わし、懐かしい顔に出会う
ヴァリュキュアワールド大会に向けて練習を続ける一葉と双葉、実力をめきめきと上げていた2人だった。
が、そんな2人に魔王の手が振り下ろされそうになっていた事をまだ2人は知らない。
クロノと話をしてから1ヶ月。
一葉は双葉と一緒に次回行われるヴァリュキュアワールドの大会に出るべく特訓しておった。
デッキの見直し、新カード投入や実際にいろいろな相手とバトル行い調整を重ねておる。
今日も2人で学校が終わって家に戻ってから、ゲームショップに行く約束をしておったのじゃが、一葉は先生に用事を頼まれ遅れて行く事になったのじゃ。
「遅くなった~」
一葉は家に帰ってからゲームショップに行く準備をしていた。
学校は早帰りでいつもより早いのだが、一葉は1時間ほど遅れとった。
「いってきます」
一葉は勢いよく家を飛び出す。
わしも後をおった。
「ん?
なんか人だかりが出来てるけど」
確かに、いつもはがらがらの店の前に人だかりができとるのぅ。
「何かあったんですか?」
一葉は人だかりの1人に聞いておる。
「いや、ここでヴァリュキュアワールド大会優勝者、火凛が来てバトルしてるって言うからさ」
「ええ?火凛が」
な、魔王が来ておるのか。
「でも、来てみたけど中で店長がおろおろしてるだけで誰もいなくってさ。それで火凛が出てくるのを待ってるんだ」
「そうなんですね」
一葉は人だかりから抜け、横のガラスこ越しから中を覗く。
すると、向こうでおろおろしている店長と目があったみたいじゃ。
店長が店から出てきおった。
「か、一葉くん、ちょうど良いところに早く中に来て」
店長に連れて店に入る一葉、わしもそれに続く。
「どうしたんですか、店長?」
「そ、それが」
「私も聞きたいわね」
そこに大学から帰って来たのじゃろう、人混みをかき分け玄関に立つ柚葉。
「あ、柚葉くん、おかえり。
それが、いきなり大会優勝者の火凛くんがこの店に来てさ、用事があるとか言って、そこのバトル用の机に座ったんだ。
しばらくして、怖い顔をした双葉ちゃんが来て何やら火凛くんと話をしてから、バトルがスタートしたと思ったら、急に強い光が目の前いっぱいに広がって目を開けたら2人ともいなくなっていたんだよ」
「ええ」
「それって」
本気のバトルをしたという事かのぅ。
先程、何か分かってるような言い方をした柚葉を見ると、胸元からカードのような物を出して見つめておった。
「かれこれ1時間以上はたつけどどうしたらいいか」
おろおろが止まらない店長、一葉も顔色が良くないのぅ。
しかし、いきなり火凛が来るとはどういう事じゃ?
わしらがここにいるのが分かったという事か?
ん?
何か感じる、帰ってくるのか?
そう感じたわしは目を隠す。
案の定、辺りは光に包まれた。
「うわぁ、なんだなんだ?」
「きゃ~」
外にいた野次馬が騒いでおる。
そして、光が消えさっきまで無人じゃった机に2人の姿が現れる。
双葉は机に倒れ混んどる。
「双葉」
双葉にかけよる一葉。
それよりわしはこいつを気にしないといけないのぅ。
わしは火凛を見る。
いや、火凛の背後に浮かぶやつを睨んだ。
「な、何があったんだい?
双葉くん、火凛くんも大丈夫なのかい?」
店長は状況が分からず相変わらずおろおろしとる。
「大丈夫です」
火凛はそう短く答えると、一葉を見ておる。
そして、やつはわしを見ていた。
まさか、お前もこちらに来ていたとはな。
それはこちらの台詞じゃ。
あの時完全に消滅させたと思うておったが。
ああ、そのお陰でこちらにこれた、感謝しているよ。
魔王は憎々しく笑っておる。
今日は1人力を使えなくしたからこれで戻るが、次はお前だ、ワーナル・シオン。
それはこっちの台詞じゃ、ファオール。
お前のその操る力、止めさせてもらう。
はは、楽しみにしておくよ。
「それでは、僕は帰ります」
「え?あ、はい」
間抜けに返事する店長の横を通りすぎる火凛。
そのまま、火凛とやつは人混みの中に消えていきおった。
「店長、奥の部屋に布団しいて」
双葉に手を当て様子を見ていた柚葉が声をかける。
「は、はい」
店長は部屋の奥に消えていきおった。
「柚葉姉ちゃん、双葉大丈夫?」
一葉が心配そうに聞いておった。
確かにあれから何かうわ言を言っておるようじゃが、目を覚まさんのぅ。
「大丈夫だよ、一葉くん、一緒に双葉ちゃん運んでくれる?」
「うん」
「布団ひけたよ」
「今、連れていくから」
柚葉と一葉は双葉をゆっくりと運んだ。
しかし、こっちに戻ってからクロノの姿が見えんがどうしたんじゃ?
布団に寝かしつけられた双葉じゃがまだうなされとる。
「一葉くん、双葉ちゃんの好きな物分かる?」
柚葉に聞かれ頷く一葉。
「それじゃ、これを持って店長と買ってきてくれるかな?」
「分かった」
一葉は柚葉から財布を受け取ると部屋から出ていく。
わしもそれに続こうとした時、「あなたは残ってもらわないと」柚葉に声をかけられ止められた。
「わしに話しかけられるとはな」
部屋にはわしと柚葉、そして、寝たきりの双葉だけになった。
「理由は後で話すけど、まずはあなたの力で、双葉ちゃんの中にあるヴァリュキュアの世界の魔力を取り除いてくれない?」
「なぬ?わしの世界の魔力?」
「そう、あっちの世界でバトルすると魔力が体に流れ込むのよ、あなた達は大丈夫でしょうけど、こっちの世界の人間には辛いの。
本当はウルトラレアであるあなた達がこちらに戻る前に中和しないといけないんだけど、双葉ちゃんのカードは今かなり弱ってるみたいだから」
「分かった、要するに体にあるあちらの世界の魔力をなくせばいいんじゃな?」
「ええ」
わしは頷くと双葉に手を当てる。
そして、ある魔法を唱えた。
すると双葉から霧が発生ししばらくするとその霧もなくなった。
「これでなくなったぞ、『ウォールミスト』という魔法を双葉の魔力を使い発動させた。
双葉の魔力が少なかったから霧が出ただけじゃが問題あるまい」
わしは双葉を見る。
顔色も少しよくなっておるように見えた。
「ええ、大丈夫よ。これで合格ね」
柚葉がそういうと双葉からクロノが出てきた。
「なんじゃ、お主大丈夫なのか?」
わしがクロノに聞くと少し疲れているようじゃがゆっくりと頷いた。
「力を完全に失った訳じゃないからな、ただ、魔力負けの話をしていなかったから、この機会に教えておこうと思ってな」
「おまえ、もしわしが出来なかったらどうする」
「ま、そんな事はないと思ってるけど、もし出来なかったら俺がやってたさ」
クロノの顔を呆れたように見た後、わしは柚葉を見た。
「で、次はおぬしじゃ。
なぜわしらに声をかけたり見えたりできる」
「見えるのは私自身の力ね。
話しかけれるのは、この子のお陰かな」
柚葉は胸元から1枚のカードを出す。
さっき見ておったカードじゃな。
すると、柚葉の背後に懐かしい姿が現れた。
「お、おまえは」
「お久しぶりです、お師匠さま」
そこにいたのは、わしの初弟子。
「マナンか?」
「はい、ご無沙汰しております」
マナンは優しく微笑んでわしに答えた。
「やっぱり知り合いだったんだね」
部屋は、柚葉、わし、マナン、クロノ、寝ている双葉になった。
「なんか胸元のカードが暖かいと思った」
「だって、お師匠さまの若い姿なんてめちゃレアですよ」
柚葉に言われマナンが嬉しそうに答えておる。
しかし、こんな明るかったかのぅ?
記憶では滅茶苦茶優等生で真面目だった気が。
「隠してたんじゃないか?恥ずかしくて」
わしの心の声を呼んだのか、声をかけてくるクロノ。
いきなり声をかけてくると怖いじゃろ。
「それより、マナンお前もそのう」
「はい、死んじゃいましたよ」
「気軽に言うのぅ」
「でも、一応、お師匠さまの教訓は守りましたよ」
「教訓?」
わしらの会話を聞いていた柚葉が聞いてくる。
「ええ、お師匠さまに弟子入りする時に必ず約束させられるのが、何があっても絶対に自らの手で自分の世界を終わらさないって言うのがあるんですよ」
「自分の世界を終わらせない?」
「ま、簡単に言うとな、自殺するなって事じゃよ」
「なるほど」
「でしたので、きちんと生き抜きましたよ。
ま、お師匠さまよりは早かったですが」
「ん?わしそんな長生きじゃったのか?」
「千越えて生きてる人あまりいませんよ」
「そうなのかぁ」
わし、長生きじたゃったんだのう。
「ま、私も800は越えましたけど、魔導書のお陰で」
そうそう、この娘は魔導司書と言われている程、魔導書を持っておる。
魔導書の解析速度が他の者より異常に早かったので、わしが持ってる様々な書を読ませたものじゃ、そのせいではまってしまったみたいじゃな。
「では、マナンは柚葉に話しておるのだな、わしらが本気のバトルをすればわしらの世界に行く事を」
「はい、お師匠さま。
いきなり連れていかれては、柚葉が混乱すると思いますので」
確かに、柚葉の言うとおりじゃ。
「俺は話す前に行ったからな」
「それで負けたんじゃな」
「いや、それもあるが、もう一つの要因が大きいと思う」
「要因じゃと?」
わしの問いに頷くクロノ。
「今日、双葉が家に帰ったら1通の封筒が届いていた。
その中に双葉の父親の死の秘密を知っていると書かれていた」
「なに?双葉の父親は事故じゃと言っておっただろう」
「ああ、そのとおりだ。
だが、双葉はそれを信じたくはない。
そこをつけ込まれた。
見慣れぬ世界に、父親の真実、それだけ重なれば冷静さも忘れてしまう」
「なるほどのぅ」
わしは寝ている双葉を見る、魔力は抜いたが悲しそうな顔をして寝ているのはそのせいじゃったか。
「シオンも早めに一葉に言っておいた方がいいぞ」
「ああ、考えておこう」
「ただいま」
そこへ、ちょうど一葉の声が聞こえてきた。
「あと、すまないがまた夜に来てくれるか?」
クロノが小声でわしに言う。
「わかった」
そう言ってわしは主にいつこの事を話そうか考えておった。
柚葉お姉さんのお部屋へようこそ。
毎回変わってますね。
今日のゲストは双葉ちゃんに変わってマナンさんにおこしいただきました。
そのまま続けるんですね。
はい。
では、質問のお便りから。
お便りきてるんですか?
ええ、毎回たくさん来るよ?
で、お住まいはカードの中のわしさんから。
お師匠さまじゃないてすか、何やってるんだか。
えっと、「魔導司書と呼ばれておるようじゃが、どのくらいの本をどこに隠しておるのか教えてください」と言うことです。
知ってるじゃないですか、お師匠さまに教えてもらったのに。
ま、ま、そう言わずに。
はぁ、実を言うと私は転生者なんです。
それで、アイテムボックスがほぼ無限に入る大きさなんです。
それで、私はアイテムボックスの中に気に入った魔導書や本を入れています。
なるほど、ちなみに何冊くらい?
さぁ、私も気に入ったら入れていってるので何冊あるかは分からないんですよね。
今は魔導書以外にも漫画や雑誌もありますし。
ただ、ボックスから出すのは私が欲しいと思うものが出せるので探す事はないんてすけど。
なるほど、ありがとうございました。
これを見ているわしさん分かったかな?
それては、また次回にお会いしましょう。
いや、次回あるんですか?




