閑話 世界のどこかで
はじめにその世界の基本となる理が出来上がった時、その者は、力を以て世界に干渉はしないと決めた。そこに生きる者達こそが世界の命運を握るのが正しいと思えたのだ。
それにその世界が大きく歴史を重ねていくうちに、ちょっとした干渉であっても、それが大きすぎる影響を生み出しかねないものだというのは、何故だか最初から知っていた。
それならば、世界を管理するのに、感情など要らないのではないかと誰かが言った。心を持たない己の人形を作り、仕事だけを正確に行う代行者としたのだ。その世界は暫くは繁栄したものの、いつの間にか生き物がほぼ絶えたという。
長い長い間、心を無数に飛ばしてセカイを覆う。
思うのは未来。
この世界が穏やかに続きますように。
続く明日。未来。その間に生き死には目まぐるしく繰り返されて行く。増えたり、減ったり、緑に覆われたり、それを火で燃やし尽くそうとしたり。
いや、繰り返しではない。それぞれが一回きりの生のはずだ。
こうしていると、それを忘れそうになることに気づいた。こうしていると、どれほどの時が流れたのか気づきにくいことにも気づいた。
だから、偶然にも、無数に飛ばしたココロの欠片同士が集まり、とある世界の不均衡が話し合われた時、これまた偶然ある人間の魂を引き受けたその時、少しだけお願いをした。
———1ヶ月に1回程度、神殿で祈りを捧げてほしい。




