探し物~幼馴染みの行方~
3英雄の力を無事にかりる事ができたダウ。
次に向かう先はいったいどこになるのだろうか?
「お待たせ」
外で待っていた僕に料理屋から出てきたコックさんが声をかけてきた。
コックさんは料理屋の入り口に鍵をかけ、定休日の看板をかける。
「さて、準備完了ね」
武器防具を着けたコックさんは先程まで店にいた時とは明らかに雰囲気が違っていた。
「じゃ、自己紹介しとこうか?
まだ、名前も聞いてなかったね。
私は絶剣殺の称号を受け継ぐ女剣士ソーラ」
「俺は一撃必中の称号を受け継ぐガンナーゾル」
ゾルは料理屋の裏から乗ってきた馬車の運転席から名乗った。
「で、グルが獣人王のグルだ」
荷台からひょっこり子どもの顔が出てきて名乗る。
今は人の姿のようだ。
「僕はタルラス村から来ました。ダウです。
よろしくお願いします」
僕の自己紹介を聞いて3英雄が顔を見合わす。
「なるほど、それでいろいろ納得いったよ」
ソーラは頷きながら荷台に乗る。
「ほら、ダウも乗って。
道すがら教えてあげるよ」
僕も荷台に乗り座った。
「いいよ、ゾル。お願いね」
「おう」
ソーラの言葉に元気に答え、ゾルは馬車を走らせた。
「さて、さっきの納得いったの話をしようか」
荷台の端ではいつの間にか獣の姿になったグルが寝そべっていた。
時たま大きなあくびをしている。
「私達のお爺ちゃん達が国外追放になった話はしたよね」
黙って頷く。
「どうして西の方には飛ばされなかったと言うと、西には元魔王が住む城があったの。
お爺ちゃん達が魔王を倒した後、自然崩壊したんだけど、跡地から強大な魔素力が溢れだしてそれを抑える為に、王が神殿の司祭と数人の冒険者を派遣したの。
で、その冒険者達はお爺ちゃん達を英雄と信じてた人達だから真実がばれるのを恐れたのね。
それで東には誰も飛ばされなかった訳」
「なるほど」
「で、ここからなんだけど、たぶんダウやシンクはその冒険者や司祭の血をひいてるんだと思う」
「え?でも、お爺ちゃんは普通の人だと思いますよ。
父からそんな話聞いた事ないですから。
でも、何人かのお爺ちゃん世代の人は僕が生まれる前になくなったって言ってた」
「ええ、私も聞いた話だけど、その魔素力から大量のモンスターが発生した事があってその時、冒険者や司祭の人達は抑え込みには成功したけど亡くなったって聞いたわ。
お爺ちゃんがそれを知った時は全てが終わった後だったから助けに行けなくて悔しがってた」
「王がじいさん達にこれ以上有名になってほしくなくて連絡しなかったんだよ」
そこまで、自分の立場って大事なのか。
「今の王はどうかは分からないけど、師匠の頃の王は自分の保身が一番で国民の為と言いながら自分の都合が良いようにしてたな」
「ま、暗い話はこれまでにして、そういう事情だからダウの幼馴染みが向かった場所も大方検討が着くよ」
「そうなんですか?」
「ええ、たぶんシンクは司祭の血をひいてるんだと思う。
司祭はその時に封印を施した人だから、シンクにもその力が宿ってるんだと思う。
それを利用して封印を解くか弱める事で魔王復活、シンクの体を乗っとるつもりね」
「それじゃ、今向かってるのは」
「ええ、貴方の故郷タルラス村よ」
そして、僕達は僕の故郷でもあるタルラス村に向かうのであった。
「見えてきたね」
途中起きて人型になったグルは運転席の横から遠くを指差す。
「え?見えてますか?」
僕は荷台から身を乗り出すがよく分からない。
「ま、獣人と人では見える距離が違うから普通は見えないわな、俺には人が出歩いているのが見えるけど」
ゾルは手綱を上手にさばきながら言った。
「相変わらずゾルは目が良いな」
隣でグルが笑う。
「ゾルの場合はスキルのお陰だけどね」
荷台でソーラも笑っていた。
「スキルですか?」
荷台に座り直し、ソーラに聞く。
「ええ、私達はそれぞれ自分に合ったスキルを1つずつ持ってるのよ。
そういえば、ダウはコクリと別れる時に体に触られたりした?」
「え?」
不思議な事を聞いてくるソーラに別れた時の事を思い出す。
「あ、触られました。
がんばれよって肩を」
「そっか、ダウはコクリに気に入られたみたいだね」
「触られると何かあるんですか?」
なんか少し怖いなぁ。
「ん?いや、別に呪いかけられたりした訳じゃないから」
ソーラが笑う。
余計に怖くなるよ。
そんな他愛もない話をしていると、故郷に着いた。
村の外にある馬車を止める場所に乗ってきた馬車を止め、僕達は村に入っていった。
なんか村がいつもより騒がしい気がする。
「お、ダウ。帰ってきたのか」
僕の隣の家に住むおじさんが僕を見かけ声をかけてきた。
「うん、今さっき」
「それは良かったすぐに村長の家に行ってくれ。
ダウならどうにかなるはずだ」
「え?」
そういうとおじさんはまた忙しく走っていった。
それから村長の家に行くまで会う人、会う人に「助かった」「これで大丈夫」と声をかけられた。
「頼りにされてるんだね」
隣を歩くソーラにそう言われたが、ここまで頼りにされるのは初めてなんだけどなぁ。
「こんにちは」
僕は村長の家のドアを開く、するとそこには村長の他に数人の村人が集まっていた。
「おお、ダウ帰ってきたか」
村長は少し疲れた顔をしてこちらを見た。
「何かあったんですか?」
「ああ、ダウが呼ばれて村から出ていってから少しして、シンクが村に帰ってきたんだよ」
「え?」
村長の言葉に僕は3英雄達を見た。
3英雄は無言で頷く。
やっぱり3英雄達の予想は当たっていたという訳か。
「もしかして、シンクがいなくなったんですか?」
「そ、そうじゃ、よく分かったな」
「いや、村中総出であっちこっち何かを探してるように走り回ってたので」
「あ、そうじゃな、あれを見れば何かを探しとるぐらい分かるわな」
「村長、シンクの向かった所に心当たりがあります」
「な、それは本当か?」
僕の言葉に村長が驚く。
「ええ。ただ、1つお願いがあるんです」
「なんじゃ、言ってくれ」
「村の奥にある洞窟の入り口を開けてほしいんです」
「な、なんじゃと」
僕のお願いに村長はまた驚いた。
「あそこは厳重に鍵をかけて誰も入れんようにしておる。
そんな所にシンクが行くわけはないじゃろう。
なのになぜあの扉を」
そう慌てながら言う村長の言葉を遮るように、村人が慌てて部屋に入ってきた。
「そ、村長、大変だ。シンクちゃんの行き先が分かった」
「それは本当か?」
「ああ、村の奥の洞窟に入っていったそうだ」
「な、なんじゃとうぅぅ」
またまた村長は驚ろいた。
あれから部屋にいた村人達は家に戻った。
洞窟が開かれたとなると、何が起こるか分からない為、それぞれ準備をしにいったのだ。
「まさか、シンクが洞窟の鍵を持って行ったとはな」
あの後、村長は鍵の保管場所を調べたが鍵はなかったとの事だ。
村長には3英雄の事は町で雇った冒険者だと話、自分達が冒険者の子孫ではないかと聞いた。
「そんな事まで知っておったとはな」
机には僕と3英雄、村長がついていた。
「ダウの言うとおりワシの奥さんが司祭さまじゃ」
村長が言うにはもともとここには村があり、そこに司祭と冒険者が来たとの事だった。
魔王城はここからはかなり離れているのだが、3英雄達が魔王を倒した後、村の奥にある洞窟が魔素力の影響で遥か彼方の魔王城と繋がったらしい。
もともと、この洞窟の奥には魔素力を封じ込めた石が合ったらしく村に来た司祭はそれが引き合ってのではないかと言っていたらしい。
「昔からうちの村はその魔素力の石を管理する為に作られた場所だったのじゃ」
「そうだったんだ」
「それなら、この村の人達はもともと冒険者達の村だったのでは?」
ソーラが村長に聞いた。
「ええ、そうです。
ワシの先祖達も3英雄さまのように有名ではなかったですが上級の冒険者達だったそうです」
「これから、僕達はシンクを追います」
僕は村長に言った。
「ありがとうなダウ。
あの時、2人を引き離したというのに」
「あの時は仕方なかったんですよ、それにシンクもどこか決心していたようでしたから」
「すまん、シンクの事を頼む」
「はい」
僕の返事に笑顔を作り頷く村長。
「だがな、今からは夜になる。
シンクの事を気にしてくれるのはありがたいが、今から向かってダウ達に何かあっては困るからな。
明日出発したらいい、今日は疲れをとって休んでくれ」
「分かりました」
僕達は村長に別れを告げて、3英雄を僕の家に案内した。
途中、重装備をした村人に会いどこに行くのか訪ねると、洞窟からモンスターが出てこないように数人で見張るとの事だった。
普段の姿からは考えられないが、この村の人達って本当に冒険者の子孫だったんだな。
家に着き、3人にはご飯を出した。
料理人にご飯を振る舞うのは緊張したが、3人とも満足してくれたみたいだ。
そして、僕達は明日に備えて寝る事にした。
シンク待っててくれ必ず連れ戻してやるからな。
トゥールトゥトゥトゥットゥットゥ~




