なまくらと盾
自らの不甲斐なさにパーティーを抜け、山籠りを始めたアルス。
ひょんな事から出会った1人の青年に、自信の存在意義であるスキルを破られ、弟子入りする事にした。
アルスは自らの理想である『矛盾双高』を目指せるのか?
「はぁ~はぁ、はぁ」
バシン、バシン
今日も日課の木打ちをしながら、あの時を思い出す。
山籠りを始めて2年目、俺は自分が理想としている『矛盾双高』に近づいているのだろうか?
「アルス、本当に言ってるの?」
パーティーの回復役である、ソフィは血相を変えて部屋に怒鳴りこんできた。
「な、何がだよ」
ちょうど飯を食ってる俺は、思わず吐き出しそうになりそうだ。
「パーティーを抜けるって話だよ」
「ああ、それか。誰に聞いたんだよ」
「タウに聞いた」
そういいながら、隣に座るソフィ。
(近いって)
そう、思いながら情報源のタウを思い浮かべる。
俺がその話を切り出した時、すごく驚いて自分達が何か悪い事をしたのか聞いてきたな。
「そんなんじゃないんだよ」
「え?何?」
「い、いや、なんでもない」
少し怪訝な顔をしながらソフィは話を続ける。
「それで、何で抜けるの?パーティーの誰かに何か言われた?」
「いや、何も言われないさ。むしろ、すごく必要とされてる」
「だったら」
そこで、ソフィは言葉を止めた。
たぶん、俺の顔がつらそうだったんだろうな。
表には出さないようにしてたけど、ソフィの前ではどうしても出てしまう。
「自分の力が足りないと最近感じるんだ」
「そんな事ないよ、アルスは私達を守ってくれてる、アルスのスキルにどれだけ助かってるか」
俺のスキル『生命の盾』自分の体力の上限が多いほど強さを増す。
もう1つの『体力の成長(超)』のお陰で俺の体力は人より大幅に多くなってる、でも
「この前の戦い、俺の盾にヒビが入ってた」
「仕方ないよ、S級に近いモンスターだった、生き残れただけでも奇跡だよ」
「それでも、このままだといつかは限界がくる、その前に俺は『矛盾双高』を目指したい」
「『矛盾双高』って伝説のスキルだよ」
「ああ、それでも」
「決心は変わらないんだね、本当に決めたらとことんまでしないと気がすまないんだから」
少し呆れ顔のソフィ。
「待ってるよ、私もみんなも、それまでこのパーティーは高みを目指しとく、アルスに負けないようにね」
「そのと~り」
いきなりドアが空いて、残りのパーティーメンバーが姿を見せる。
「お前らいつからそこに、ありがとう」
次の朝、ソフィや仲間達の笑顔を受け、俺は『矛盾双高』を極める旅に出たんだ。
そして、旅の途中、俺は彼にいや師匠に出会った。
「アルス、集中しないと身にならないぞ」
「はい、師匠。」
「いや、別に師匠じゃないって」
薪拾いから帰ってきたのか、手に一杯の枝を持った1人の青年が苦笑した。
盾で味方を守る冒険者のお話です。
最強に近い防御スキル持ちですが、それだけでは仲間を守れないと新しい力を求めます。
果たして彼はスキルを得ることできるのか?
今回はもう少し続きます。
しばらくお付き合いお願いします。




