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転移無双  作者: 天野 空
第五章 麒麟児
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麒麟児~神の塔の無~

双子の神人の試練も無事に終え、次の階層に向かうクロノ。

そこで待つ神人が出す次の試練はなんなのか?

クロノは新たな試練を越えれるのか?

次に目の前に現れたのは、どこまでも広がる草原だった。

「広いね」

アンは周りを見渡し言った。

確かに何もなくただ草原が広がるエリアはこの塔に入って初めてだ。

「誰かいるようね」

ノームの言うとおり、草原に誰か立っている。

「行ってみようか」

俺達はその人物の方へ歩いていった。

「やぁ、いらっしゃい」

腕組みをしてたたずむ1人の男性は、俺達を見てそう声をかけてきた。

「次の階層に行きたいんだけど」

俺はその人物に伝えた。

「まぁ、そう焦らずに、まずは自己紹介からだ。

俺の名前はナッシングとでも呼んでくれ」

「無か」

「分かるんだなこの名前」

「ああ、遥か昔にな」

俺は答えた。

ナッシングはその言葉を受け笑顔だった。

「さて、君らが望む試練だが、単純な戦闘で構わんよ」

ナッシングは腕組みをとく。

「お前に勝てば上がれるって事で良いか?」

俺はナッシングに聞く。

「ああ、そのとおり、誰でもいい君らの中で1人でも勝てば、合格だ」

「分かった」

俺はアン達を見る。

アン達もやる気は十分だった。

「誰からやるんだ?」

ナッシングは俺達から少し距離をとって立つ。

「私が行くよ」

アンが一歩前に出る。

俺は頷き、ノーム達と一歩下がった。

「俺の相手は君か」

「ええ、私よ」

アンは神木刀を手に持ちナッシングの前に立った。

「その腰につけた刀は使わないのか?」

ナッシングはアンの持つ草薙剣を指差す。

「これはお師匠さまに極力使わないように言われてますから」

そういえばそんな事言ったなぁ。

「そうか、なら、私に勝てないと思ったときは抜けばいい」

ナッシングはアンに向かって構える。

籠手を着けているが素手だ。

「そうなったら、その時は抜きます」

アンもナッシングに向かい構えた。


まずはお互いに自分の間合いへと積めていく。

アンは相手がどういう攻撃をしてくるか分からない為、思いきった攻撃が出来ない。

自分の間合いギリギリで様子を見ていた。

ナッシングの見た目どおりに行けば、素手の間合いより木刀の間合いの方が広い。

しかし、素手でも気や魔法、スキルを使い攻撃の範囲を広げる相手もいる。

「なかなか戦い慣れてるみたいだな。

しかし、臆病にも見えるぞ」

ナッシングはアンに声をかける。

アンは答えぬまま、相手から目を逸らさず神木刀を構えていた。

左手に持った神木刀を腰に当て、右手を添える。

いわゆる居合いの構え。

海で見せた一閃を放つ構えだ。

お互いに見合ったまま、10分くらいたったか?

「お見合いしてもつまらんな」

ナッシングがそう笑顔で構えを解いた瞬間。

アンは大きく後ろに飛び退いた。

構えは崩していない。

そして、構えを解いたはずのナッシングは、先程のアンがいた場所になぜか立っていた。

「ほう、避けるのかすごいな」


「見えた?クロノ」

横で見ていたノームが聞いてくる。

「いや、目で見える方法の移動じゃないなあれは」

そう、俺も相手から目をそらしてはいなかったが、動きは全く分からなかった。

だとすると、俺に考えられるのは『瞬間移動』『空間移動』等の瞬時に場所を移動するスキルを使ったか。

相変わらず、神人のステータスは見れないしな。

しかし、アンにはその動きが予測できたんだろう、相手が動く前にきちんと避けている。

本当に強くなったな。

これなら安心できる。


「やぁ」

「はは、なかなかやるな」

あれからアンとナッシングが、打ち合いを続けている。

打ち合いと言っても、アンの攻撃は全て紙一重で交わされていた。

「はぁ」

ナッシングの上段突きがまたしてもアンに命中。

しかし、アンは光輝く右手の甲で防いでいた。

「しかし、先程から俺の攻撃を防いでいるその光はなんだ?

やたらとどこかで見覚えがある力なんだが」

アンはナッシングとの間合いをとる。

「これは『神気』を手の甲に集めた盾よ」

アンは右で拳を作り答えた。

「なるほど、それでどこか見覚えがあるわけか」

『神気』をああやって使うのは最近になってだな、アンもいろいろと力の使い方を考えているようだ。

「さて、いくよ」

アンが一気に間合いを詰める。

右袈裟斬りから左からの胴横薙ぎ。

すぐに右斬上から唐竹。

木刀をすぐさま腰に、左手を添えてからの神速の居合いで胴を狙う。

まさに一呼吸で全ての動作をするような連続攻撃だったが、やはり全てを紙一重でかわすナッシング。

大きく後ろに飛び、間合いを開け息を整えるアン。

ナッシングは今度は構えを解かないまま、アンの方を見ていた。

しかし、あれほどの攻撃を、全て紙一重で避けるのはどういう事だ?

俺でもあれだけの連続攻撃だったら、一撃は防御してるだろう。

やはり、スキルを使っているのか。

俺もスキルに『絶対回避』を持ってるが、それより上の何かか?

スキル収集心に火が点くなぁ。

「ふぅ、やはりどんな攻撃しても回避されるかぁ」

「ま、そうだな、あのスピードなら簡単だ」

アンの言葉にナッシングが答える。

「そういうスキル持ってるんだね、お師匠さまと同じか」

いや、俺はさすがにそこまでのスキルはアンに使ったことないような。

もってはいるけど。

「なら、いつかお師匠さま相手に使おうと思ってたけど、実験台になってもらうね」

アンは木刀を正眼にかまえる。

「へぇ、諦めはしないみたいだな」

ナッシングも構えた拳に力を込めた。

「さぁ、いくよ」

アンは一気に間合いを詰める。

上段に振りかぶっているが、今のままだと避けられる。

『神縛』

ガッ、鈍い音と共にアンの上段から振り下ろされた神木刀をナッシングは左手で防いでいた。

すぐに間合いをとるアン。

その顔に笑顔が見える。

「成功?かな」

「すごいな、まさかそんな事が出来るのか?」

ナッシングは驚いた顔を浮かべた後、笑顔で構えた。

「じゃ、これからが本番、一気にいくよ」

アンはそういうと、ナッシングとの間合いを今一度詰めた。

『神縛』

アンの放ったスキルが光となってナッシングを包む。

「弐の太刀 牙」両肩への同時の袈裟斬り。

「参の太刀 爪」ほぼ同時の三連横薙ぎ。

「四の太刀 顎門」両肩への袈裟斬り、両脇から斬上げ。

「五の太刀 雪崩」ナッシングの回りに5人の実分身したアンが木刀を振り下ろす。

「陸の太刀 合掌」左右から実分身三本の刀で相手を挟み込むような横薙ぎ。

「七の太刀 刃の盾」7つの斬擊を自分の前に放ち盾のようにする。

そのまま、突進してナッシングを後ろに吹き飛ばす。

そして、「壱の太刀 一角」吹き飛ぶナッシングに追い討ちのように鋭い突きが放たれ、その剣擊が相手を突く。

しかし、ことごとくを受けたナッシングは、なおも立ち上がる。

アンはそれを見て、間合いを詰めながら「八の太刀 八艘」

8人に実分身したアンは、7人がそれぞれもう一度、技を放つ。

そして、その場に残った最後の1人。

居合いの構えでナッシングを睨む。

全ての技が終わった後、アンの『神気』が大きく膨れ上がる。

ここまで力を付けていたのか。

その力に俺は驚きながらも嬉しさが込み上げた。

「神気一閃」

膨れ上がった『神気』を神木刀に集め、木刀を抜く。

光輝く波動は一瞬でナッシングごと空間を薙いだ。

「ふぅ」

アンはゆっくり木刀を納める。

「これで今は目一杯かな」

「十分だ」

あれだけの攻撃を受けながらも、決定的な一撃を受けていないナッシングは、笑顔で答えた。

「よくやったよ、アン」

俺はアンの側に行き、肩を叩く。

「でも、強い相手ってまだまだいるんだね」

自分の全力が通用しなかったのが残念なんだろう、アンは少し落ち込んだように答えた。

「ま、だから上を目指せるんだよ」

アンの頭を撫でる。

「さて、弟子の次は師匠の番だな」

「いや、それはいい合格だ」

「え?」

腕捲りした俺に向かって、手を向けるナッシング。

「十分、楽しめた。これでしばらくは暇な時間も有意義に過ごせる。

新しい相手もできたからな」

そういったナッシングが手を広げると、そこには1体の影が立っていた。

「影分身、それもアンのコピーか?

どうりで強いわけだ、そうやって今まで戦ってきた相手と修行してたのか」

「ま、そういうことだ」

こうやって話しているうちに、ナッシングの体の傷も消えていっている。

この空間も傷や体力が自動に回復するような場所なのだろう。

「さて、それじゃ、名残惜しいが次の階層に送ろうか」

「ああ、階段はどこだ?」

俺の問いに笑顔のナッシング。

「階段はないよ、こうやって俺が指を鳴らせばいいんだからな」

パチン。

俺がその音を聞いた後、目の前の景色が変わった。

階層は5階で1階層となっています。

神の間まで後、5階層。

クロノとアンの冒険もゴールが見えてきました。

これからラストスパート、最後までお楽しみに。

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