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転移無双  作者: 天野 空
第五章 麒麟児
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麒麟児~研究所悪魔大戦 土の悪魔編~

クロノに『バトルフィールド』に送られたアン達。

相手は土の悪魔。

さぁ、戦いが今始まる。

アンとシロマは所々に岩が飛び出している岩場で、土の悪魔と対峙していた。

『バトルルーム』で選ばれる場所はランダム。

こういった相手に有利な場所が選ばれる時もある。

「さて、どうしかけるかだね」

「がぅ」

アンは用心深く相手を見ながら言った。

相手の悪魔は余裕なのか岩の上に腰かけ、こちらを見下ろしていた。

「まさか、こんな場所に飛ばされるとは。

だが、ここは俺には独擅場ですね」

土の悪魔は思ったより流暢な喋りだった。

「ほら、そっちから来ないならこっちから仕掛けましょうか?」

土の悪魔はそういうと、おもむろに左手をアン達に向ける。

「アースランス」

悪魔の言葉と同時に悪魔の左腕が砕ける。

砕けた腕は無数の岩の槍となり、アン達に打ち出された。

「がぅ」

少し驚いたシロマだったが、すぐさまアンの前に立ち両腕を地面につける。

大きく息を吸い、大咆哮を放った。

土の槍はアン達には届かず、全て粉々になる。

「なかなかやりますね」

土の悪魔は笑いながらそれを見ていた。

砕け散った土の槍は舞い上がり、悪魔の左腕の場所に戻り元に戻った。

「私の相手は2人で退屈かと思ったのですが、少しは楽しめそうです」

悪魔はゆっくりと岩から下に降りてきた。

地面に着く寸前、アンはすごい勢いで間を詰めた。

シロマが大咆哮を放っている間に『神気』を纏っていたのだ。

「五の太刀 雪崩」

振りかぶった神木刀が5本に分かれ振り下ろす。

すかさず「陸の太刀 合掌」

左右から合わせて6本の刃を悪魔打ち込む。

すぐに相手との距離を開ける、アン。

アンの連続技に、悪魔は地面に降り立つ前に粉々になり、地面に落ちた。

しかし、アンもシロマも臨戦態勢を崩さなかった。

相手の強烈な気配は全然変わっていなかったのだ。

「はは、さすがここまで粉々にされるとは」

岩の塊から声が聞こえる。

岩の塊は舞い上がり、先程と同じように悪魔の形に戻っていった。

「しかし、それも無駄ですが」

アンはシロマに目で合図をし、まだ喋り終わらない悪魔との間合いを積める。

そして、またも連続技を放ち悪魔を粉々にした。

すぐにその場から飛び上がるアン。

後ろでシロマが大きく息を吸って大咆哮を粉々になった悪魔に浴びせた。

粉々になった岩が全て震える。

そして、乾いた音をたて地面に散らばった。

先程までの強烈な気配はない。

シロマの横に降り立ったアンはまだ、剣を構えたままだった。

お師匠さまが言っていた相手の核を、さっきの攻撃でダメージを与えられていたなら、そう思ったアンを、シロマがいきなり頭上に放り投げる。

両腕を振りかぶったシロマは思い切り足下の地面を殴打した。

凄まじい音と共にシロマを中心にクレーターが出来た。

アンがシロマの横に降り立つ。

アン達の目の前で砂煙が上がり、土の悪魔が現れた。

「まさか、こちらの攻撃が分かったんですか?」

相変わらず笑いながら土の悪魔はアン達を見る。

「嫌な気配が足下からした」

シロマはその気配から、下から悪魔の攻撃がくると思い足下を攻撃したようだ。

「もしかして、核を狙っての攻撃だったのですか?」

悪魔は意地悪そうに言う。

「その顔は図星ですか、残念ですが俺に核は存在しないんですよ。

というか、私全てが核ですので全てを消すなら別ですが」

先程地面からの攻撃を仕掛けたところを見れば、相手の全てを消し去るという事はこの場所全てを消し去らなければ倒せないという事。

アン達はその事実を受け止めながら次の手を考える。

「やられっぱなしもしゃくなので、これでどうですか?」

両腕を掲げる悪魔。

腕は崩れ、尖った小石になって空に舞い上がる。

「ストーンレイン」

舞い上がった小石は雨のようにアン達に降り注いだ。

シロマは空に向かって大咆哮を放つが数が多すぎる。

アンはシロマの前に立ち、「七の太刀 刃の盾」を放った。

「ほほぅ」

かろうじてしのぐアン達を見て、悪魔は感嘆な声をあげる。

「なかなか耐えますね、では、これは?」

悪魔はそういうと頭だけを残し、先程より大きな塊の岩がアン達の頭上に舞い上がる。

「アースレイン」

アン達の頭上の岩が降り注ぐ。

「く」

アンとシロマは、刀と爪で降り注いでくる岩を砕いた。

しかし、全てを砕くことは出来ず、アンとシロマは傷を負っていった。

「さすがに防げなかったようですね」

悪魔は元の姿に戻りこちらを見ている。

アンもシロマも打ち身と擦り傷が体中に付いていた。

これ以上戦いを続けてはいつか体力が尽きてやられる。

アンは自分の腰に手を当てた。

そこにはお師匠さまからいざという時以外には使わないように言われた草薙剣があった。

柄を握る。

なぜかそれだけでアンは落ち着いた気持ちになった。

アンを拾った時に一緒にあったと言われたその剣はアンに力を貸しているようだった。

「シロマ、少しだけ時間作れる?」

「もちろん、がぅ」

傷だらけだが、シロマは笑顔で答えた。

シロマはゆっくりと前に出る。

そして「がぅ~~」と大きく遠吠えをした。

淡いが力強い光がシロマを包む。

シロマのスキル『怒りの解放』が発動した。

シロマは、土の悪魔に全力で攻撃を開始した。

力、速さは今までとは比べられない程、まさに攻撃の嵐が悪魔を襲う。

悪魔からは笑みが消え、その攻撃を防ぐのに手一杯になっていた。

アンは腰の草薙剣に力を込める。

鞘の中で刀が力を持ち始めるのを感じる。

しばらく使っていなかったその剣は、持ち主の期待に答えるようだった。

アンも手に馴染むその剣を握りしめ相手を見た。

頭の中に1つの言葉が浮かび上がる。

それは今までに感じたことのない力。

初めからそれを知っていた感覚。

「シロマ」

アンの言葉にシロマは大きく飛び下がる。

そして、アンは前に倒れ込むように足で地面を蹴る。

『神技 一閃滅殺』

アンは悪魔とすれ違う時に一閃、ゆっくりと刀を鞘におさめた。

鍔鳴りがして、悪魔は我に返る。

ゆっくりと悪魔はアンに振り向きながら、砂に変わっていった。

『神技 一閃滅殺』

単に技というよりはアン固有のスキル。

『神気』を極限まで溜め込んだ草薙剣は、切った全てのものに終わりを示す。

切られたものは切られた事も分からず、鍔鳴りによって我に返り滅する。

まさに神の技だった。

アンとシロマがゆっくりと消えていく。

勝敗は着いた、彼女達2人はクロノの元に戻るのだった。

1つの戦いが終わり新たな戦いが始まる。


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