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転移無双  作者: 天野 空
第九章 運送屋、異世界を走る
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運送屋、広野を駆ける

路地で柄の悪い男達に絡まれた送助。

そこに偶然現れたシロさんに助けを求めた。

男達は送助からシロさんに狙いを変え襲いかかる。

果たして送助達の運命は。

ドカ!!

勢い良く体当たりしたが、相手はびくともしなかった。

「くそう」

俺は顔を上げタックルした相手を見る。

その相手は全身真っ白なお化けのような相手だった。

「え?シロさん?」

そう、俺がタックルしてぶつかったのは、俺が助けようとしていた相手だ。

シロさんの後ろで武器を振り下ろした男達が、自分の目の前と後ろにいるシロさんを不思議そうに見ていた。

シロさんは何も喋らず、俺と男達の間に立ち男達の方を向く。

俺はシロさんから少し距離を取った。

シロさんがなぜ無傷で俺の方に来たか分からないけど、俺が近くにいたらたぶん邪魔になると感じたからだ。

シロさんは手をぶらんと下に降ろし完全な脱力状態で男達に対峙している。

ま、いつも脱力してる感はあるんだけど。

「くそう、なんなんだあいつ。

俺達確かに切ったはずだよな」

男達は得たいの知れないシロさんに武器を構えたまま恐れをなしている感じだ。

しかし、シロさんは武器なし、自分達は武器を持っている優位さにまだ逃げようとはしない。

ゆっくりとシロさんが男達に近づいていく。

さっきは目を瞑ってしまって見逃してしまったが、次はきっちりと見ておかないと。

シロさんの実力を。

男達は狭い路地を縦に並んで待ち構える。

一対一にはなるが前が避けられれば、その隙をついて攻撃するつもりだろう。

対してシロさんはさっきと変わらず男達に近づいていく。

「おらぁ」

1人目。

振りかぶった武器をシロさんに向けて振り下ろす。

しかし、武器を難なく避け、そして、そのまま男に向かって進む。

「わ、わわ」

男は慌てて下がりながら武器を振り回す。

「な、いきなり下がるな」

後ろにいた男達も慌てて下がる。

しかし、シロさんに近づかれている男にそんな声は聞こえない。

無茶苦茶に振り回されている武器もシロさんには当たらず進み続ける。

どうやって避けてるのかは検討もつかないがただただ男に向かっていく。

「や、やめろ、来るなぁ」

少しパニック状態の男にシロさんはぶつかった。

そして、1人目はその場に崩れ落ちる。

「な、なんだ?」

2人目は急に前の男が倒れ視界がクリアになった。

「う、うわぁ」

目の前のシロさんを見て、2人目もその場に崩れる。

少し離れて様子を見ていた3人目。

こいつがボス格か?

「どうやったが知らんが、俺はマリモリ剣術の使い手だ。

そう簡単にはやられんぞぉぉぉぅ」

聞いた事のない流派を言いながら襲いかかる男は、最後まで言葉を言い終わらないうちに倒れた。

男達が倒れた後、何事もなかったように路地を抜け、町中に消えていくシロさん。

何が起こったのか分からないまま、俺はただ男達の倒れている路地に立ち尽くした。


「お、お帰りなさい」

あの後、俺は軽トラの所にまっすぐ戻った。

先に戻っていたアリベが声をかけてきた。

「ただいま」

「ん?どうかした?」

俺の顔を見たアリベが聞いてくる。

俺は路地であった事をアリベに話した。

「へぇ、そんな事が。

シロならさっき帰ってきて何事もなく定位置で寝てるよ」

アリベの言葉に俺は荷台を覗く。

そこには、寝ているクロウのお腹にもたれ掛かるようにしながら寝ているシロさんがいた。

ああやってクロウにもたれ掛かって寝てる客はシロさんが初めてだが、クロウもされて怒らないところをみるとシロさんが他とは違うのだろうと感じる。

「で、さっきの話だけど」

アリベは買ってきたジュースを俺に渡しながら、さっきの話をし始める。

「そんな狭い場所で避けまくれるのはよく分からないんだけど、男達を倒したのはなんとなく分かるかな」

「そうなのか?」

「ええ、その男達って急に力が抜けたみたいに倒れたんでしょ?」

「そう、その場に崩れ落ちた」

「なら、ドレインみたいな事をしたんだと思うよ」

「ドレイン?」

「魔法であるのよ、相手の力や魔力を吸い取る魔法が。

シロさんは魔法使いって感じじゃないけど、そういう技を持ってるのかもね」

「なるほどね」

俺はなんとなく納得して、運転席に戻る。

ほどなくして、頼んでいた荷物も届き、俺達はまた次の町へと車を走らせた。


また、広野を走る事になるが、まだ町が近いせいか、何台かの馬車や鳥車とすれ違う。

俺と同じような運び屋をやってるやつもいてすれ違った時に手を上げ挨拶を送った。

なぜかこの軽トラのラジオからはいつも音楽が流れていて、軽快に走る事ができている。

しばらく行くと、もうスピードで通りすぎる馬車に出会った。

馬車の運転席の横には赤い旗。

あれはこの先が危険である事を示す合図だ。

(どうかしたの?)

異変に気づいてアリベがテレパスをしてくる。

「ああ、なんかこの先がヤバイみたいだ」

マイクで荷台に知らせた。

(分かった、一旦止めてもらっていい?)

俺はアリベの指示通りに車を止める。

(上にあがるね)

そうテレパスを送ってきたアリベが幌の上に魔法で上がった。

運転席からでは前方の変化は分からない。

(あ、キングワームの群れがいるね)

な、キングワーム?

確か広野の地下に生息していると言われている巨大なミミズだったな。

しかし、ミミズと違って口に凶悪な牙がびっしりと生えているやつだ。

「何匹ぐらいいるんだ?」

俺は運転席の窓から顔を出して幌の上のアリベに聞いた。

「たぶん、7匹程だね。

1匹他のより大きいのがいるからあれが群れのボスかな」

「遠回りした方がいいな」

俺は安全なルートを地図を見ながら探す。

「いえ、そのまま突っ切っていいよ」

「なんだって?」

俺は思わず聞き返す。

「だから道を変えずにそのまま進めばいいよ」

「そうなると群れに突っ込むだろ」

「ま、なんとかするよ」

俺はアリベに言われたように進路を変えず進んだ。

ま、俺のスキルがあるから最悪の事態にはならないが、ひっくり返さりたり、食べられたりすると後が大変だからなぁ。

そのまま走っていると前方、まだ遠いが土煙が上がっているのが見える。

たぶん、あれがアリベの言っていたキングワームの群れか。

(それじゃ、ちょっとボスをやっつけるからそのまま走ってて)

だいぶスピードを出して走っているが、アリベは幌の上に乗ったままだ。

これも魔法の力なのだろう。

しかし、群れまでまだだいぶ距離はある。

それなのにここからボスだけを倒せるのか?

魔法の呪文なのか窓の外から聞きなれない言葉が聞こえ始める。

さっきまで晴れていた空が急に暗くなってきた。

これまで出会った魔法使いとは明らかに違う、天候まで影響してしまう呪文。

いつもはへらへらしてるが自称大魔導士は冗談ではなかったみたいだな。

(止めて)

テレパスが聞こえた。

俺は軽トラをゆっくりと止める。

まだ距離はあるがキングワームの巨大な姿ははっきりと見えている。

「ブラックイレイザー」

この雑音が多い中、はっきりとアリベの言ったその言葉が聞こえた。

そして、目の前の景色から色が消え、白黒の世界に黒い一条の光がキングワーム達に向かって放たれたのだった。

キングワーム達へと放たれた黒い光。

果たしてそれは送助達を救う光となるのか?

次回をお楽しみに

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