探し物~幼馴染みと3英雄~
とある村に住む1人の青年のお話。
彼に待ち受けるのは魔王か幼馴染みか
僕は今、名もない街道を歩いている。
別に当てもなくでもなく、目的があってこの道を歩いているのだけど、その目的地が本当にあっているか怪しい。
どうせ目的地まではまだある独り言言ってる変な奴かもしれないが、状況をもう1度確認しておいた方が自分の為になる、はず。
事の発端は僕の住む小さな村の仲の良い女の子が、国王のいる城に呼ばれた事だった。
その子は村周辺ではすごく美人で要領もよくとても優しい子だった。
僕とは幼馴染みで小さい頃からよく一緒に遊んでいた。
そんな子が村に御触れを出しに来た役人の目にとまり、城に呼ばれたのだ。
王は自分のハーレムを広げるために国全土から女性を集めていたらしい。
別れる時、彼女は行きたくないと泣き崩れていたが、役人が大勢で迎えに来た事、彼女が行かなければこの村に送られている国からの物資が止められる事などから、彼女はしぶしぶ城に向かった。
その時、僕はというと村長の納屋の中で縛られて寝かされていたんだ。
迎えの前日に彼女を村から連れ出そうとして、彼女と逃げている時に村の連中に見つかり、捕まえられていたんだ。
彼女が城に向かった後、村長からは「すまない」と涙ながらに謝られた。
自分の1人娘だ、村長も行かせたくはなかったんだと思う。
それから1ヶ月が過ぎた。
僕はやる気が出ないまま、家の畑を手伝ったり、村の人の頼みで探し物をしたりしていた。
引きこもる事も考えたが、食べていくには働かなければならなかった。
両親の脛をかじるような姿は彼女には見せたくないと思ったからだ。
そんなおり、城から僕へ呼び出しがあった。
別に何も悪い事をしてないが、呼ばれたからには行かなければ行けない。
僕は役人に連れられ城に向かった。
運が良ければ彼女に会えるかもしれないと期待して。
城に着いた俺はさっそく王に面会するように言われた。
巨大な城の中、僕は歩く。
どんだけお金を出したらここまで巨大な建物が建つのか呆れながら歩いたっけ。
王の間に着く。
王座には50代ぐらいの1人の男性が座っていた。
その両脇には美しい女性。
でも、どちらも彼女ではなかった。
「よく来たな」
僕は頭を下げたまま王の話を聞く。
「頭を上げてよいぞ」
上げて良いんだ。
僕は普通にその場に立った。
「名はなんと言う」
「はい、ダウと言います」
「そうか、ダウよ。
今回そなたを呼んだのは、シンクについての事だ」
シンクは僕の幼馴染みの女性の名だ。
「彼女に何か」
「うむ、失踪した」
「え?」
王の言葉に耳を疑う。
だってこんなに人が大勢いる城でいなくなるなんて、門には門番も大勢いたけど。
「私も驚いている。
だが、真実だ。
彼女は1週間前にこの城から姿を消した。
そして、その後に我が城の宮廷占い師がある事を言ってきた」
「ある事?」
「そうだ、シンクは自分からいなくなったのではなく操られてこの城から出たとな。
そして、その操っているモノは封印されたはずの魔王だと言うことだ」
「ま、魔王ですか?」
「そうだ、伝承によると魔王は封印される時に自らの身体をこの世界に誕生させ、その身体を使ってこの世界に復活すると書かれている」
「それじゃ、シンクがその魔王の身体?」
「そうとも言えるし、そうではないかもしれぬ。
先程も言ったように身体をこの世界に誕生させる為の母体にシンクは選ばれたのかもしれん」
「そんな」
「それでじゃ、ダウよ。
そなたが探し物を見つけ出す達人と聞いている」
王の言葉に顔をあげる。
ま、確かに村ではそう言われているけど。
「いや、別にそこまですごくはないです」
「いや、そなたがこの城に来るまでの間、馬車の中でそなたのスキルを調べさせてもらった」
そういえば、何か水晶に触るように言われたっけ。
「その結果、そなたがユニークスキルの持ち主である事が分かった。
スキル名は『探し物は何ですか?』だ」
えっと「何ですかそのスキル名は?」
「私も初めて聞くスキルなのだが、スキル鑑定士が言うには、このスキルを持つものが探し物を言われ探すと必ず探し物が見つかるのだそうだ」
そうなんだ。
「いくつか条件はあるらしいのだが、ほぼ見つける事ができるらしい。
そこでそなたには2つの事を頼みたい。
まず1つ目はシンクの事を探してもらいたい。
そして、もう1つは3人の英雄の子孫を探してくれ」
「英雄の子孫?」
「そうだ、3年前にある事情から一線を退いた3人の者達だ。
魔王がもし復活するなら、彼らの力が必要なのだ。
もし、その2つの事がなし得た時は何でも褒美を与えよう」
なんでもか、どうせ口約束だろうけど、シンクの事は心配だ。
「分かりました」
「そうか、引き受けてくれるか、いくらかの軍資金は用意した。
受け取り直ちに出発してくれ、よい報告を期待している」
そして、僕は数ヶ月は暮らせるであろう軍資金と簡単な装備を受け取り城を後にした。
ま、これが目的なんだけど、今向かっているのはその後に出会った人が教えてくれた目的地だ。
城を出た僕は目的があっても目的地が見つからず街をぶらついていた。
情報収集をしようと思ったが勝手が分からない場所でどこに行けばいいか分からなかった。
そんな時に路上で声をかけられた。
水晶を机に置いた占い師だ。
「もし、そこの迷える青年さん」
「ん?僕ですか?」
占い師はフードを深く被って顔半分隠れていたが、口は笑いながら手招きしていた。
その時は行く当てもなかったし、僕は占い師の前に座ったんだ。
「先程、無理難題を言われて途方にくれてる感じだね」
しゃがれた声で喋る占い師。
かなり、怪しかったが言われた事はあっていた。
「それじゃ、今日始めてのお客さんだ。
サービスしておこうかね」
そう言って、占い師は目の前の水晶に手をかざしながら何やら呪文を唱えていた。
「見える。
これより街を出て、東に進むがよい。
その道なりに一軒の料理屋がある。
そこの店で料理を頼み、料理人に事情を話相談する事が吉と出ておる」
ここから東と言うと僕の村がある方角か。
でも、道なりに料理屋なんてあったっけ?
「では、気を付けて行かれるがいいじゃろう」
「お代は?」
僕は懐からお金をだそうとする。
「いや、今はいいよ。
次にあった時に払ってもらおうかな」
そう言って占い師は店をたたみ始める。
「今日は終わりかい?」
僕も席を立つ。
「ああ、しばらくは退屈しなくてすみそうだからね」
占い師は店を片付けると後ろの路地へと消えていった。
そして、僕は占い師の言われたとおり東に向う街道を歩いていると言うわけだ。
あれから、半日くらいは歩いたかな。
ま、街道を歩いているお陰で少なからず人が行き来をしていた。
街道にはある特殊な結界が張られているようで、モンスターや盗賊は襲ってこれない。
しかし、周りは木や草だらけで店なんてどこにも見当たらないよなぁ。
しばらく歩くと目の前に森の入り口が見える。
確か、村から来る時も通ったよな。
この森の中にも街道が続いているから、その上を歩けば安全だ。
森の中を歩くと馬車や人とたまにすれ違うくらいで人通りは少なくなっていた。
「ん?」
僕はある場所で立ち止まる。
周りは背の高い木に囲まれて、枝も上の方にあり見渡しはいいはずなのに、この一部分だけ背の低い木が数本街道沿いに立っており、枝も下の部分から生えているからその奥が見えないようになっていた。
来る時も馬車とはいえ、ここは通ったはずなのになんでこんなに気になるんだろう?
よく見ると木の間から奥に続く道らしきものも見える。
周りを見渡すと、他の旅人は何も興味がないように僕の後ろを通り抜けていた。
「たぶん、ここが目的地だな」
僕はなぜか分からないけど確信を持って木の間に入っていった。
長らくお待たせしました。
新章に突入です。
今回は戦闘はほとんどない予定。
1人の青年が大事な物を探すお話になっています。
皆さんに読んでいただけたら嬉しいです。
あと、評価くださった方とても嬉しいです。
ありがとうごさいました。




