やっぱり、俺の魔法が弱いってことだよな?」



 そこにはなんの取り柄もない、黒髪の青年が済ました顔で佇んでいた。

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