麒麟児~お祭りと風の悪魔~
研究所の反乱を納めたクロノ一行は、アルケルに戻り、慰労会に参加する。
そこでクロノは次の目的地を知るのだった。
アルケルに戻った俺達は、クリス達や騎士団と別れ一度宿に戻った。
それぞれ部屋でゆっくりとした後、約束した冒険ギルド前に集合した。
ギルド前の広場には、アルケルの町の飲食店が露店を出し、お祭り会場のようになっていた。
今回の緊急クエストに参加した者達には成功報酬以外に露店の食事を無料で食べられるパスが発行された。
会場に集まった俺達は、1つのテーブルを確保して座った。
周りはとても賑やかで本当に緊急クエストがあったのかと思ってしまうほど、明るい雰囲気の場所になっている。
会場の前のステージには騎士団長であり、この町の町長であるイクシオが立った。
簡単な挨拶の後、冒険者達をねぎらい祝賀会の開始の乾杯が行われた。
アン達はそれぞれ好きな食べ物を探しに露店に向かう。
俺はテーブルでゆっくりと酒を飲んでいた。
「1人酒ですか?」
いつもと違った少しラフな私服のクリスとラウが来た。
「みんなは食べ物を取りに行ってるよ」
「そうなんですね」
クリス達は笑顔で椅子に座る。
「今回は本当に助かりました」
クリスは頭を下げた。
「いや、俺はほとんど何もしてないようなものだ、悪魔も分担して倒したしな」
「そうかもしれませんが、やっぱりクロノさんがいなかったら今回成功しなかったと思います」
「ま、Bランク冒険者としては異常な強さだからな」
ラウは自分で持ってきた酒を飲む。
「確かにあの強さでBランクはないですよね」
クリスが笑った。
「おいおい、俺は別に好きでBランクしてるんじゃないぞ、クリスの薦めでしてるんだ」
「ですけど、そろそろランク昇格試験受けてくれてもいいと思いますが」
クリスはちょっとすねた感じで言った。
「おまえはクロノと戦いたいだけだろう」
ラウの突っ込みにちろっと舌をだすクリス。
戦闘狂みたいだぞクリス。
「では、他も挨拶してきますのでまた後で」
クリスとラウは軽くお辞儀をして席を立った。
しばらくして、手一杯に食べ物を持ってきたアン達が戻ってきた。
「お師匠さま、美味しそうなのがたくさんありましたよ」「がぁぅ」
2人とも嬉しそうだけど、
「ノーム取ってきすぎだろこれ、2人に言ってくれなかったのか?」
「いや、私も美味しそうだと思ったのでつい」
ノームも手一杯とまではいかないがだいぶ持ってきてるな。
俺は少し呆れながらも、アン達が持ってきた食事をつまむ。
お、アンの言うとおりこれは美味しいな。
しばらく、アン達と食事をした後、俺は酒を片手に席を立った。
少し、人気のなくなっている町中を散歩する。
すると、背後から足跡が聞こえてきた。
立ち止まりゆっくりと振り向くと、そこには人形を肩に乗せた1人の女性が立っていた。
「話を聞きたいと思ってた」
「そうでしょうね、ですのでお伺いに来ました」
俺はその女性と共に近くのベンチに座った。
「楽しんでるか?ウォーサン」
そう言って相手の顔を見る。
「俺は楽しんでるぞ」
肩の人形、いや、ファモンはどこから出したのか骨付き肉を手に答える。
「ま、楽しんでいることは楽しんでいるのですが、肩にコレが乗っているので」
「これとはなんだ」
「なら、降りてください」
「疲れるのでいやだ」
そう言って肉をほうばるファモン。
「この調子ですので」
少しあきれたようにウォーサンは俺を見ていった。
「はは、確かに子守りしながらはなかなか羽を伸ばせないな」
俺も笑って答える。
「それでだ、あんたが言うように2つの承諾と神器を手に入れた、これからはどうしたらいい?」
「ええ、その事を私も話しておこうと思ったのです」
ウォーサンは組んでいた足を組み直す。
「この大陸に3体の悪魔がいるのはご存じですよね?」
「ああ、あんた達2人とウィンブブだな」
「ええ、今から貴方達にはそのウィンブブに会いに行ってもらいます」
「ウィンブブに?」
「はい、ウィンブブは七大悪魔の中で唯一、神への道がある島に行き来できる悪魔なんです。
彼は神から世界に散らばった神器を探し持って帰る役目をおっています」
「ん?それにしてはあまり活動してないんじゃないか?」
「ま、神もそんなに急いでる訳でもなく、なにかないと動かないウィンブブを運動させる目的に頼んでるみたいですから」
「ぐぅたらかウィンブブは」
「ま、暇があれば寝てますからね」
ウォーサンが呆れながらも笑う。
「それで、フェレール渓谷だっか?ウィンブブのいる場所は」
「ええ、そこに行って神器を掲げればすぐに出てくると思いますよ、一応神器回収は神からの頼みですので。
そして、出てきたら神器を渡す代わりに神の島ライフに連れていってもらえるように言えば大丈夫です」
「何もしなくても大丈夫なのか?」
「ええ、貴方は島に行く為の悪魔の承諾を受けてますし、ウィンブブも神器を持ち帰るついでですので大丈夫ですよ、一応私からも伝えておきます」
「わかった、ありがとうな」
「いえいえ、貴方の願いが叶うといいですね」
そう言って肩でぐたっとして寝ているファモンが落ちないように気を付けながらウォーサンは立ち上がった。
優しいんだな、悪魔でも。
「それではいずれ戦える日を楽しみにしてます」
穏やかな笑顔を残しながら、物騒な事を言ってウォーサンは広場に戻っていった。
さてと、俺も戻るかな。
俺はアン達が、まだ食べているであろうテーブルに戻る。
明日からの計画を伝えないと。
俺の目的ももうすぐ叶えられるはずだ。
翌朝、俺達はウォーサンから聞いた情報を元に、アルケルで馬車を借りフェレール渓谷に向かった。
道中、モンスターや野党が現れたが、一瞬でアン達が倒してしまった。
もう、よっぽどの相手以外には負ける事はないんだろうな。
順調に馬車をとばし、日が落ちる前にフェレール渓谷の入口に着いた。
大きな平たい山に一筋の亀裂が入り谷になっている。
谷の真ん中には川も流れており、その川が渓谷近くの村の水源になっているようだった。
渓谷の入口には巨大な生物が山に向かって寝ているような姿を想像させる大きな岩がある。
これも百年ほど前から有名な名所になっているらしい。
「すごい大きい岩だね」
アンはその岩を見上げながら言った。
確かにすごい大きな岩だが、先程からその岩の頭?の部分がこちらを見ているような気がする。
「あ~あ、きちゃったかぁ」
頭に直接響く声。
「え?な、何?」
アン達は辺りを見回す。
俺はじっとその大きな岩を見る。
やはり、これが風の悪魔か。
大きな岩はゆっくりと頭を持ち上げこちらを見た。
「え?こ、これが悪魔?」
アン達も驚いている。
確かにこんな大きさとは思わなかった。
「はじめまして、僕がウィンブブ、風の悪魔だよ。
せっかくいい気持ちで百年ほど寝てたのに仕事持って来ないでよ」
頭の中でため息するなよ。
「ウォーサンから話は聞いてるか?」
「ああ、聞いてるよ。
ほら、僕の背に乗って今から行くよ、早く済ませてまた寝たいからね」
どれだけ怠け者なんだ、この悪魔。
ウィンブブはその巨体で地面に寝そべった。
すごい地響きと風で近くの村は大変だろうな。
「もうちょっとゆっくりと横になれよ」
「んんん?別にいいじゃない、面倒だよ」
はぁ、俺はため息をつきながら、アン達とウィンブブの背中に移動した。
ちょっとした丘に登る感覚だなこれは。
背中の中央には小さな洞穴があった。
中に入ると案外広く椅子と机がおいてある。
「そこに座ってて、しばらくはかかるから」
そういうと、また地響きがなる。
俺は洞穴の入口から外を見た。
いつの間にか空に舞い上がっている。
さぁ、いよいよ神の住む島だ。
目的までもうすぐそこた。
クロノ達は目的の島、神の住む場所へと旅立ちます。
そこでクロノ達を待ち受けるのは?
では、また次をお楽しみに
不定期投稿で申し訳ないです




