運送屋。お客のその後。
私はクロノに腕を捕まれ、気がつけば荒れ地の真ん中にいた。
ここがどこなのか。
私は世界の真実の断片を知る事になる。
「こ、ここは?」
「あんたが行きたいと望んでた上界さ」
私は目の前の荒れ地を見渡す。
何もない、町もなければ草木もポツンポツンとあるだけの荒れた大地。
「そんなバカなことがある?
私が聞いた話と全然違う」
「そりゃそうだろうさ、実際に上界に上がったやつなんていないんだから」
私は隣で腕を組むクロノを見る。
「なら、やっぱりここが上界なんて事、あるわけないわ」
そう、誰も上がった事がないならここが上界のはずがない。
「ま、そう言うと思って俺はここに連れてきたんだよ」
クロノはそう言いながら歩き始める。
私もこんな場所で野垂れ死にしたくない。
クロノの後を追った。
しばらく歩いたところで、クロノは立ち止まる。
「ほら、これが証拠だ」
「何が」
私はクロノが顔で差す方を見る。
クロノの奥はすり鉢状になっていた。
その一番下には穴がある。
そして、その穴からは緑が見えた。
「まさか」
「そうだよ、あれが世界樹のてっぺんだ。
俺の言う事が本当に信じられないならここから下に落ちればいい。
ただし」
クロノは近くにある大きめの石を穴に放り込む。
石は転がり穴に向かってまっ逆さま。
しかし、石が穴に落ちていく事はなかった。
途中、砂の中から巨大なムカデが現れてその石を砕いた為。
「ちなみにあのムカデは魔法や物理は一切効かない」
「そんな」
「そして、下にいる守護者も同じ。
その事実をしるやつはこの世界には神とあんただけだな」
「な」
なんでそんな事をクロノは知ってるの?
「ま、これからこっちで暮らすんだ。
世界の秘密を知ったんだからこれからは神にも気を付けろよ」
「な、勝手に教えといてこの世界の神にも気を付けろって理不尽じゃない」
ゆっくりとクロノがこっちを見る。
その顔は私の事をなんとも思っていないような顔だった。
「あんたがこの世界で何をしようと別に構わない。
だがな、あんたが自分のくだらない野望の為に石に変えられた奴らもそれぞれ未来ってものがあったんだよ。
だから、これはあんたへのペナルティだ。
命があるだけいいだろ。
今度は下界に行く為に頑張れよ」
そういってクロノは穴に飛び込んだ。
「な、なにやって」
私は急いで穴を覗いたがそこにはもう誰もいなかった。
私は再び穴のない方の荒れ地を見る。
これが私が死に物狂いで行こうとしていた場所。
何もないこんな場所が。
これからどうすればいいのか分からない。
私はその場に膝をついた。
すると目の前の何もない空間が歪み始める。
何かがここにくるのだろう。
そういえばクロノが言っていた。
世界の秘密を知ったものは神に気を付けろと。
ゆっくりと目を閉じる。
もう、目標も何もない。
こんな最後は望んではいなかったけど、ここが私の終わりなんでしょうね。
運助が運んだお客2人のその後になります。




