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赤竜転生録  作者: 42神 零
アンデルミナ平原編
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09:異変の前兆?

※今回は人によっては不快に感じるシーンがあります。ご了承くださいませ

 いやいやいやいや!ちょっと待って!?


 ダメだよダメダメ!!なんだよあのドラゴンは!?


 せっかく可愛い女の子二人を見つけたってのに、助けちゃったの!?え、なに!?馬鹿なの死ぬの!?


 というよりも…動けなかったぞ…。おかしいな…チートを貰ってるはずなのに、あの激闘の中に入り込むことすら出来なかった…!


 こんなことあっていいのか?既に神の前で訓練とかしてる筈なのに、恐怖心がそれを邪魔して足を引っ張ってきやがる…!!


 …ここではっきりと分かったのかもしれない。この世界は小説のように自分の思い通りに行くような、そんな都合のいい世界ではないということを…。


 てかそうだよ。よくよく考えてみればさ、いくらどんなチートを得たとしても戦闘経験のない俺のような奴があんな化け物共とまともに戦えるとでも思うか?


 訓練してきただと?いやいや!実戦となると話変わってくるじゃん!


 だってさ?いきなり野生の大熊と拳でやりやってこいなんて言われたらどうするよ?無理じゃん!死にはしないと思うけどまともに動けないでしょ!


 怖いわぁ…やばい、本当に異世界怖いわぁ…!この先一体どうすればいいんだ、俺は…!



_ゴロゴロ…


「んお?あんちゃん、珍しい服着てんな。どっから来たんだ?」


「えあっ!?」



 び、びっくりした…。ちょっと考え事してたら反応が鈍ったな…相手が人間でよかったぜ…。


 それに馬車を引っ張ってるところからして多分行商人か何かなんだろう…って今はそんなことどうでもいいんだよ!



「わ、悪いな…ちょっとそれは言えない…です」



 自然と敬語が出てきてしまった。心が弱ってる証拠なのか?ちくしょうめ…。



「お…そりゃ悪かったね。しかし丸腰じゃないか、よかったら乗っていくかい?隣国に用があるんでそこまでなら送ってやってもいいぞ?」


「マジっすか!?」



 か、神様は俺を見捨ててなかった!!あー、よかった…運がいいというかなんというか…。


 あんなもん見せられた後だ…平原のど真ん中と魔物が怖いとしか感じられないよ…。



「おぅよ。最近ここの魔物の様子がおかしくてな、つい最近だとドラゴンの出現によって探索に出た冒険者が行方を眩ましてるっつー話だよ」


「え?」



 ま、まさかさっきのドラゴンのことか…?



「なんでも生き残った冒険者が言うにゃ、「目の前で仲間が生きたまま飲み込まれた」とかそんな話だったかな。とにかくいい話は聞いていないぞ」


「………」



 あ、ダメだ。もうダメだ…心のどこかでポッキリと何かが折れたような音が聞こえてきた…。


 じゃあなにか?さっきの連中は運良く逃げられたってこと?おい…冗談だろ?


 つか待ってよ。生きたまま?丸呑み?食われた?え、心臓を捧げよってか?あいつそんなに恐ろしい存在なの?


 ………こりゃ、もう決まりだな。うん。



「な、なぁおっちゃん。ちょっと聞きたいんだが…」


「ん?なんだ?」


「…商売人、ってなろうと思えばなれるのか?」



 冒険者、辞めよう。


 ハーレムが作れないのが惜しいが、命より大切なもんなんてない。


 折角の二度目の人生だ…調子乗って死ぬより懸命に働いて生きて行った方が数千倍マシだ。


 あぁ、父ちゃん母ちゃん。俺は死後、この世界でも苦労しそうです。





・・・





・・









 いやぁ、びっくりしたびっくりした。


 無事に獲物をゲットしたのはいいが、まさかコカトリスだったとはなぁ。


 こいつはグリフォンと違って危険度はさほど高くないものの石化するブレスを吐いてくるニワトリ野郎なんだが、実は熱を与えるとドロドロに溶けて効果を打ち消す効果があるのだ。


 イチかバチかでやってみたんだが、案外出来るもんだな。この時ばかりは進化した喉に感謝しなきゃならん。


 ただ味は…固くてあんまり美味しくない。だが命を奪った以上感謝しながら完食するしかないな。


 それに今の魔物の連中がどこに行ったのかも分かんねぇし、仕方ないよな…。二日前まではそこら辺走り回ってたのに一体どうしたんだよ。


 まぁ、難しいことはどうでもいいか。自然界で生まれたのならルールはひとつ、やるかやられるか…それだけの話だから何かありゃ戦う他ないか。


 …しっかしまぁ、あの人間。まさか二年前に遭遇した女じゃねぇか。向こうも向こうですっかり冒険者になったって感じだったな。


 あとは知らん。なんかごつい鎧を着込んだ護衛みたいなやつと…絵に書いたようなお姫様がいた。


 あれだよあれ、髪型ドリル。現実で見ると毎朝整えるの大変そうだなってちょっと思っちまった。


 戦う理由もないし、大人しく退いといた。まぁ、そもそも人間襲うつもりなんてこの先ないと思うけどねぇ…変なことはしない限り、な?


 さて、腹ごしらえもした事だし…今日も今日とてちょっとした訓練でもするかな。


 親離れしたとはいえ、教えて貰ったことは忘れずにな。毎日欠かさず自分なりのメニューを作って訓練してるんだぜ。


 そりゃ戦闘が当たり前のようにある世界だ。生き抜くためには自分を鍛える他ないだろう。


 んじゃ、今日は相変わらず苦手である水泳の練習から始め___





_ズズズ…



 …なんだ?今なにかが這いずるような音が聞こえたが…気のせいか?


 鼻もコカトリスの血肉の匂いで効き目が悪いし、何しろ森林地帯は視界が悪いのに加えて飛行制限も掛かっちまうが…俺の気のせいか?


 …ま、いっか。今日は一生懸命泳いでやるぞー。ついでに鮭も大量にゲットするぜ。





・・・





・・









 …その頃、アグザリオ王国に位置するとあるギルドにて。



「最近アンデルミナ平原の森林地帯が危険だと聞いた。こいつは俺の出番か?」



 ある男が動き出そうとしていた。

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