麒麟児~類は友が呼べる~
突如襲いかかろうとするフード姿の冒険者。
アンとクロノはそのアンノーンと対峙する。
果たして、その相手は何者なのか。
「この獲物は私がもらう」
その深く被ったフードの下から殺気が感じられる。
強いな、今のアンでも勝てるかどうかか。
「その獲物は私達が狩るんだけど」
アンは負けずに言い返す。
相手からは目を離さず、いつでも戦闘に入れる体勢のアン。
「アン、相手はかなり強いぞ」
「うん、分かってる。でも、やるよ」
アンはゆっくりと間合いを詰めていく。
アンはやる気だか、今はまだ無理をする必要はないな。
アンの後ろで俺はブロードソードを抜く。
そして、戦闘系のスキルをいくつか発動した。
ビク。
アンが相手を見たまま、体を揺らす。
『威圧』のスキルを感じたか。
フードの相手も目線がこちらに向いた。
「アン、俺がやる」
動かないアンの横をゆっくりと通りすぎ、俺はフードとの間合いをゆっくりと詰めていく。
「あなた、何者なの?」
「ただのB級冒険者さ」
殺意をこちらを向けたままフードも剣を抜いた。
「B級がそんな化物みたいな雰囲気出さないわよ」
「そうかい?」
「それにあなたステータスが確認できない」
「それはお互い様だろ」
さっき対峙した時に、確認しようとしたがステータスがアンノーンになっていた。
クリスに聞いたことがある、S級冒険者はステータスを隠すことができると。
「ふぅ、分が悪いわね」
「そう思ってくれるなら、助かる」
「今回は退くわ、次は分からないけど。
それにあなたにはいろいろと聞きたいし」
「いつでもどうぞ、殺り合いじゃなければ」
俺がそういうと、フードは森に消えていった。
「ふぅ、お師匠さまの本気、初めて見た」
「そうか?」
ま、本気にはなってないけど、それでも魔王級を相手にするくらいはスキルを使ったかな。
「それじゃ、気を取り直して戦ってきな」
「わかった」
先ほどの戦いで動きが完全に止まっていたアーリーレックスもゆっくりと動きだし、こちらの様子を伺っている。
そして、アンは自分と木刀に『神気』を纏わした。
「上出来だな」
「かなり使い勝手がいいよ、お師匠さま」
仰向けで倒れているアーリーレックスの上で木刀を掲げ振っているアン。
アンは全ての技をアーリーレックスに対して使って倒した。
アーリーレックスを、反撃も出来ぬまま倒したのだから、アンの実力がだいぶ上がっているのは、目に見えて明らかだった。
これなら冒険の本当の目的も達成できるだろう。
「よし、それじゃ、アーリーレックスを『解体』するから少し待っててくれ」
「はい、ちょっと探索してていい?」
「ああ、遠くまで行くなよ」
アンは頷いて森に入っていく。
ま、あの実力ならこの辺のモンスターに負けたりはしないだろう。
俺は『解体』のスキルをアーリーレックスに使う。
大きさが大きさだけに少し時間がかかるか。
「ふう、やっと終わった」
アーリーレックスを無事『解体』して、牙も手に入れた。
その時、背後に知った気配が現れる。
「案外早い登場だな」
「背後をとっても驚かずそれも感知されてるとは」
「ま、いろいろと持ってるからな」
背後にいるのは先ほどのフードの相手、『存在感知』という自分中心から任意の距離のものを感知するスキルを使っているので、すぐに分かった。
「で、殺り合いじゃなく話し合いかい?」
俺はゆっくりと背後を見る。
フードの人物はそのフードを取り、素顔をさらしていた。
黒髪のショート、女性らしく綺麗な顔立ちをしていた。
目を引かれたのはそのオッドアイ。
黒と赤の目をしていた。
「この目が気になる」
「ま、気にはなるが、そういう相手はたくさん見てきたからな」
「ふ、たくさんか。これはある。スキルの影響よ」
「そうか、深くは聞かないよ。で、何の話をしに来た?」
「まずは自己紹介から、私はノーム。単独のS級冒険者」
「ご丁寧に、俺はクロノ。連れと2人パーティーのB級冒険者だ」
俺は冒険書をノームに見せる。
「本当にB級なのね、信じられないけど」
ノームは近くの倒れた木に座る。
「だから、さっきから言ってるだろ」
俺も向かい側の木にもたれた。
「ま、それはおいといて、単刀直入に聞くわ。クロノは転移者でしょ?」
その言葉に少しノームを睨んでしまう。
「その表情で分かった、やはりね」
しまったなぁ、ポーカーフェイスしないといけない時に表情がすぐに出してしまう。
「なぜ、転移者と思った」
「この世界を知らないの?」
「?」
ノームの言葉に疑問が出る。
「ま、いろいろとこの世界を見てないみたいだから仕方ないわね」
「知ってること教えてもらいたいな」
「報酬は?」
「アーリーレックスの素材ってところでどうだ」
「なら、アーリーレックスの魔晶石をもらう」
魔晶石か、モンスターが生きながら溜め込んだ魔力を体内で石にする。
素材的にはレアだが、
「いいぜ、ちょうど取れたし」
俺は魔晶石を見せる。
この世界の事が知れるなら安いものだ。
「この世界は次元が緩くなっている」
「次元が緩い」
「そう、だから、他の世界のものがこの世界に入って来られやすいの」
なるほど、初めての自力の異世界転移だったから、入りやすい世界に来たという事か。
「そして、私を含めS級冒険者はだいたいが異世界転移者」
「へぇ、あんたもこの世界に来たのか」
「ま、私の場合は流されたという感じかな」
「なるほどね、それでその転移者さんは何を求めてるんだい?」
「仲間よ」
「仲間?また、なぜ?」
「私には魔力が必要なの、それも強大なね。
いくつか魔王級と戦ったけど、やはり単独は辛くてね。
それで、強い相手を探していたわけ。」
「なるほど、その相手に俺達か」
「そう言うこと」
スカウトを殺気だしながらされたのは初めての体験だ。
「殺す気まんまんだったと思ったが」
「あれで怖じ気づくなら、相手にならないわ」
不器用なだけか?
「それで、情報はそれだけか?」
「そう、この世界は転移者を受け入れやすと言う事と、旅には強い冒険者がいるでしょ?」
なんとなく俺の目的を感ずいてるのか。
確かにさっき魔王級と何回か戦ったように言っていた、俺の目的には必要な情報だ。
戦力的にも申し分ない。
「ほらよ」
俺は魔晶石を投げる。
パシっとノームはそれを受けとる。
「アルケルに今滞在している、明後日の朝、冒険ギルドで落ち合おうか」
「いいわ、待っている」
ノームはそう言うとフードをかぶり、また、森にへと消えた。
ま、害を及ぼすようなら止めれるし、本当に仲間になってくれるならありがたいからな。
「お師匠さま」
ちょうどアンが戻ってくる。
どっかで聞いてたのかと思うくらいのタイミングだな。
俺はアンの方に振り替えると、
「何持ってきたんだ」
その手に抱えてるものの正体を聞いた。
「近くでモンスターに襲われてたから助けてきた」
そういって、その手のものを見せる。
それは、レアモンスターと言われるホワイトグリズリーだった。
S級冒険者を仲間に加え、クロノは本当の目的の為に旅をしようと決意する。
そこにまた新たな仲間?が現れた。
更新はぼちぼちとなりますのでよろしくお願いいたします。




