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転移無双  作者: 天野 空
第五章 麒麟児
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麒麟児~初めてのお出かけ~

無事に熊肉もゲットした2人。

シチューをアンに任せ、クロノは町へと素材を売りに向かった。

その夜、クロノはある目的をはたそうと考えていた。

「八の太刀 完成したのか?」

俺は籠一杯にキノコや山菜を入れ、獲物の横に立っているアンに近づいた。

「まだ、完成じゃないかな、八艘は8人に実分身して攻撃するんだけど、まだ、5人までしか出来てない」

「5人でも十分だと思うけどね」

得物の横で籠を下ろす。

実分身はだいぶ前の打ち合いの時に2、3度見せたぐらいなのに、自分でものにしてるんだな。

俺は獲物に手のひらを向け、

『解体』を使う。

一瞬、獲物は光に包まれ、その後、肉の塊3つ、皮、爪、牙が残る。

「いつ見てもすごいね、そのスキル」

「ま、実際にしてたらだいぶ時間かかるからなぁ」

「そのスキルって私たちみたいな人相手でも使えるの?」

アンが普通に聞いてくる。

「怖いこと聞くなぁ。

ま、できるけどいろいろと制約があるからやらない、それにこのスキルは素材がランダムだからね、欲しい素材があるなら実践に解体した方がいい」

俺はグリズリーの素材を『アイテムボックス』に入る。

「さ、帰ってシチュー作るか」

「帰ろ帰ろ」

アンはそういうなりダッシュで戻り始める。

「おい、ちょっと待てって」

俺は慌ててアンを追った。


「後はこれを入れて混ぜてれば出来る」

キノコや山菜を切った物を籠に入れ、大きな鍋の横に置く。

「ただ、今から四時間は煮てないと肉は柔らかくならないから、その間に素材売ってくるよ」

「あ、町に行くのお師匠さま、私も行きたい」

「いや、アンはもうちょっとしてからかな」

「ええぇ」

文句は言いつつ鍋を混ぜ続けるアン。

「ま、今日の晩御飯が上手くなるかはアンの腕にかかってるからな」

「はいはい」

「お土産買ってくるよ、じゃ、行ってくる」

『ゲート』を開き俺は町に向かった。


『ゲート』で町近くの街道に出る。

歩くとだいたいあの森から2時間程のところにこの町がある。

町の名はアルケル。

この地域では1番大きな町だ。

まず向かうのは冒険ギルド、いろいろなクエストを受けたり、旅をするのに必要な冒険書を作ってくれる。

ギルドに入りカウンターに向かう。

「こんにちは」

「はい、こんにちは。

あ、クロノさん、いらっしゃいませ」

「久しぶりだね、クリス」

「本当にご無沙汰ですよ」

クリスは俺が冒険書を作る時に担当してくれた受付嬢だ。

「で、今日は何かクエスト受けられるんですか?」

「いや、素材を売りたいから、仲介してもらおうと思ってね」

「ああ、素材処理ですね。

分かりました、少しお待ちください」

俺が売りたい素材リストを渡すと、クリスはカウンター奥の扉に入っていった。

しかし、いつみても活気がある。

冒険者の強さもまちまちだか、広範囲でいる場合、自分のレベルに応じてパーティーを組めるからやり易い。

「お待たせしました」

ま、Sランクの冒険者はさすがにいないけど。

「クロノさん?」

「あ、ごめん、ぼーとしてた」

「疲れでも出てるんじゃないですか?

この間、Bランクに上がったばかりなのに、グレートグリズリー狩るなんて」

「そ、そうかなぁ、疲れてるのかな」

ちなみにグレートグリズリー、Bランクが6人ほどで狩る相手だ。

「それで、皮はここ、牙と爪はここで買い取ってくれるそうなのでお願いします」

「ありがとう、じゃ、これが仲介料ね」

「はい、ありがとうございます」

クエストを受けて得た素材は無料で仲介してくれるが、こういったクエスト以外で得た素材の場合仲介料がいる。

冒険ギルドで仲介せずに売れるのだが、値段がまちまちなのと買い取ってくれるところと、くれないところがあるので探すのが面倒だ。

「じゃまた、今度は新人を連れてくるよ」

「え?そうなんですか、楽しみにしておきますね」

本当に楽しみなのだろう、満点の笑みで送り出してくれた。

「最近、骨のある冒険者いないって言ってたからなぁ」

俺は、紹介を受けた店に素材を売りにいった。


「ただいま」

「ん?お帰りお師匠さま、ちょうど出来たところ」

「お、ありがとうな」

俺は椅子に座り、机にお土産を置く。

「なに買ってきてくれたの?」

「アンが美味しいって言ってた、アルケルアイス」

「やった~」

「食後に食べるか」

アンは嬉しそうに頷きながら、晩御飯の用意をした。

食後のアイスを嬉しそうに食べるアンを見て、ほっこりした後、風呂に入る。

「お師匠さま、背中流そうか?」

「いや、いいです」

風呂の扉の外から声をかけられるが断った。

最近、アンも体は女らしくなってきたからなぁ。

そして、就寝。

アンも自分の部屋へと入っていった。

とうとう明日、アンを助けてから9年がたつ。

年齢的に15歳くらいのはず、冒険書を作れる歳になった。

「やっと、スタートラインにたったか」

俺はアンに冒険書を取らせた後、ある目的の為に旅をしようと考えていた。

長い旅になるとは思うが、今のアンなら大丈夫だろう。

俺はゆっくりと目を閉じた。


「おはよう、お師匠さま」

俺が着替えて部屋から出るとアンは朝御飯の用意をしていた。

「おはよう、急で悪いが、今日一緒に町に行くぞ」

「え?本当に!」

アンが目を大きく開き、驚きながら喜んでいる。

「ああ、今日はアンの誕生日だからな、連れてってやる」

「ありがとう、お師匠さま覚えてくれてたんだ」

「当たり前だ、さ、早くご飯食べていくぞ」

「うん」

それから急いでご飯を食べたアンは、完全装備で玄関に立っていた。

ま、俺が作ったライトアーマーに腰に草薙剣を持っているいつもの格好なのだか。

「ほら、これも付けとけ」

俺は薄い水色のマントを渡す。

「ありがとう、お師匠さまと同じ色だね」

「迷子になられてもすぐに分かるようにな」

「ならないよ、お師匠さまから離れないから」

「ならいいけど」

俺は『ゲート』を使う。

「これ入るのも初めてかも」

「ま、すぐに外に出るからな、迷うことはない」

「はい」

少し緊張気味のアンと共に俺は『ゲート』をくぐった。

さぁ、これからが本番だ。

初めて町に行くアン、次回は冒険書制作の試験を受けることになります。

そして、クロノ達はある目的の為に旅でます。

では、次回はもう少し早くお会いしましょう。

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