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【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……  作者: ひらえす
第2章 繋がりは繋がっていく

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1.光虫観察日記?


 光虫たちを捕獲テイムしてから、一応毎日ノートにその様子を書き留めている。何を食べたか、特に変わった行動があったか無かったか…なんて事はないのだが、彼らを見ながらペンを走らせていると、たまに空中に何かを描くように飛び回る個体がいるのに気づいた。

 私が書き始めると飛び始め、書き終わると止まる。模倣なのか、もしかしたら何か伝えたいことがあるのだろうか。捕獲テイムの恩恵なのか、彼等の漠然とした意思は伝わるのだが、細かいことは流石に分からない。でも、光虫達はだいぶ賢いのではないだろうかと思えるような行動を取ることが増えてきた。採集に出ると辺りの警戒に当たってくれているようだし、バルガの宿屋では、私が部屋の魔法的な調査をするのに合わせて、部屋を飛び回り、自身の光を波のように変化させて、跳ね返ってくるなにかを解析しているようにも見えた。

「意思の疏通が出来るようになれば…」

 モールス信号みたいなのを決めるとか…それとも…

「テレパシーとか、なんかそれっぽいの無かったかな…」

 アイテムボックスの中を検索して、いくつかの本をピックアップする。


 念話入門

 通心の書

 心話のすすめ


 上2冊は遠く離れた物や、声を出せない状態での話をする事に関して書かれていたり、他には相手の心を探る方法なんてのも書いてある。3冊目は、従魔獣術に関連する物で、捕獲テイムして従魔にすると、心の中で会話が出来る種類があると書かれている。

「でもなぁ…」

 あくまで会話が可能なのは一定以上の大きな個体であると書かれていて、そもそも虫などは捕獲テイムしても長続きせず、その場限りでしか使えない、という風にと書かれている。

「この子達には当てはまらないよね…」

 それでも、参考くらいになれば、と午後はその本を読んでは気になった部分を書き出してみる。

 ふと窓の外を目をやると、畑には薬草の花がさいていて、秋の風がそれを揺らしている。光虫は、その花の蕾を撫でるように翔んでいる「早く咲かないと冬になっちゃうよ」とでも言っているのだろうか。

「植物とは話できてたりして」

 独り言を言ってから、花と光虫たちのことをノートの端にメモした。


「…あー…平和……」

 空は青く、高く、辺りは静かだ。先日のあの事件?が遠い世界のことのように感じる。

 しかし、のびをした拍子に、首からかけたペンダントの青い石が、現実だよと主張するように揺れた。外していても良いのだが、アーバンさん達から緊急の呼び出しがないか気になってしまって、外せないでいた。ちなみに、あれからすこし改造して、ギルドからの連絡は青、アーバンさんをはじめ、使い切り通信石からの連絡は赤く光り、魔力を込めた地点がマップに表示されるように設定した。

「元気かな、ミリィさんと赤ちゃん」

 連絡がないのは元気な証拠だと分かっていても、あそこまで関わってしまった手前、気になってしまうのはしょうがないよねと自分に言い訳する。出来るだけ他人と関わりたくないと言い切って転生した手前、なんと無く矛盾している気がするのだ。


 心話の本を読み終えた頃には、外は夕焼け空だった。アイテムボックスの中の物で適当に夕飯を終えて、つらつらと考える。

「従魔とは、話が出来る…」

 話ができるのは、いわゆる言語が使える従魔に限られるということだったが、もしそれが言語の理解ということであれば、光虫は確実に理解していると言える。

 さらに、従魔は能力の共有が出来るとも書いている。たしかに、探査の能力などは光虫も微弱ながら使えている気がする。

(多分何かを見落としているんだ…)

 アイテムボックス内を検索して…ちなみに、この検索機能は、分かりにくいところに設定画面があって、使えるようになったのはしばらく経ってからだった…設定画面まで行って、検索関係のところを隅々まで見ていると、関連書籍を整理するという項目を見つけた。

「なんでこんな大事なことを見落としてたのかな…」

 チェックボックスをオンにして、画面に戻る。すると…

「『従魔獣契約の書』に、『主従契約の書』…?」

 捕獲テイムとは違うのだろうか? 気になる内容を書き出していく。

「契約することで、主人に不利な事は出来なくなる…なんか奴隷契約みたいで嫌かも…ああ、でもそこは契約する時に変えることも出来るし、無理矢理はできない、と…」

「もっとも繋がりを強くしたい場合は、相応しい名前を付ける…」

 そこを書き出した時だった。

 光虫1匹、が、ぶーーーーーん!ぶーーーーーーわんっ!とものすごい音を立てて飛んできて、私の頭にぼすん!とぶつかった。

「えっ? 大丈夫⁉︎」

 ぶんぶんぶん!

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