~あわてて異世界転移中~
海の中、ゆったりと漂うクロノ。
日々の疲れか?ただの寝坊助か?
かなりの時間を海の中で過ごしていた。
起きたクロノが最初に見た光景とは?
海の中がこんなに気持ちいいとは思わなかった。
波に身を任せ、全てを委ねる。
母なる海と言われるだけはある。
この状態でどのくらい漂ったのか分からないくらいだ。
こうやってゆっくりと目を開ければ、周りには魚が泳ぎ、海面から淡い光が
「って、なんだ!」
慌てて水中で体を起こす。
俺の周りは海の中のはずなのに、着物を着た女性や鎧を着けた男性が大勢漂っていた。
「くそ、こんなに助けられない」
周りを見渡すと、1人の女性と目があった気がした。
すぐさま近づくと彼女は目を見開き、胸に抱いていた1人の子どもと剣のような物を渡してきた。
俺が受けとると、彼女は手を合わせ微笑みながら離れていった。
「くそ、なんでこんな事になってる」
早くしないとこの子も死んでしまう。
でも、異世界転移は自分の意思でまだできない、どうすればいい、どうすれば。
ピコン
久しく聞かなかった音が頭の中に響く。
(『転移』のレベルが10になりました。)
な、このタイミングで?
(10になったことで任意で異世界転移が可能です。
実行…)
する。実行だ。
声が言い終わる前に言う。
(『転移』開始、それではまたお会いしましょう)
『その子をお願いします』
いつもの見慣れた風景。
いつもと違うとすれば、腕の中に1人の子どもがいることだ。
「『蘇生』」
かは。
子どもは小さく喉をならし、水を吐き出す。
女性に強く抱かれてたお陰か、あまり水を飲んでなかったみたいだ。
「後は冷たくなってる体か」
俺は一旦受け取った剣を『アイテムボックス』に入れ、『火炎の体』を発動。
火属性に対して抵抗力が上がる以外に、体が熱くなるという特性がある。
「服の上からなら火傷はせずに、服も乾くだろう」
子どもを強めに抱き締めながら光のトンネルを行く。
まさか、あのタイミングでレベルアップするとは思わなかった。
いや、意図的にレベルアップされたのかもしれない。
異世界転移する時に聞いたあの声。
(その子をお願いします、か)
あの世界はこの子を死なせたくなかったのかもしれないな。
「次の世界で、この子が生きていけるように育てないと、子どもの面倒見るなんて久しぶりだから大丈夫かなぁ」
心配とすこしの楽しみと子どもを胸に俺は次の世界へと転移した。
新しい章に入ります。
今回は序章です。
クロノが助けた子どもの正体は最後まで明らかにはなりませんが、分かる人ならすぐ分かると思います。
ので、分かってもうんうんと思っていただけると幸いです。
こういうのもありなんじゃないかというif的な話で続いていきます。
次回からは新しい世界でのクロノと子どもが成長していくお話です。
予告通り長編になる予定なので、ゆっくりとお付き合いくださいませ。




