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赤竜転生録  作者: 42神 零
ビラ砂漠編
22/37

20:巨大蚯蚓

 さて、急にだが困ったことがある。


 あの後結局、明日の予定など考えながら見張りを続け、日が昇ったところである連中がやってきてだな。


 この広大な砂漠を巡るように設計されたのであろう砂上を移動する小型船に乗り込んだ、まさしく俺たち盗賊ですよと言わんばかりの服装をした奴らだ。


 そいつらは俺を見るなりなんなり「赤竜だ!」だの「こいつが噂のラグナロクか…!」だの言いたい放題言った後に剣を抜き出してはこちらに襲いかかって来たんだよ。



(え?ラグナロク?俺ってそんな名前で呼ばれてるの?)



 なんて思いながら最初にやってきた盗賊団グループを尻尾で薙ぎ払い、吹っ飛ばしてやったのはいいが…それ以来警戒してんのか無理に手を出そうとしてこない。


 ちなみにシャンティアは俺の頭の上に乗っかって何か調子の良さそうな顔をしながら盗賊団グループを見下している。…王女よ、それでいいのか?


 さてどうしたものか。確かに人間がやってくること自体想定していたが、まさか盗賊系の人間とはな。ここは異世界だから居てもおかしくない…なんでそこまで予想してなかったんだ、俺は。


 と言っても人間はドラゴンに到底叶わないようで…剣は鱗を通らないし、弓なんて弾かれる一方。魔法は…ちょっと痛い、特にボル系の魔法が。


 それに今の俺は大切な王女様がいる。こいつが傷つかないように、今度こそ慎重に戦わなければな…。



「何をしとる、赤竜!!昨日のブレスなら余裕じゃろう!!」



 頭の上でギャーギャー騒いで角を引っ張ってくる王女。


 いやいや、盗賊とはいえ相手は人間だ。何かしらの理由がない限り俺は人間を殺すつもりなんてないから大規模な攻撃なんてするつもりないぞ。


 それにこれはいい訓練だ。今まではただ単に力を発揮するため全力で何事もやってきたが、全てがそれで解決するわけじゃない。


 今の俺に足りないものは、加減。そう、力加減だ。


 この先こうやって人間と遭遇する場合はなるべく殺さないように意識しなければならないことがあるだろう。そのために殺さない程度で痛めつけなければならない。



「バリスタ!構え!!」


『!!』



 っと、なんて考え事してたら砂上船に備わった大型のバリスタが一斉にこっちへ向き始めやがった。


 頭ん上に王女がいてもお構い無しってか?さすが盗賊、やることが汚い。


 とりあえずバリスタは受けて耐えれるような自信が無いので翼を広げて一旦バックしよう。



「発射!!」



 ほぅら、発射してきやがった。


 致命傷ほどのダメージは喰らわねぇが、痛いもんは痛いから嫌なので…



『シャン、ティア…!』


「仕方ないのぅ。ガーディアン!!」



 俺の合図で頭の上に乗っかっていたシャンティアは頭の飾りの宝石を光らせると俺全身を纏えるほどの防御結界を展開させた。


 その結果、直撃しようと真っ直ぐ飛んできたバリスタ弾は結界に当たると弾かれ、そのまま砂上の上に落下した。


 よし…この距離なら…。



『グルォアアァッ!!』



 首を振りながら炎を放射させ、盗賊団…ではなく、砂の上を燃やすと炎の壁を展開させた。


 当然炎の耐性がない盗賊らは炎を前にして足がすくんで動けず、遠回りしようとしてるようだが…そこに火球を放ってはわざと外し、爆風で吹き飛ばしてやった。


 逃げるなら今だな。


 そう考えた俺は羽ばたいて上昇し、そのままアンビラス王国へと方角を向けて飛行を続ける。



「くそ…逃げられた!!」


「追跡は無理だ!怪我人の救助を優先しろ!!」



 追ってくる気配は…ないな。ふーっ、よかったよかった。


 しっかし、この世界にもやはりというかなんというか…盗賊っつーもんがいるもんだな。今後はそいつらの注意もしなきゃならんとなると、骨が折れるぜ…。



「おい赤竜!!何故初めからあれをやらなんだ!」


『喉、完治、してない』



 撒けたのはいいが、昨日から動き続けてるもんだから喉がヒリヒリする。


 今後のブレスは最終手段として運用しようと思ってる。もうシャンティアに構ってられるような状況じゃねぇ…なんて真正面から言えねぇよな。



『ここ、から、ブレス、なるべく、控える』


「ぬ…そ、それは仕方ないのぅ…」



 …なんか通じた。無理も言ってみるもんだな。


 我儘とはいえ、流石にそこまで鬼畜王女ではない。それは昨日でわかったことだから今度から自分の意見を言ってしまおうと、そう思った。


 よし、面倒な奴らと会うのもなんだ。とっととアンビラスに向かって、シャンティアを…


 ………。



『………』


「お、おい。どうしたのじゃ?急に静まり返って」



 …なんだ、この胸騒ぎは。


 以前にも似たようなものを感じたが、こういう時に限って嫌な予感っつーもんはよく当たる。


 あの大蛇に会った時と同じような…そんな感じのいやーな予感だ。


 それに音と匂い。微かだが、地上から何かが蠢いているような…そんな音と血塗れの匂いがする。


 何がなんなのかわからん。だが近くに何かが砂の中を泳いで移動してることだけはよく分かった。


 方向からして…っ!?



『まずい…!!』


「ぬおぉっ!!」



 突然の旋回に驚きを隠せないシャンティアだが、今はそんなもんどうでもいい。


 野生として生きてきたためか、感覚が以前より鋭くなった俺は危険信号を受け取り、地面の中…いや、正確には真下にいる何かの気配を感じ、そのまま旋回して距離を開けた。





 その直後、俺がさっきまで飛行していた箇所からつき上がるように巨大な体を持つ何かが飛び出すと口を開いて襲いかかってきやがった…!



「ば、馬鹿な!!こやつは…!!」



 シャンティアは何か知っているような反応を示したが、今はそんなことどうでもいい!!


 この巨大な何かが何なのかよく知らんが、今の俺はこいつには勝てない!それだけはハッキリと分かる!



『逃げる…!全速力…!』


「う、うむ!!」



 長くて巨体を持つ魔物が横に倒れ込むと、轟音を鳴らしながら砂塵が舞い上がり、風に乗られて瞬く間に砂嵐が完成された…!


 なんだこいつ…!めちゃくちゃすぎるぞ…!!


 くっそ…ダメだ…!!砂嵐に追いつかれる…!!逃げられ_






 ・・・





 ・・





 ・





 場所は変わり、アンビラス王国・前線防衛線付近にて。



「…なぁ、本当にデスワームが活動を開始したのか?」


「そんなこと俺に言われても知らん。だがこんな大規模な防衛線だ…嘘をついてるようには思えない」



 用意出来るありったけの砂上船を横向けにして、一種の壁と化したこの防衛線は、対デスワーム用として大砲やバリスタが置かれており、それを忙しなく確認や手入れをする冒険者らの姿が見えた。


 デスワーム。それはこのビラ砂漠の頂点に座する超大型の蚯蚓型の魔物。


 目撃情報はいずれデスワームの体の一部のみで、本来は地中深くに身を沈めては掘り進めて移動しているというが、巨体故にデスワームが移動を始めるとその衝撃によって砂塵が舞って砂嵐が出来るとされている。


 つまり存在そのものが人類の驚異になりかねない。なのでこうしてデスワームが現れた時は討伐ではなく撃退を前提としての構成で防衛線を築き上げているんだとかなんとか。


 だが、今のところビラ砂漠の天候は快晴。砂嵐などどこにも見当たらないので本当にデスワームが活動したのかどうかも疑わしいような天候だった。


 そんな天候を前にして誰しもが思うだろう。本当にデスワームが動き出したのか?と。



「ん?」



 だが、その考えも次の展開によって打ち砕かれてしまう。


 冒険者の一人が双眼鏡で周辺を確認していた時のことだ。なにやら一隻の小型船がこちらに向かってくるのが見えた。


 偵察船だ。丁度周辺の見回りが完了して帰還してきた、と言ったところなのだろう。


 だがどことなくなにかから逃げてるように見えているが、その予想通り乗組員全員が揃いに揃って顔を真っ青にしながら小型船を動かしている。


 この時点で目と目があった冒険者の一人は嫌な予感が過ぎるが…。





 悪い予感とはよく当たるものなのか…小型船から離れて約五百メートル辺りから見たくもない巨大な砂嵐が意志を持ったかのようにアンビラスへと向かってくるのが目に見えた。



「て、敵襲!!敵襲うぅぅぅ!!」



 そこからの行動は早かった。


 双眼鏡を投げ捨て、敵襲の合図を知らせると冒険者らは各々戦闘配置に着いては大砲とバリスタ、後方に備えられている投擲機を用意し、いつでも迎え撃てるようにと準備をする。


 さらに安全を考慮して、街の壁上に立っている魔法使いらが協力し、同時詠唱すると街全体に巨大なガーディアン結界が張り巡らされた。


 正直この防御結界では心持たないが、砂嵐程度は防げるため、張らないよりはマシだろう。


 それだけに留まらず、防衛線上にいる魔法使いらは多くの冒険者らにバフ系の魔法を与え…



「グラビオン!!」



 防衛線が届かない箇所に地震属性の魔法を地面に向かって放ち、黄色の巨大な岩が顔を覗かせ、壁のように展開された。


 最早完璧な盾に完璧な矛を持った防衛線。その前に立ちはだかるのは巨大な砂嵐だけではなく…



 _ズドォンッ!!



 やってきた偵察船の周辺の地面が盛り上がると爆発したような音が響くと同時に無様に吹き飛んでいった。


 幸い魔法のエアロにより致命傷には至らなかったものの、小型船一隻が無駄となり、壁に当たっては無残な残骸のみ残ってしまう。


 だが、乗っていた偵察冒険者らはそんなことに構ってられるような状態じゃなく、慌てた様子で正面を見つめることで精いっぱいだった。





 そこには円型の巨大な口とおびただしい数の牙、そして指のようにへし曲がった顎のような触覚が計十本持っている巨大な蚯蚓…デスワームが姿を現したからだ。


 顔を出したデスワームは野太い咆哮を放ち、その大きな口を開いて牙を覗かせた…。

今回登場した魔法紹介





・グラビオン

地震系統魔法の最上級に値する属性魔法。地面から土で構成された氷柱型の岩を発生させ、対象の体を貫く。

また、今回のように防護壁のような応用も可能で、耐久性も消費魔力によって変動する。


土は固く、あらゆるものを通さないが吹き飛ばされる故か疾風属性に弱い。

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