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【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……  作者: ひらえす
第2章 繋がりは繋がっていく

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4.いつもの朝と精霊の草


 いつになくスッキリと目が覚めて、散歩がてら家の周りを歩きつつ、何故か薬草畑に自生しているハーブを摘む。朝ご飯のサラダに入れるつもりだ。

 そろそろ冬が近い為、外の空気は冷たい。意識して息を吐くと、ほわりと白くなる。

「そろそろ冬ね。今年は雪はどうなるかなあ?」

 実は家とその周りは、気温をある程度調節する機能を持たせた結界を重ね掛けしてあるため、雪は積もらない。完全に暑さ寒さを感じないようにする事もできるのだろうけれど、これまでは自分が衣服で調節できる程度で不自由を感じなかったので、そのままだ。

(カルラ達に聞いてみないとね。もとが虫だし…)

 光虫は寒さが苦手で、越冬はするものの、大抵は番を見つけ、卵を産んで一生を終えるタイプの虫だった筈だ。

(もう、あんまり虫とは関係なくなってる気もするけどね…)

 彼らは、自分たちを精霊だと名乗った。この変化は、やはり調べないといけない。

(あとは…)

 精霊達は、今のレイヴァーンではどういう存在か。連れ歩いて大丈夫なのかどうか。アーバンさんやギルマスサブマスにそれとなく聞いてみるかな。

「おはようございます主様、我らもお手伝いしますよ」

「おはようございます。食べごろ、採りましたのよ」

 水と風の精霊ペアのイシュとハルがやってきて、いつの間にかハーブを摘んでくれている。摘んだハーブはポケットに入れるかのようにどこかに消えて…

「空間収納?使えるの?」

「少しですが使えますよ、主様。おはようございます!あと、勝手かとは思いましたが、お湯を沸かしました。お茶、紅茶、コーヒー、どれにしましょうか?」

「ありがとう…じゃあ、いつものインスタントコーヒーで」

「はい!お任せください!」

 思った以上に至れり尽くせりでびっくりした。

「主様、これ甘くて美味しいですのよ」

「日が当たる前に摘まないと、苦くなるのですよ」

 ハルが初めて見る肉厚の葉っぱを差し出してきた。

「これは、岩がうまくウロになっているところにあったので、まだ日に当たらなかったんですの。だから大丈夫なのですわ」

「このまま食べていいの?」

「それが1番なのですわ」

 私の手のひらに葉っぱをてんこ盛りに載せて、真面目にうんうん頷くハルが可愛くて、思わずなでなでしてしまった。

「うふふ。ありがとね。いただきます」

 葉っぱの大きさは1センチ×2センチくらいの葉っぱ型。そのまま口に放り込んだ。噛むと清涼感と甘みが広がった。ミントキャンディにも似ているが、ミントよりもっと清涼感はあるのに冷たい感じはせず、むしろすっきり甘くて美味しい。

「これ、みんなも好きなの?」

「精霊草、嫌いな子はいないと思います」

 イシュも揃ってうんうん頷いている。

「じゃあ、これも朝ごはんにしようか」

 傷みやすいという精霊草を自分のアイテムボックスに入れて、家に入る。

 そして、私は朝食時に、この精霊草を両手で持ってもぐもぐ食べる精霊達の可愛らしさに悶絶することになる。


(か、かわ…可愛い……!)


◇◇◇


 いつものようにバルガに向かう道中でキノコと薬草を摘んでいく。今日も綺麗なものが採れたと思う。

「あのね、今日はどこか図書館のような所に行ってみたいんだけど…」

 今日私に付いてきた精霊は、カルラと闇と水の精霊ペアのファイとファーナ。赤ちゃんへのお守りの見極めがしたいらしい。

「主様のお望みのままに。街に入ったら情報を集めましょうか?」

「まずはギルドで聞いてからね。その時は頼むね」

「はい!」

 荷物は基本的にアイテムボックスにあるので、忘れ物は無い。

 背負い籠にいつもの納品物を入れて、今日は木になっている果物をいくつか採る。あとは、ミリィさんの好物らしいマッシュというキノコと、その色違いの亜種。

「主様、どうしてその、トショサン?トショカンに行きたいのですか?」

 カルラは図書館を知らないようだ。

「図書館っていうのは、本を沢山集めた所。一般人にも開放されてて、ある程度自由に読めるようなら、調べ物がしたいの」

 そう、調べ物。アイテムボックスの中の電子書籍化されてる本や鑑定で大抵はわかるけど、どうやら私の知識は色々と今の一般常識とは違う気がする。とりあえず平穏に過ごせるように、ある程度の『今の常識』を知りたくなったのだ。

「主様…本、多分沢山無いよ…?」

「主様、本って貴重品だった筈ですの…」

 水闇ペアに言われて、思い当たることもある。

(うん、紙が凄く高かったんだよね)

 ちょっと気がかりでもあるが、なにか資料室みたいなものでもいい。探してみよう。


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