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【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……  作者: ひらえす
終章

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2.世界のどこか


 地図にない場所。

 この世界のどこかではあるけれど、そこには無い場所。


 そこは、かつては地図の上の地続きの場所にあり、それぞれに大樹がそびえていた場所だった。

 レイヴァーンという世界ができた時、その世界を巡るものをマナと定められた時に、たまに出てしまう澱を浄化する機構として最適だと決められた物だった。


 生き物が増え、言葉を話す者が増え、マナを———魔力を力として使うようになると澱は当然増えるのだが、それでも大樹はゆったりと大きな力で世界を癒していた。


 幾度か消えても

 幾度か燃えてしまっても

 命のサイクルが回らずに途絶えて枯れてしまっても……


 レイヴァーンのどこかで大樹は息を吹きかえすように芽吹く。

 その時々、それぞれの場所で。


 それを見守り、決して途切れぬように調整するのが、その者の仕事であり、存在意義だった。


(この世界のはじまり……?)


 久しぶりに、自我としての意識が浮上していた。

(いや、覚えていない……?)

 長い長い時間の中、意識を無数に薄く広く飛ばしているうちに、いろいろな情報は薄れていくようだった。

(それでも……)


 1ヶ月に1回でいいです。神殿で祈りを捧げてください。


(人間には重すぎるものを持って生きる対価に、そんなことを頼んだ……?)


 時として薄れて、途切れそうな意識を呼び覚ますために。

 その瞬間に、確実に彼女の命を感じるために。


 彼は、遠くからしか見ることのできない物たちが、それぞれただ唯一のものだと思い出させてもらうために。

 彼女は、自分のもつ情報と物をほぼコピーした能力を持つ代わりに、彼は今後彼女を直接導いたり、助けることもできなくなる。


 この世界に存在しているが『生きることは無い者』と、本来はこの世界で人と交わって『世界で生きる』ゆえに、もう関わることはないだろう魂は、そんなワガママな約束を、お互い決めたのだ。



「……決めたのに」

「……もう決して会えませんとは、あなたは言わなかったから」


 茶色の髪と同色の瞳が、微笑みを湛えて彼を見ていた。



「こんにちは、セカイさん」



 光が、彼女を包み込んだ———





本編はこれで終了です。

思っていたより長い話になりました。

ラストもこれを書くか書かないかで相当迷いましたが、

せっかくの処女作なので、最初に考えたラストにしました。


ここまで書けたのは、読んでくださった皆様のおかげです。

本当にありがとうございました。


この後、番外編を3つほど考えています。

蛇足になるかもしれませんが、リッカがたどり着くまでの話と、精霊達の話、バルガの話の予定です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 登場人物が優しくてホッとした。 世界観厨な私にとってかなり楽しい世界観でした。 例の論文の件も緩やかに話が進んでるのがなんだかよかったです
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