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【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……  作者: ひらえす
第5章 廻る世界

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6.隠者的調査と休憩と独白


「…綺麗」

 思わず呟くと、カルラをはじめ側にいた精霊達だけでなく、ピクニック場所にいた子達も声を上げていた。

「おっきいですね!」

「キラキラしてますの」

 しばらくはその紋様に見入っていたのだが……とにかく情報量が多かった。

(情報自体は…この木の歴史……かな?ああ、もしかしたらこの紋様自体が年輪みたいなものなのかな?)

 おそらく、その時々のマナの出入りというか、生産量のような物なのかもしれない。単調なようでそうでもない、整頓されているようでそうでもない…共通点があるようで違う。適当に突っ込んだ書類箱のような、とにかく何かの情報を読み解くには向かないような印象だった。

(…まあ、とりあえず『木』だし…)

 一度紋様をコピーして、息を吐いた。実の所、この作業が必要かどうなのかも分かっていない。とにかく推測するにも情報が少ないので調べているのだ。しかも、その推測を立てるにあたって、自分の常識が当てはまらない可能性も多いにあるわけで…情報量が多い中、何を探したら良いかもわからないというか手探り状態なのだ。


 集中が切れそうなタイミングで立ったままで休憩を挟む。座ってしまうと、なんだか立てなくなる気がしたのだ。

(…なんだか、不思議だ)

 ふと、そんな風に思った。

(こんなふうにバタバタ忙しくするつもりなんて無かったのに)

 苦いコーヒーを口に含んで世界樹を見上げた。

(私、アイテムボックス片手にこの世界の人に一切関わらずに生きるつもりだったはずなのに)

 目の前にはとても解析し切れないように思える紋様。枯れかけた大樹。おどろおどろしい色に染まり、沼のように足が沈む大地。多少回復したとは言え明らかに弱っているだろう、精霊王と呼ばれる者たち。

(私、意志が弱かったのかしら)

 そうだ。とにかく誰かの好意も悪意も、厚意も気遣いも全て振り切っていれば、きっと『誰にも関わらない生活』は送れたのだ。こんな風に明らかに自分の手に余りそうな、この世界の自然の摂理の根幹のような、大それたことに関わることもなかったはずなのだ。

(こんなはずじゃなかった、か………)

 ふふ、と思わず自嘲の笑みが漏れた。きっと、かつての私も何かの折に思ったのかもしれない。胸の奥に押し込めた何かが、ドロリと向こうで首をもたげる。

(……可笑しいね。忘れていても気持ちは…印象のような物は残っているみたい)

 そもそも……心で独り言を呟きながらコーヒーをぐいっと飲み干した。

(セカイさん……人間って変わっちゃう生き物だってことで、許してもらえますか?)


 そうだ。私は『好きに生きる』のだ。

 たぶん、このドロッとした部分も共に。



 ———マナは世界樹から生まれて世界を巡り、ここに帰ってくる。

 ———その巡りがおかしい。

 ———魔の森を巡って争いになった頃だな。


 苦いコーヒーが喉の奥を通り過ぎるのに合わせて、気分が切り替わった。


(うん、いい休憩だったかも)

 

そろそろタイトルをちゃんと考えたいのですが…難しいです。

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