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転移無双  作者: 天野 空
第六章 きょうふのうみそしるがでるやかた
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今日、麩のぅ味噌汁が出る館

ある古びたお屋敷で始まる会食。

そこではある薬が作られているという噂が流れている会社の人達が集まっていた。

山の中にあるそのお屋敷でこれから何が起きるのか、晴れていた空はいつの間にか曇り雨が降ってきている。

食卓に着いたのは私を含めて7人。

館で雇っている給仕係の夢花が用意してくれた、夕食を食べようとしていた。

「へぇ、夕食で麩の味噌汁とは珍しいな」

料理を見ながらそう言ったのは、自称ジャーナリストのグル。

今日の会食に道に迷ったと言って訪ねてきた、招かざる客だ。

その他は、私の横に同じ大学を卒業し恋人でもあるシャーロ。

その向かい側に、仕事の同期である女性フラン。

その横に私の大学の恩師である、ゾン博士。

そして、ゾン博士の助手のクロ。

この助手の事は私は顔を知らず、ゾン博士が言うには最近雇った優秀な助手らしい。

そして、会社の上役であるスケル社長。

そうそう、肝心の私の名前を紹介してなかった。

私はネクロ、今回はうちの会社で行われていると 噂されている、ある薬品の事について聞き出す為に会食を開いたのだ。

私が働いている会社は、実は私がほとんど出資している。

そこで変な噂を出されてはこれからに影響が出る。

そう思い、私の館であるアンデ館に関係者を招待したのだ。

恩師には薬品について意見を聞く為に招待した。

同期はどうやらその薬品に関係しているらしいので真意を確かめる為に来てもらっている。

そして、社長にはどういう経緯でこんな噂がたてられているかを聞く為にだ。

この会食がどうして開かれたのか理由が分かっているのだろう、社長や同僚は一切喋らない。

「そう、緊張しないで、せっかくうちの給仕係が作ってくれた料理が冷めてしまいます。

皆で食べましょう」

私は皆にそう促し、まずは夢花が必ず毎食作る味噌汁を飲む。

うむ、さすがに上手い。

なぜか、夢花は味噌汁作りが異常に上手かった。

「確かにこれは上手いものだ」

ゾン博士も一口飲んで感心していた。

助手のクロは何も言わず黙々と食べていた。

しかし、よく食べるなこの男性は。

社長や同僚も食べてはいるが、ゆっくり食べているみたいだ。

シャーロは相変わらず、一つ一つの料理を食べ、近くに控えている夢花を誉めていた。

「へぇ、こりゃ上手いなぁ」

グルも喋りながらガツガツ食べている。

優しいシャーロが言わなければ、こんな下品な男を屋敷には入れなかったのだが。


夕食も終わり、食後の飲み物が運ばれて来て、夢花が部屋を出ていった。

グルにも関係がない事なので、部屋から出てあてがっている客室に戻ってもらった。

「さて、肝心な話をしましょうか」

私がそう切り出すと、社長と同僚がかしこまる。

私はそれを気にしないように話を続ける。

「最近、わが社に対して変な噂が流れているのを社長はご存じですか?」

私の言葉に社長はびくっとなり下を向く。

「噂の内容は知ってますか?」

もう一度社長に聞く。

「は、はい、わが社が研究開発している薬に副作用があるという噂です」

「確かにそういった噂もありますが、もう1つありますよね」

私が少しきつく言うと「は、はい」と社長はびくつきながら言葉を続けた。

「わが社が不老不死の薬を作っていると言う噂です」

「ほう、それはなかなか」

食後の飲み物を飲んでいたゾン博士が声をあげる。

目の前の助手は、さっきからずっとお茶菓子食べてるが、ほんとうに優秀なのか?

シャーロは少し恐怖の顔を浮かべている。

確かに不老不死の薬なんて聞けばそうなる。

「フランも知っているな?」

俺はそういうとフランは頷く。

彼女はある事故から口が聞けなくなったらしい。

「社長、事実を知りたいのだが?

本当にそんな噂が流れているのかな?」

私はきつめに口調で言う。

「は、はい、噂がどこから流れたのか、全力で調査しております」

社長は慌てて答える。

「困るんだ、そんな噂が出るとこれからのわが社の利益に関わる」

私が大学卒業と同時に買収したこの製薬会社には、私が大学から研究している薬を完成させる場所とこれからの資金源としてまだまだ発展していってもらわないと困る。

特に私が研究している薬は完成すれば多くの人が助かる薬なのだ。

「それで、その噂の薬はあるのかね?」

ゾン博士は目を輝かせながら聞いてくる。

ゾン博士は様々な薬品の研究をしていた、その中で不老不死の薬の研究もしていると、学生時代に聞いたので、今回来てもらったというわけだ。

その博士の言葉に、フランは椅子の横に置いてあったアタッシュケースを机に乗せた。

フランがアタッシュケースのキーを解除し開ける。

その真ん中には緑の液体が入った瓶が一本入っていた。

「これがそうなのかね?」

ゾン博士はケースを手元に寄せながらフランに聞いた。

フランは無言で頷く。

私もケースの中の瓶を見た。

どう見ても体に悪そうな色だ。

「これを預かってもいいかな?」

ゾン博士はこちらに向いて聞いてくる。

「もちろんです。その為に博士には来ていただきました。

家の研究室を使ってもらって大丈夫ですよ」

ゾン博士はにかっと歯を見せながら笑うと、クロに声をかけて2人して出ていった。

ふとクロが座っていた机の上を見ると、食べた後のお菓子の紙が大量に置かれている。

どれだけ食べたんだあの助手。

「さて、あれがどういった物かは博士が調べてくれるでしょう。

不老不死の薬と変な噂もこれではっきりとする。

しかし、社長、始めに言いましたが変な噂、特に今回のような噂は会社にとって不利にしかならない結果はどうあれ噂の出所を早急に調べて対処してください」

「わ、分かりました」

ハンカチを出して汗を拭く社長。

こちらもあれだけ買収した時に言ったはずなのにこの有り様だ。

しかるのちにきちんと対策をしないと。

そして、私はフランを見る。

フランも私と目があって下を向く。

自分の失態が分かっているのだろう。

「フランも今後こういった事が起こるようなら、優秀な人材であっても考えますよ」

私の言葉にゆっくりと頷いた。

私が話している間も、シャーロは話を聞きながらお茶を飲んでいる。

シャーロも私と同様に大学をトップの成績で出ている、優秀な人材だ。

何かをこの話から感じたのかもしれないな。

「それでは、今日は遅いからそれぞれ自室に戻ってもらって構いませんよ。

明日、解散ということで」

私の言葉にそれぞれが部屋に戻る。

私は1人食卓のある部屋に座り、先程夢花が新しく入れてくれたお茶を飲んだ。

ふと窓の外を見る。

先程までは、天気の良かったはずなのに今はどしゃ降りになっていた。

確か予測では晴れだったはずなのだが、天気は当たらないものだ。

私は飲んだカップをそのままにして席をたった。

明日から自分の研究も続けないと。

早く完成させて夢を叶えなければいけない。

そう、こんな変な噂には負けられないんだ。

私が部屋から出るときに夢花にすれ違う。

多分、コップを片付けてくれるのだろう。

本当に夢花は出来た娘だ。

さぁ、また明日から大変だ。

新しい章になります。

今回は残酷な描写ありのお話です。

嫌いなかたはこの話はダメかも知れませんが、世に出ているホラーに比べればまだましな仕上がりのはず。

では、次回から少しホラーに入る予定です。


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