麒麟児~白い熊だから~
アンが連れて帰ってきたレアモンスター
アンは連れていくと聞かなかった。
さぁ、クロノ育ての親としてビシッと言う時だ。
「捨ててきなさい」
「いや」
これで何度目か、拾ってきたホワイトグリズリーを抱っこしたまま、アンが答える。
ホワイトグリズリー
グレートグリズリーから稀に生まれるレア個体、この個体の成体は未だに発見されていないらしい。
どうして、あの凶悪なグレートグリズリーの個体なのに成体にならないのか、それはそのスキルにある。
生まれた時に持つはずのスキルをこのホワイトグリズリーは1つも持たないのだ。
その性で他のモンスターに食べられたり、希少性で冒険者に狙われている。
そんなレアなモンスターを連れて歩くなんて、アンはスキルの性で目立つのに、余計に目立ってしまう。
しかし、アンは頬を膨らませたままホワイトグリズリーをぎゅっと抱っこしていた。
なんか、ホワイトグリズリーが苦しそうなのは言わなくていいのだろうか?
「分かったよ」
「え?」
アンの腕のちからが抜ける。
ホワイトグリズリーが、安堵したように見えた。
「連れていっていいの?」
「そうしないと、進まないだろ」
うんうんと嬉しそうに頷くアン。
さて、どうするか?
俺はホワイトグリズリーに近づき、そっと触る。
これで変わってくれたらいいんだが。
しばらくすると、ホワイトグリズリーが光に包まれる。
「え?な、なに?」
光が眩しくても決して離さないアン。
そして、光が消えた時、アンが手に抱いていたのは1人の女の子だった。
あ、メスだったか。
「え?え?」
「落ち着けアン。その子がさっきまで抱いてたホワイトグリズリーだ」
アンは俺の言葉にきょとんとする。
ホワイトグリズリーも同じような表情でこちらを見ていた。
「腕のところがグレートグリズリーと同じだろ?」
そう、その子の腕は大きな手甲を着けてるように大きく白い毛に覆われている。
パッと見は手甲に見えるだろう。
「どうしてこんな事に?」
「たぶん、レアモンスターだからじゃないか?」
「そうなの?」
不思議そうにホワイトグリズリーを見ながら頭を撫でている。
俺は『アイテムボックス』から服を出して、アンに渡した。
「よし、今日からあなたはシロマね」
服を着せながらホワイトグリズリーに言う。
すると、気に入ったのか、
「がぅ」と可愛い声で返事した。
ま、これでシロマがホワイトグリズリーだとはばれないだろう。
俺が『コピー』したスキル『変化』が発動してよかった。
「それじゃ、グラグリに会いに行くぞ」
「了解」「がぅ」
こんなに人懐っこいのかホワイトグリズリーって。
俺達はその後、『ゲート』を使いグラグリのところに行き、交換物であるアーリーレックスの牙を渡した。
グラグリからワカチャの実をもらい、またも『ゲート』を使い、アルケルの町近くに出た。
「帰りはあっという間だったね」
「まぁ、『ゲート』使えばな」
「がぅ」
「さ、冒険ギルドに行ってクエスト報告するぞ」
「あいあいさ」「がわわぅ」
乗りのいい2人?を連れて町に、案の定門でシロマの事に聞かれたが、冒険書を見せなんなく通れた。
「なんか久しぶりな感じがする」
「それだけ、充実した冒険だったんだろうさ」
「そうだね」
「ほら、初クエ報告してこいよ」
俺はワカチャの実をアンに渡す。
アンはシロマと手を繋ぎながらカウンターに向かった。
カウンターでは、クエスト受注してくれたお姉さんが判子を押してくれてるみたいだった。
満面の笑みで戻ってくるアン。
「クエストクリアだって」「がぅ」
シロマもよく分かっていないが嬉しそうだ。
「よくやった」
2人の頭を撫でながら、
「今日はうまいご飯でも食いに行くか」
と伝える。
2人は大喜びだった。
その後、俺はカウンターでアーリーレックスの素材を売る手続きを行い、3人で素材を売りに行きながら、今日の晩飯の場所を探した。
テーブル一杯に並べられたご馳走。
今日は奮発してしまったか?
ま、新しい仲間もできたし、何よりやっと目的の為の冒険に出掛けられるからな。
テーブルの上には今日狩ったアーリーレックスの
肉で作った料理も置かれていた。
素材を持ち込み料理してもらったのだ。
アンもシロマも美味しそうに食べていた。
確かに肉厚の割には柔らかくて、そして、専用のタレによくあっている。
デザートの桃を食べて、俺達は今日の宿に向かった。
アンとシロマは同じ部屋、俺は1人部屋だ。
「それじゃ、明日は朝から用事で冒険ギルドに行くから早く寝ろよ」
「はい」「がーぅ」
返事はいいけどな、いつも。
そして、俺は風呂に入った後、寝床に着いた。
ギシギシ
ベッドに誰かが来たか?
「アンか?」
暗闇の中、声をかける。
殺気はなかったからほっておいたが、アンにしては大きいような。
声をかけたが返事がない。
しかし、確実に何かがベッドに上がってこちらを見ている。
怖いから、何か言ってくれないと。
俺は電気を付ける。
いきなり眩しくなって、目を隠す侵入者。
そして、俺はベッドに上がっている人物を見た。
白い大きな手で顔を隠し、その大きな胸とスラッとした体で侵入者はベッドに座っていた。
背は明らかにアンより大きいがまさか、
「シロマか?」
「はい、御主人」
可愛い声でシロマ?はベッドの上で返事をした。
子どもに勝てなかったクロノ。
そして、突如大きくなったシロマに夜這い?され、次回はどうなるのか。
注意、この作品は18禁ではありません。
次回をお楽しみに




