麒麟児~研究所悪魔大戦 火の悪魔編~
クロノに『バトルフィールド』に送られたノーム達。
相手は火の悪魔。
さぁ、戦いが今始まる。
ふぅ、これは何かのハンデなのか?
ラウとノームは背中合わせで立っていた。
辺りは所々マグマが見える岩場。
火の悪魔の姿は見えない。
時々、マグマから炎に包まれた岩がノーム達の方に飛んできて、ノーム達が剣で打ち壊すといった攻防が続いていた。
「どうにかしないと鬱陶しいね」
ラウが剣で防いだ後ぼやく。
「ま、溶岩の中に潜んでいるのは間違いないでしょうけど」
ノームがぼやきに答えた。
「仕方ない、少し本気を出そうかな」
ラウがそういいながらクレイモアを地面に突き立てようとした時、
「はは、そろそろ疲れてきただろう」
バカは姿を表した。
「あのまま隠れてても良かったんですけどね」
「たぶん、バカなのよ」
こそこそとラウ達は話す。
悪魔はそれを気にすることなく、腕組みをしながらラウ達を見下ろした。
少しラウ達より高く浮かび上がった悪魔はにやりと笑い、手をラウに向けた。
「ほら、これでもくらえ」
突如四方八方のマグマから、炎に包まれた岩が放たれる。
「はぁ、バカの1つ覚えか」
ラウは『空間移動』を使い全てを切り落とした。
「ほほぅ」
余裕の声を出そうとしているが、悪魔の声は震えていた。
「もう少し、体力を削ってやらないといけないようだな」
粗かさまに逃げる口実のような台詞を残し、悪魔はマグマに潜る。
「普通に弱いですね」
「弱いなぁ」
ラウは先程やろうとしたようにクレイモアを掲げ地面に突き刺した。
「ぎゃぁぁ~」
悪魔は断末魔と共にマグマから姿を表す。
「な、何をしたぁ」
脇腹を押さえた悪魔はラウ達を睨む。
「私のスキルは『空間移動』別に自分を移動させるだけじゃないんだよ」
クレイモアを地面から抜き、手前に突き出す。
「ぐぎゃ~」
突き出したはずのクレイモアの刀身が半分消えて、消えた残りの刀身は何もない空間から現れて悪魔の右腕に刺さっていた。
「こういう事もできる」
「く、くそう、実体のない俺になぜ攻撃が」
ラウはにやりと笑って、クレイモアを見せる。
「Sランク冒険者は少なくとも1つは伝説級の武器を持ってるのだよ、私のこのアストラルキラーのようにね」
アストラルキラー
実体のない存在にダメージを与えられる武器。
ラウのクレイモアの刃は実体を切りつけるために後付けされたもので、もともと刃がアストラル体でできている武器。
「ま、当たらなければ意味はないんだけどね、火の悪魔にはさっきの攻撃は効かないよ」
「ば、馬鹿にするな、火の悪魔は俺だ」
焦り顔で叫ぶ悪魔。
ラウは別に気にしないように喋りかける。
「次に隠れるような馬鹿な事したら、さっきの方法で突き倒す」
「ふ、ふはは、せっかく勝てそうな戦法を捨てるとはな」
悪魔は笑いながら両手を上げる。
すると、マグマからたくさんの火球が空に上がっていく。
ノーム達はそれをじっと見ていた。
空を覆うように広がる火の玉。
「これなら、避けようがないだろう、俺を馬鹿にした事を後悔しろ、マグマ・レイン」
空に広がる火の玉がノーム達に向かって落ち始めた。
実体のない悪魔にはダメージはないだろうが、ノーム達ではノーダメージではすまない量だ。
ノームがゆっくりとラウの前に出る。
「ラウばかりに任せていては面白くないので、今度は私がやらせてもらいますね」
その右手にはブラックイレイザーを持っている。
「ブラックイレイザー、多連装ランチャーモード」
「了解、多連装ランチャーモードニ移行シマス」
」
多数の砲口の付いた銃器を肩に乗せ、ノームは空に向かって引き金を引いた。
銃口から魔力の塊が空に向かって放たれる。
魔力の塊は火の玉に当たり大きく爆発する。
その爆発に巻き込まれ、火の玉は次々と消えていった。
爆発が終わる頃、2人の女性は無傷で悪魔と対峙していた。
悪魔は言葉も出ず立ち尽くす。
「ブラックイレイザー、通常モード」
「了解、通常モードに移行シマス」
ハンドガンに戻った銃を悪魔に向けるノーム、そして撃った。
「がぁ」
悪魔は後ろに大きくのけ反った。
そして、そのまま倒れることなく、にやけた顔でゆっくりと体を起こした。
「なんだ、お前の武器、たいしたことないな、気をつけるのはあの剣だけか。
その武器は魔力の塊を打ち出すのだろう、それと鉄の弾丸に魔力を纏わせてるようだが玉は私には効かないし、魔力は俺の飯だからな」
さっきまで放心していた事が、嘘のように悪魔は笑う。
「ラウ、そろそろ終わらせましょう」
「そうだな」
「ブラックイレイザー、バスターモード」
「了解、バスターモードに移行シマス」
ノームはブラックイレイザーを両手で構え、悪魔に向かって引き金を引いた。
ドラゴンブレス、そう言われるほどの凄まじい光の筋が悪魔に直撃する。
しかし、悪魔はその光に飲まれる事なく、逆に飲み込んでいく。
「はぁはは、いくら好物でもそんなにいらないぞ。
ま、吸収しすぎて自爆でも狙ってるんだろうが、俺には限界などない」
勝ち誇った悪魔は両手を大きく広げ、ノームの攻撃を浴びるように受けた。
「まさか、そんなに待たないわよ」
「え?」
悪魔は背後からのその声を聞いたと同時に、真っ二つになって消滅した。
悪魔の消えたその場所にラウが立っている。
クレイモアを軽々とふった後、地面に突き刺す。
「なんか本物と戦ってたら雑魚すぎたわ」
「はは、だいぶ差がありますね」
ノームは武器をしまいながらラウの方に歩いていく。
徐々に光に包まれ消えていく2人。
「みんなのところに戻ろうか」
「ええ、他の人たちも終ってればいいですけど」
1つの戦いが終わり新たな戦いが始まる。




