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転移無双  作者: 天野 空
第七章 人馬一体
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『人一倍』を持つ牝馬

コムギからミスティの母馬だろうと思われるヒッポカンポスの情報を聞いたテイン達。

父親の反対を押切、テインはクロネ、ミスティと共に森の奥の湖に向かう。

無事テイン達は、ヒッポカンポスに会う事が出きるのか。

僕とクロネさんはミスティに乗り、例の湖へと急いでいた。

ミスティは僕達2人を乗せていてもいつもと変わらない早さで走っていた。

「ミスティ、大丈夫?」

「ヒヒーン」

ミスティは元気よく返事した。

「場所はこっちでいい?」

クロネさんが後ろから聞いてきたので、「大丈夫です」と答えた。

昔に1度、コムギと一緒に行った事があった。

その時もミスティに乗ってたな。

そのせいなのか、ミスティも行く場所が分かっているように目的の場所に走っていた。

「そろそろ、見えてくると思います」

僕が後ろのクロネさんに言うと同時に、森の中を走っていた僕達の視界が広がった。

目的地の湖だ。

「あれがそうだね」

ミスティが湖の所で止まった時に、クロネさんは少し離れた場所にいるパーティーを指差した。

「あれはちょっと厄介な相手かもしれない」

クロネさんはそう言うとミスティから降り、そのパーティーに向かって歩き出した。

僕もミスティを連れてクロネさんの後に続いた。

向こうも僕達に気がついたのか、こちらを見ている。

「やぁ、こんにちは」

向こうのパーティーのリーダーなのだろうか、金髪で短髪の男性が声をかけてきた。

見た感じ、身なりも良く美男子だ。

まるで噂で聞く勇者のようだった。

「勇者ご一行がこんな所で何をしてるんですか?」

「え?」

勇者なの?この人?

普通に話しかけているクロネさんに驚きながら、勇者パーティーを見た。

勇者以外に、魔法使いの美女、体格のいい男性僧侶?フルフェイスの兜をかぶった黒ずくめの戦士。

確かに、噂で聞いたことのある勇者パーティーだ。

「まさか、こんなところでクロネさんに会えるとは」

勇者がにこやかに話しかけてくる。

他のパーティーメンバーもこちらに敵対心はなかった。

「えっとここにいる理由でしたね。

たまたま、冒険の途中に寄った町でヒッポカンポスが出たと聞いたので一目見ようと思ったところに、捕獲の依頼がギルドに出てたので受けたんですよ」

「私はやめときなさいって言ったんですけどね」

勇者を呆れたように見る魔法使い。

「そういえば、あなたはレアモンスターを見るのが趣味でしたね」

クロネさんも呆れたように言った。

「私達もヒッポカンポスに用事があって来たんです。

ですので、そちらに諦めてもらいたいのですけど」

「そっかぁ、クロネさん達もですか、一応クエスト受けてしまったんですよね」

「1つくらい失敗してもいいでしょ」

クロネさんは強気だった。

勇者相手にこんなに強気になれるクロネさんっていったい。

「それは困るな」

いきなり黒ずくめの戦士が喋った。

「やっぱり、クロスはひかないか」

勇者が黒ずくめに向かって言った。

「当たり前だろ、いくら1度共闘した相手とは言え、いきなり来て無茶苦茶言われても困るな」

「じゃ、どうしますか?」

ただならない雰囲気を感じたので、ミスティを連れて端による。

向こうも黒ずくめ以外が僕の方に来た。

「前回は戦えなかったからな、立ち合ってもらおうか、俺は強いやつと戦うのが好きなんでな」

「変な趣味ですね」

黒ずくめは、刀身の黒いブロードソードを抜いた。

クロネさんもフライパンを構える。

やっぱ、フライパンなんだ。

他に武器持ってきてたのかと思った。

「相変わらずクロネさんは、フライパンが武器なんですね」

隣の勇者が楽しそうに言った。

「え?前からなんですか?」

思わず聞いてしまう。

「ええ、クロネさん曰く世界にはフライパン1つで歴戦の英雄を叩きのめす強者もいるらしいですよ」

勇者は気軽に答えてくれた。

「どっちが勝つかなぁ?」

魔法使いが勇者に聞いている。

「クロスも途中から仲間になってくれた人ですからね、ここまでの冒険もその強力なスキルや技で助けてもらいましたし、クロネさんもかなり強かったですけど」

「見所だな」

腕組みしたままの僧侶が野太い声で言った。

「ですね」

勇者はそう言うと2人を見る。

僕も2人を見守った。


「さて、初めて会ってからだいぶたつよな?

腕は鈍ってないだろうな」

「ま、料理の腕は確実に上がってますよ」

クロスの言葉にクロネさんは笑って答える。

「なら、行くぞ」

そう言ったと同時に間合いに入るクロス、黒い刀身が煌めく。

ガン、フライパンでかろうじて防ぐクロネさん。

「まだまだ」

クロスはそのまま連続攻撃を繰り出す。

黒い刀身は黒い斬撃を残しながら目にも止まらないスピードで斬りつけていた。

「黒き暴風」

勇者がそれを見て呟く。

たぶん、あの連続攻撃の技名か?

クロネさんはそれをなんとかフライパンで防いでいるが、腕や足所々に傷を負っていた。

「クロネさん」

僕は思わずクロネさんに向かって叫んでしまった。

クロネさんはそれが聞こえたのか、ニコッと笑った気がした。

ドン

大きな音がしてクロスが距離をとる。

「離れた?」

「いや、あれは離されただな」

僕の言葉に僧侶が答えた。

「あの斬撃の中で反撃するとはクロネさんもすごい」


「はは、すごいな、あの連続攻撃の隙間に一撃加えてくるとは」

クロスは笑う。

「雇い主の息子さんの声援があったとなると負けられませんから」

フライパンを構え直すクロネさん。

「では、次は私の番ですね」

クロネさんはゆっくりとクロスの方に向かう。

と思った瞬間、クロネさんも一瞬で間合いを詰めていた。

「四神乱舞」

クロネさんはそう言葉を放つ。

「え?」

気がついた時は、剣を盾にしているクロスが宙に吹き飛ばされていた。

「フライパンで左右の同時袈裟斬りをする「白虎」

フライパンを前方に構え突進体当たりする「玄武」

左右にステップしフライパンで乱舞する「青龍」

そして、下からフライパンで打ち上げる「朱雀」

前に1度見たけど、やっぱり鮮やかだね」

勇者は僕に分かりやすいように説明してくれた。

「はぁ、やっぱり強いな」

クロスはそれ全てを受け止めていた。

ゆっくりとそのブロードソードをしまう。

「気がすんだ?」

クロネさんもフライパンを下ろした。

「ああ、満足だよ」

クロスがこちらに向かってくる。

「ま、頑張れよ」

クロスは僕とすれ違い様に背中を叩いた。

「俺からの激励だよ」

そう言うと1人町の方に歩き出す。

「ちょっとクロス、本当に。

クロネさん、今回は残念ですが諦めます。

また、どこかでお会いしましょう」

勇者達はクロスを追いかけるように行ってしまった。

「本当に変なところばかり真似して」

その姿を見ながら、クロネさんが呟いていた。

「クロネさんって強いんですね」

そう声をかけると、クロネさんはニコッと笑った。


「ヒッポカンポスいないですね」

僕は湖を見ながら呟いた。

「そんな事はないよ。ほら、今さっきからずっとそこで見ている」

クロネさんは湖を指差した。

僕はその方角を見ると湖の上に人が立っていた。

その姿はどこかで見た事がある。

「母さん…」

その後はあまり記憶になかった。

気がつけば、ミスティに乗っていた。

クロネさんは僕がミスティから落ちないように後ろから支えてくれていたらしい。

クロネさんから人型のヒッポカンポスに「母さん」と言って抱きつき泣いてそのまま寝てしまったと聞かされた。

めちゃくちゃ恥ずかしかった。

ふと、横を見るとミスティと並走するように1匹の綺麗な鬣をした馬が走っている。

もうすぐ家に着く。

残り10日、大会がもうすぐそこまで迫ってきていた。

次回、テインとミスティが大会へ向けての猛特訓に入ります。

果たして、2人は大会で入賞できるだけの力をつけれるのか?

お楽しみに

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