17:ビラ砂漠到着!!…したけどなんか幼女がいるんですけど、どーしたらいいの?
新章突入
今回からは砂漠が舞台です
「おいドラゴン!!妾は空を飛びたいのじゃ!!なんとかせい!!」
『………』
すまんな、急すぎて誰だこいつって感じだと思うが…安心してくれ、俺も同じ心境だからな。
えっと、まずは場所について話しておこう。
なんか騒ぎを起こしてしまった俺はやばいと感じてアンデルミナ平原を後にして、三日間かけて飛行した結果、ここビラ砂漠にやってきたわけなんだが…第一に暑い暑い。本当に暑い。
だから長旅の休憩がてら日陰があるこのオアシスで休憩してたら、こいつがいた。っていう感じ。
見た目は赤髪に焼けた肌が目立つ美女。幼さが残る顔付きでこの地特有の服装なのか露出度が多めの服…アラビアンナイトの世界、と言えば想像できるだろうか?
背は低い。つまり幼女であり、当然胸もちっさい。なんでこんな砂漠のど真ん中に幼子がいるんだ?わからないな…。
そんな問題はさておき、さらなる問題がひとつ。こいつの性格、すっげぇ我儘。
自己中とかそんなんじゃない。なんか自分の思い通りにならなかったらすぐ拗ねるとかそんな感じだ。
『女、黙れ。喋るな、食い殺す』
なので正直ウザいと感じた俺は追い返そうと普段使わないであろうキツめの言葉で喋ってみたんだが…
「ぬおっ!?お主喋れるのか!?凄いのぅ、ドラゴン!!」
…逃げるどころか何故か驚かれた挙句、感心されてしまった。いくら冗談交じりとはいえこいつの神経どーなってんだよ。
恐怖心というもんがないというかなんというか…こいつは気になるもの全てに対して興味津々といった感じで目を輝かせてやがる。
いやまぁ、なんだ?見た感じ冒険者ってわけじゃなさそうだし、危険はなさそうだな。…正直な話鬱陶しいが。
「ふっふっふ、ますます気に入ったぞドラゴン!今日からこの妾…シャンティアがお主を飼ってやろうぞ!!」
『…断る』
「なぁにぃ!?何故じゃ!!何故断るのじゃ!!」
いやいや、何故って…それ俺が言いたいよ?何の理由であんたのペットにならなきゃなんねぇんだよ。
つか、今初めて名前聞いたな。シャンティアっつーのか…一応、いちおーう覚えておくとしよう。
『俺、ドラゴン。お前、人間。住む世界、違う』
無駄だと思うがとりあえず言い訳を揃えてみたが、これが現実的だろうな。
シャンティアは人間で俺はドラゴン。それに空を焼いたとなると大騒ぎになるし、人間が何をしてくるのか分かったもんじゃないし、想像もしたくない。
だから分かってほしい。俺は人間の街には行けない…まぁ本音を言ってしまえば行けるなら行ってみたいが。
「嫌じゃ嫌じゃ!!そんなの認めないのじゃぁ!!」
そんな俺の淡い願いは聞き届かず、シャンティアは俺の頭に勝手に乗っかると角を引っ張ってはジタバタと暴れ出した。
こら、やめなさい。痛くないけど角を引っ張るんじゃありません。言葉の使い方から察するに多分成人なんだろうが見た目があれだからほしいものを強請る小学生にしか見えんぞ、みっともない。
しかし、何故こんな小さい子がこんな砂漠のど真ん中に?魔物とかいるから危険なんじゃないのか?
武器らしいものも見当たらない。かといって魔力も…感じられるが戦えるような多さでもない。
それに加えてこの我儘っぷり…これらから察するにシャンティアってまさか…。
『…人間。お前、何者?』
「よくぞ聞いてくれた!!妾はこの先にある一国・アンビラス王国の王女 シャンティア=アンビラスであるぞ!!さぁ称えよ、ドラゴンめ!!」
はぁ…やっぱりか。なんとなくそう察してはいたけどやっぱり王族の人間かぁ…。
最悪だ。平穏を求めてこの地にやってきたばかりだというのに、よりによって何故最初の遭遇が王女様なんだよ。
こいつが戦えるほどの実力がないのは不幸中の幸いだが、一国の王女様だ。今時そのアンビラスとかいう国は大パニックになってんだろ?
んで、ここから俺の予想というかなんというか。めっちゃ戦闘力ある執事とかいてよ、そいつと会った場合…俺は…。
『人間。アンビラス、どこだ?』
「む?あっちであるが…お主、本当に妾のペットに_」
『ならぬ』
「むうぅ!!何故じゃ何故じゃ!!」
それは絶対にない。
いくらこいつが良心的な生活環境だとしても人間の街に住み込むなんて無理がある。人間とドラゴン…いや自然界の生物の共存など無理な話だ。…家畜という立ち位置なら話は別だが。
さてと、そのアンビラスの方角は分かった。ここから西に飛べば辿り着くわけだな。
少し疲労は残っているが…そんなこと言っている場合ではない。こいつを送り返さないと後々面倒なことになるんでとっとと済ませておこう。
『人間。気、変わった。掴まれ、落とされるな』
「ぬ?お主何をするつもりじゃ?」
何をするかって?あんたがさっきまで飛べ飛べ騒ぐんでお望み通り飛んでやるんだよ。正直気は乗らんがな。
「ぬおっ!?」
疲労が完全に取れていない翼に鞭を打ち、広げて羽ばたくと宙を舞い、一気に上昇しては風に乗って空を飛ぶ。
なんか頭の上ではしゃいでいる声が聞こえるが、気にしちゃいかん。無視だ無視。
「ひゃっほう!!高いのう!!風が気持ちいいのじゃ!!」
こら、暴れるな!空を飛ぶ時ぐらい落ち着けお前!
あ、ちょっ!首が…た、頼む!!やめてくれ!!目が回って…ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
・・・
・・
・
その頃、ビラ砂漠中央オアシスから西に約数十キロ先。アンビラス王国はというと…。
「おい聞いたか?あの王女様、また逃げ出したらしいぜ?」
「あー、またか。いやまぁそんな気はしてたけどよ。もう何回目だ?」
「えっと…三十四回目?」
「懲りないな、あの人も。毎回探しに来てる王族様も大変だな…」
もういつものことなのだろう、ギルド関係の構成員らはさほど気にしていないようだった。…ただ王族関係者を除いては。
「姫様ああぁぁぁ!!どちらに行かれたのですかああぁぁぁ!!」
今日も今日とで王国中に彼女専属の執事の叫び声が木霊した。




