表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移無双  作者: 天野 空
第十六章 これはホラーである
156/186

そして、真犯人は暴かれた

「さて、読んだ感想聞かせてくれるかな?」

キミがカウンターで本を読んでいると、本の持ち主が隣に座ってきた。

黒崎時次郎だったか?

確かにこの本は駄作だった。

「ん?気に入ってもらえなかったみたいだね」

キミは本を閉じ、カウンターに置き滑らすように本を返す。

「はぁ、これは事実に基づいた本だよ。

それでも、キミは不満なのかい?」

「…」

「過去は変えられない。

多くの人間が断念してきた事だ。

過去を変えると未来も変わるからね」

「…」

「多くの人の未来が変わるかもしれない」

「…」

「一番変わるのはキミだけどね」

「…」

「キミはそれを望んでいるのかい?」

キミは深く頷いた。

「…

分かったよ、僕はハッピーエンドが好きなたちでね。

無実の罪で捕まっている人がいるのはあまり好きではない」

そう言って彼は立ち上がり、暗闇へと歩いていく。

「また、会えたら会おうか」

後ろ手で手を振る彼とはもう会えない気がした。

ホールズは事情を刑事に説明した。

ロストロード刑事はモアリーを重要参考人として警察に来るように伝え、別室に連れていこうとした。

ピンポン

また、チャイムが鳴る。

『え?』

一同はお互いを見る。

ロストロード刑事の話では1人で来たと言う事だが?

執事が玄関に様子を見に行った。

しばらくして、執事は1人の警察官を連れて戻ってきた。

「あなたは何者ですか?」

ホールズは警察官に聞く。

すると横からロストロード刑事があっとした顔になった。

「また、1人で先に行ったんですね」

「いやぁ、何か電話してたみたいだったから」

「そりゃ、本部に電話するでしょ。

今から調査するんですから」

「はは、そうだね」

ロストロードは頭をかいている。

「誰なんですか?」

ホールズはロストロードに聞いた。

「ああ、彼は私の相棒で最近赴任してきた、黒崎時次郎です」

「よろしくお願いします」

時次郎はみんなに軽く会釈する。

「それで、状況は?」

時次郎はロストロードに聞いた。

ロストロードは聞いた話を時次郎に聞かせる。

「なるほど、それで彼を別室に?」

「ああ、あの名探偵さんの推理だからね、ほぼ間違いはないだろう」

「はぁ、それじゃ、僕達警察いらなくなっちゃうじゃないですか、しっかりしてください」

バシィン

時次郎はロストロードの背中を思い切り叩く。

「いたぁ!

いきなり、痛いじゃないか」

背中を思い切り叩かれ怒るロストロード。

「それじゃ、彼を別室に」

ホールズはロストロードに言った。

「ええ、そうなんですが…」

何故か考え事を始めるロストロード。

そして。

「すいません、ちょっと現場を見てきますのでここで待っていてくれませんか?」

「え?」

ロストロードの言葉に驚くホールズ。

「ま、警察が現場を確認するのは当たり前ですから」

時次郎もその場にいる人達に言った。

「分かりました」

ホールズはソファに座る。

「では、しばらくここでお待ちください」

そう言って警察2人は部屋を出ていった。


「珍しいな、現場を見たいだなんて」

廊下を進み現場に向かう途中、時次郎がロストロードに言った。

「そうなんだよね。でも、今日はなんだか気になってさ」

2人は雑談しながら現場に到着する。

部屋では事件当時のままの状態だった。

「さて、どこから見る?」

「そうだな」

ロストロードはベイカーを見た。

確かにホールズの言う通り首に何かを巻き付けられて殺されている。

開けっぱなしの窓から外を見る。

今は雨が止んでいた。

すぐ下は庭だが、少し行けば森になっていた。

部屋の金庫は開いていて、不自然に隙間が開いている。

「ここに何かあったのかな?」

ロストロードは時次郎に聞いた。

「ん?

そうだな何かあっただろうな」

「どうにかここにあった物がなんだったか分からないかな?」

「ま、普通は分からないけどスキル使えば分かるけどな」

「え?」

「みんな持ってるもんだぞスキル。

ま、口で言うより実際に見た方が早いだろ。

『時戻り』」

時次郎がスキルを発動する。

淡い光が金庫を包んだ後、開いていた隙間に書類が現れた。

「え?」

「『時戻り』任意に時間を戻すスキルだよ。

ちなみにレアスキルな」

「はぁ…」

「ほれ書類」

時次郎から書類を受けとるロストロード。

「なるほどな」

一通り目を通したロストロードは書類を時次郎に渡す。

時次郎も書類に目を通した。

もう一度窓に向かうロストロード。

「あのさぁ、スキル使えばあの森までいけるかな?」

「ん?」

時次郎も窓に来て外を見る。

「条件はこのスキルでって事で」

ロストロードは時次郎から書類を受け取り1人のスキルを指差す。

「大丈夫だろうな。

それじゃ、行ってくるから玄関よろしくな」

そう言って時次郎は助走をつけてから、窓に向かって走り窓の外へとダイブした。

「まじで行けるんだ」

ロストロードはそんな相棒を見た後、みんなの待つ客室に向かう。

さぁ、種明かしの時間だ。


「お待たせしました」

みんなの前に立つロストロード。

「何か進展はあったのかの?」

モアリーが聞いてくる。

「少しお待ちください、相棒が来るまで」

「そう言えば時次郎刑事がいないな」

ホールズは周りを見渡す。

ピンポン

また、玄関からチャイムの音。

「執事さんちょっと玄関を開けてくれませんか?」

ロストロードに言われて執事は玄関へと向かった。

そして、ズボンの足元が濡れている時次郎を連れて戻ってきた。

「どうして、外から来たんですか?

下に降りたようには見えなかったのに」

確かに客室から横の廊下はガラス越しに見る事が出来る。

そこを通らなければ外には行けないはずだった。

「それはおいおいと。

ては、これからこの事件の話をしましょう」

そう言ってロストロードは話し始めた。


まず始めにベイカーさんがなぜ殺されたかを話しましょう。

簡単に言えば怨恨です。

金貸しですからね。

それもだいぶ悪どい事をしていたみたいですね。

この中にいる執事さんと給仕2人以外の4人はベイカーさんからお金を借りていますね。

今回のホールパーティーもたぶん返金の催促か何かだったのでしょう。

そこでトラブルか殺人犯の計画が実行された。

そうそう、さっき時次郎が森で面白いものを見つけたそうです。

1本のロープ。

これが犯行に使われた物でしょうね。

そして、このロープにはある物が付着していた。

それは、死肉です。

そう、死んだ人間の肉ですね。

え?

ベイカーさんの物ではないのか?

いえ、それはないですね。

少し腐臭がしていました。

死んでだいぶ時間がたっているのでしょう。

そこで、気になるのがこの書類です。

この書類をどこで手に入れたのか?

それは優秀な相棒のお陰なんですよ。

スキルを使って見つけてくれました。

そして、この書類にかかれている事から、モアリーさんあなた右腕を事故で失くしていますよね。


『え?』

一同はモアリーの腕を見た。

しかし、その右腕は健在だ。

「すごいな、余程の名探偵が調べた書類か?」

「ええ、そうみたいです」

ロストロードは笑顔で答えた。

「その通りだよ」

モアリーがそう言って前に出した右腕は先程と違って少し腐った死人の腕だった。

「スキル『偽装』で普通の腕に見せかけてたんだよ。

片腕だと何かと不便でね。

私は研究で死について調べていてこれはその成果の1つだよ。

だが、所詮死んだ体だ。

ずっとはもたなかった」

「それで、その代わりを手に入れるお金をベイカーさんに借りていた訳ですね」

「ああ、その通りだ」

「じゃぁ、やっぱり犯人はモアリー教授?」

ハリソンがロストロードに聞いた。

「いえ、そうではないんですよ。

実はこのロープはこの別荘から少しはなれた森に落ちていたそうです。

事件があった時は雨風共にすごかった。

その中でロープだけを森に投げるのは無理でしょう。

なら、どうして森に落ちていたか」

ロストロードは静かに今回の事件の真相を話し始めた。


今回の事件はまずベイカーさんの死んだ時間から間違っていました。

彼は実はもっと前に亡くなっていたのです。

え?

それはおかしい?

私は彼に会っている?

そうですね、確かに執事さんは彼に会っている。

しかし、彼の死体にですが。

執事さんが会った彼は喋りましたか?

顔色はどうでした?

そして、首元は見れましたか?

そうですよね。

首元にはマフラーを着け、一言も喋らずカップを取った。

顔色も真っ青だったでしょう。

暗いですからね、はっきりとは分からないでしょうが。

部屋にあったカップを見ました。

一口も口を付けられてなかった。

自分から頼んだ物で寒かったはずなのに口を付けないのはおかしいでしょ?

そこで、この書類の出番です。

ある人物が面白いスキルを持っていたんです。

スキル名は『死体操作』

死人に意識を持たせて操るスキルだそうです。

ねぇ、ホールズさん。


『え?』

1人を除きみんながホールズを見た。

ソファに座るホールズは真っ直ぐロストロードを見ていた。


では、真相はこうです。

まず、雨が降ってきたと言う執事の言葉にホールズさんはキミに傘を取りに行かせた。

それは、傘ではなくキミをベイカーの元に行かせて殺害させる為。

事前に電話ででも言っておいたのでしょう。

キミが返金するお金を持っていくと。

ベイカーさんは殺されるとも知らずにキミを部屋に招き入れる。

そして、キミはベイカーさんを殺害した。

終った後、ホールズさんに電話したのでしょう。

2人はずっと一緒に住んでいる。

言葉を話せなくても音を鳴らして暗号でも作っていたのでしょう。

そして、ホールズさんはベイカーに呼ばれていると行ってベイカーさんの部屋に行く。

部屋に着いたホールズさんは金庫から書類を出してキミに渡す。

ベイカーさんから依頼を受けによくここに来ていたみたいですね。

金庫の開け方も見る機会はあったでしょう。

そして、書類を受け取ったキミはスキル『怪力』により窓から森へとダイブした。

ちなみに相棒にそのスキルで飛べるかどうか試してもらいました。

もちろん成功したみたいでここに戻ってきています。

しかし、さすがにあの高さですから普通なら無事ではすまないそうです。

相棒は何故かいくつかスキルを持っているみたいで無傷ですが。

では、何故キミは無傷で戻ってきたのか?

いや、もしかしたら無傷ではなかったかもしれませんね。

しかし、私はキミによく似た人物を最近見ています。

そう、死んだベイカーさんです。

そこから考えるにキミはもう死人なんでしょう。

森に飛び込んだあなたは枝に邪魔されたか何かでロープを落としてしまった。

あの暗がりです、落としてしまったら見つけられないでしょう。

書類は細かく千切って捨てれば雨と風で分からなくなりますし。

そして、キミは車で着替えた後、傘を持って別荘に戻ってきた。

ホールズさんはキミが行った後、ベイカーさんを操りアリバイを作った。

どうですか?

元名探偵ホールズさん。


「余程優秀な探偵に頼んだんだな」

ホールズはソファからゆっくりと立ち上がった。

「その通りだよ」

「ちなみにキミが実行犯だとしても、彼は死人で操っているのはあなたですからあなたが事件の首謀者です」

「ああ、分かっている。

その書類がなければばれないと思ったんだが」

「スキルは有能だ。

それで完全犯罪をする事も出来るだろうし、阻止する事も出来る」

時次郎はホールズに向かって言った。

「ああ、迷刑事と言われたロストロード刑事が来た時に私は逃げ切れると思ったんだがね。

まさか、ここまで切れ者だったとは」

「自分でもビックリですよ」

外からサイレンが聞こえてくる。

後続の警察が着いたのだろう。

ロストロードはホールズとキミに手錠をかけた。

そして、彼等は連行された。

ホールズの事情聴取でベイカーにかなりの恨みがあった事が分かった。

借金の為にベイカーの依頼を無料で受ける事で、自分にきた依頼を満足にこなす事が出来なかった。

そのせいで評判も落ち依頼が減り、また、借金をするという悪循環になっていたそうだ。

ホールズは牢屋に入れられる際にスキルを封印された。

その際でキミは動かなくなり死体へと変わった。

時次郎刑事がスキルでキミと話す事が出来たそうで、彼は火葬を望み灰は海へ流して欲しいとの事だった。

後日キミは火葬され灰は海へ流された。


書類を見る限り、ホールズが今回の事件を起こさなくてもあのパーティーに来ていた誰かが遅かれ早かれ何かしらの事件を起こしていた可能性はあった。

それほど、ベイカーは悪どい事をしていたみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ