恐怖、脳ミソ汁が出る館
会社で噂された薬を調べているゾン博士の失踪、クロが死んでしまった。
そして、ゾン博士は変わり果てた姿で現れ、グルを襲う。
逃げ出した4人の運命は
私達は走っていた。
シャーロもだいぶ落ち着いたのか、もう涙は止まり、私と並走している。
廊下の明かりは先程まで明るかったがまた、点滅し初め、走りにくかったがアレとの距離を取らないといけない。
「そろそろ歩こうか」
背後から追ってくるなような気配がない事を確認しながら私はシャーロに声をかける。
シャーロも頷き、歩き始めた。
しかし、先に逃げた2人はどうしたのだろう、そんなに差はなかったと思うが、一向に見当たらない。
広い屋敷は逃げるのにはいいが、バラバラになった時に合流するのに手間がかかる。
「何がどうなってるの?」
シャーロが呟くように言った。
私は今の状況で、どう答えていいか分からず声が出せなかった。
私達は薄暗い廊下をゆっくりと歩いた。
本当に静かに雨音しか聞こえない。
いや、その雨音の中に何か聞こえる。
「歌?」
そう、シャーロがいうように歌が聞こえる。
廊下の突き当たり左に曲がった方から微かに歌?が聞こえてきた。
シャーロは少し身構えた。
私もシャーロの前に立ち、ゆっくりと曲がり角まで来た。
シャーロの鵬を向いて頷く。
シャーロも私の方を向いて頷いた。
2人でほぼ同時に曲がり角を曲がる。
そこには何かが立っていた。
ソレは人のようだった。
「ああ、声が出てる。声がでてるぅ」
ソレはゆっくりとこちらを向く?
「この匂いはネクロさんとシャーロさんですよね?
聞いてください声、声がでてるんですよぉ~」
ソレは私達を知っているのか?
「まさか、フランか?」
私の声にソレは笑うように答えた。
「何を言ってるんですか?
フランですよ、そうか声ですね。
そう、私声が出たんですよ、昔のように声がぁぁ。
お二人の姿は暗くてよく見えませんが、さぞ驚いているんでしょうねぇ~」
ソレはフランと名乗り、喋り続ける。
私達が見えないのは当たり前だ。
目があるはずの部分には穴が開いていた。
いや、体のいたるところが穴だらけだ。
穴からは血は出ていない。
「どうですか、私の声綺麗でしょうぅぅ」
しかし、声は出ているのに口は一切動いていない。
声が聞こえてくるのも頭に開いた穴からのようだった。
「本当に不思議、声が出始めたら怖さもなくなったんですよ。
声が出るって素晴らしいぃぃぃぃぃ」
シャーロはそんなフランただ見つめていた。
私はシャーロの手を取りソレの横を通りすぎる。
「誰か喋りましょう、喋るって素晴らしいぃぃぃぃぃ」
ソレはもう私達の事は分からないみたいだ。
意識も徐々になくなっているのだろう。
しばらく歩く。
お互いに無言だ。
さっきの光景を見れば言葉もでないだろう。
雨音だけが響く廊下を歩いているとふと、変な臭いがしてきた。
廊下の端に何か塊がある。
「なに?この臭い」
シャーロもハンカチを出して口と鼻を塞ぐ。
私達はその塊に近づかないように横を通る。
ブジュ~
変な音と共にその塊から臭いのもとが吐き出された。
この臭いはやはり汚物のようだ。
そして、汚物が吐き出されたとたん、その塊が動く。
汚物の方に向いたソレの顔は、スカル社長だった。
よく見ればその塊から、手の平や足の裏が見える。
その塊は社長の体の肉が膨張したものか?
社長は汚物の方を向いたとたんあごが外れるくらい大きく口を開けた途端、自分の出した物を食べ始めた。
そして、また、ブジュ~と汚物を出す。
また、それを食べ始める。
ある意味永久機関か。
「行きましょう」
シャーロは臭いに耐えられなくなったのか、私の手を引っ張る。
私はシャーロとその場を去ることにした。
あれから、化け物に変わった4人とは会わなかった。
ふと廊下を見ると、左側の部屋から明かりが漏れていた。
私達はその部屋に警戒しながらも入る。
部屋は台所だった。
トントントン
台所の奥には電気が付いており、隣のコンロには手鍋が置いてあった。
その料理を作っているのは。
「夢花?」
シャーロが呼ぶと料理をしていたその人物が振り返る。
「どうかされましたか?
ご主人さま、シャーロさま」
振り向いた夢花はいつも通りの笑顔だった。
「なにしてるの?」
「はい、明日食べる味噌汁を作っておりました」
そういうと、切った材料を鍋に入れ、台所には不釣り合いな試験管を持つ。
そして、その試験管の中の透明な液体を鍋に入れた。
「な、何してるの?」
シャーロは少し戸惑いながら夢花に聞く。
夢花は残り2本になった試験管の1本を持ち、振り返った。
そして、シャーロに向かって笑顔を向けた後、夢花がこちらを向く。
「それでは、お館さま、お先に逝かせていただきます」
そう言うと夢花は、その透明の薬を飲んだ。
パリン
手から落ちる試験管。
ブルッと体を震わせた後、夢花の体が変わり始めた。
首と手と足が倍以上に伸び目の玉が凄い勢いで回る。
そして、止まった目は虫のような複眼になっていた。
ゆっくりと開いた口からはストローのようになった舌が伸びる。
隣にいたシャーロが私から離れ部屋の壁にもたれかかる。
「どういう事なの?何がどうなってるの?」
そうだろうね、君には何も伝えてない、だから分からないだろうね。
私はゆっくりとシャーロを見た。
「困るんだ、不老不死の薬を作ってるなんて噂がたったら。
だってまだ完成してないんだよ。
それになんだあの液体の色は、体に悪そうな色。
私は世界の人々を救う為に不老不死の薬を作っているんだ、それは無色無臭、まさに水のような物でないといけない」
「何いってるの、ネクロ」
分からないのか、シャーロ。
この世界はいつかは死ぬという恐怖が支配している。
なら、その恐怖から逃れるすべを発明しないといけない。
そう、世界は恐怖から抜け出さないといけないんだ。
「だから、私は考えた。
死なないならどうしたらいいのか?
様々な考え、そして、研究を行った。
しかし、どれも失敗。
そこで思い付いたんだ、1度死んで甦ればいいんじゃないかと。
この世界に存在するアンデットのように」
「あ、あぁ、何を」
「実験の最終段階は昨日試させてもらった。
夢花に味噌汁に私の研究していた薬を入れてもらったんだ、薄めてしまえば即効性はないが徐々に効果は現れる。
実に様々な効果があったが彼らはこれからずっと生きていける」
「何を言ってるの、あんなの誰も喜ばない」
シャーロはきつく言ってくるが、なぜそんなに怒っているのか?
「それじゃ、私も」
シャーロは口を押さえる。
「大丈夫、君には飲ませていないよ、そう」
夢花の長い手がシャーロを壁に押さえつける。
「かはぁ」
「私は君の事を愛している、だから、私自身で飲ませたくてね」
私は最後の試験管を手に取った。
ゆっくりとシャーロに近づく。
「やめて、正気に戻って」
「私はいつも正気だよ。
シャーロ、これからずっと一緒だ」
私はシャーロの口を押さえ無理やり開ける。
そして、最後の試験管をゆっくりとシャーロの口に傾ける。
これでこのお話はおしまいです。
次はいつも通りの光の道へ。
その後のお話、キャラ紹介に続きます。




