表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移無双  作者: 天野 空
第十四章 転生殺人~自分を○し続けます~
140/186

転生の終演

【自動転生】

そう言われる転生が存在する。

転生する時は神様か女神様か超越した存在が現れて、すごいスキルをくれてある場所に転生して、勇者になったり世界を救ったり、最高な人生、最悪な人生をおくる、そんな転生が全てではない。

神様も女神様も超越した存在もなく、スキルも与えられず、何故かよく分からないところに転生させられる。

そんな無責任な転生もあるのだ。

え?そんな転生されたらどんな気持ちだって?

それは分からない。

だって、そんな転生された事ないのだから。

俺は一本のナイフを持ってある場所に向かっていた。

目的の場所に近づくにつれて、頭が痛くなる。

今回はここなのか?

町外れにある古びた工場跡。

門が閉まっているがこれくらいなら今の俺ならへいきだ。

自分の身長より高いその門を俺は軽々と飛び越える。

頭痛が激しくなる。

やっぱり建物の中か。

俺は建物の中に入った。

しばらくすると、目の前の空間が揺らぎ始める。

そして、よく知った服を着た青年が現れた。

今回はこちら向きか。

青年と目が合う。

「な、なんだどうして?

ここは、え?お前はだ」

最後まで言い終わらないうちに俺は現れた青年の胸に持ってきたナイフを押し入れた。

ナイフの先が背中から少し出ている。

「な、なんで?」

そう言って、青年はその場に倒れ込んだ。

俺はナイフの血を持ってきたタオルで拭い工場跡を出る。

時計を見た。

ヤバいバイトに遅れる。

今日は先輩が来てる日だ。

普段優しいが遅刻はかなり怒られる。

ナイフとタオルを鞄にしまい、俺は自転車に乗ってバイト先のコンビニに急いで向かった。


「ありがとうございました」

さっきまでいたお客が帰る。

無人になる店内。

さ、補充するか。

保管庫から商品を取り出して品出しをする。

なんとか遅刻にならず先輩も帰った。

今の時間は俺1人だ。

ま、店長は控え室にいるけどな。

そろそろ、23時か。

深夜のコンビニは実入りがいいからありがたい。

貧乏人の俺としてはこのアルバイトで生きてる感じだ。

ふと、誰もいない事を確認。

防犯カメラの死角で俺はステータス画面を開く。

レベルを確認。

48になっていた。

1レベル上がってるな。

ま、スキルとかは新たには覚えてないか。

俺の持つスキルは今は『隠密』のみ。

ま、スキル覚える事がビックリだったが。

ステータス画面を閉じ品出しを続ける。

ピンポン

誰かお客が来たみたいだ。

レジに向かうとそこにはよく知った人が缶コーヒーを持って待っていた。

「ご苦労様です」

そう声をかけるとその人物は缶コーヒーをカウンターに置き「おつかれさん」と笑顔で答えてくれた。

「今日も夜勤ですか?」

僕の質問に財布から千円を取り出してカウンターに置きながらその人物は笑った。

「いやいや、俺らみたいな職業に早出も夜勤も関係ないよ。

事件が起きたら直ぐに呼ばれるからな」

そう言った人物に僕はお釣りを渡す。

彼はこの店によく来る警官だった。

今日も事件があったみたいだ。

「最近、よく来られますね」

「ああ、嫌と言うほど夜に事件が起きてるからな」

「でも、ニュースにはなってないみたいですね」

そう、この小さな町で事件なんて起きたら直ぐにニュースになりそうなものだ。

「ああ、ちょっと訳ありだからな」

疲れた顔をする警官。

「ありがとよ、またな」

そう言って警官は出ていった。

何かよく分からないが物騒な世の中になってるな。

俺も気を付けないとな。

そして、俺は残り時間を頑張った。

「お疲れさまでした」

12時を過ぎてバイトの時間が終わり家に向かう。

家に着くまでに2回ほどパトカーにすれ違った。

家に着くとまず手と顔を洗う。

えっとタオルは?

俺は鞄に入っているタオルを取り出し、手と顔を拭いた。

濡れたタオルを洗濯かごに入れる。

ま、濡れただけだけどね。

水で濡れただけのタオルを見て1人苦笑した。

鞄からナイフを取り出して、台所の包丁置きに入れる。

さてと、軽く何か食ってからシャワー浴びて寝るか。

俺は服を脱ぎながらふと思った。

明日はバイト休みだしゆっくりしよう。

あと、あの現象が起きなけりゃいいんだけどなぁ。



それから数日、頭痛に悩まされなかった。

ほぼバイトと家の往復の生活だったけど、俺にとってはめちゃくちゃ充実した毎日だった。

さぁ、今日は休みだし久しぶりに遠出でもするかな?

俺は電車に乗って海に来ていた。

海岸に座り海を眺める。

今は夏だ。

海岸には海水浴客がたくさんいた。

そういえば1年前にもここに来たな。

あの時初めて海を見たんだ。

俺は海岸線を見ながらぼーと時間を潰した。

お腹がすいてきた。

近くにレストランがあったな。

今日はちょっと豪勢に行くか。

俺はレストランでいつもは頼まないようなメニューを頼んだ。

美味しかった。

今まで食べてきたもので一番だ。

そして、また海を眺めた。

日が段々と沈んでくる。

綺麗な夕焼けだ。

本当に綺麗だ。

さて、そろそろ帰るか。

明日も仕事だしな。

駅に向かう。

電車に乗った。

まだ、日が落ちていない電車の中。

窓の外からひぐらしの鳴き声が聞こえてくる。

今日はいい休日になった。

そろそろ俺の住んでる町に着く。

「痛た」

町に近づいたその時、急に頭痛がした。

それは町に近づくにつれてどんどん強くなる。

ああ、また、か。

俺は頭を押さえながら家路に着いた。


俺は一本のナイフを持ってある場所に向かった。

ここか?

そこは近くの神社。

時間は夜の11時。

周りには誰もいない。

かなり頭痛が激しい。

ここか。

神社の賽銭箱の前。

はは、神前に現れるとわなぁ。

いつものように空間が揺らいで青年が現れた。

今日は向こうを向いていた。

少しは気が紛れるか。

ゆっくりと背後に近づきいつものようにナイフを押し込んだ。

ビクンと青年は震えた後、地面に横たわる。

頭痛が消える。

俺は鞄からタオルを取り出し、ナイフを拭いた。

さぁ、帰るか。

「帰るのかい?」

え?

突然声をかけられる。

「誰だ」

足元を見たがそれは倒れたまま。

「こっちだよ」

鳥居の下に誰かが立っていた。

暗くて誰か分からない。

「帽子被ってたら分からないか?」

その人物はゆっくりと帽子を脱いだ。

月明かりがその人物の顔を照らす。

「せ、先輩?」

そうそれはバイト先の先輩。

「なんでこんなところに」

「いや、散歩しててな、姿を見かけたから後をつけてみた。

で、この現場に出くわしたってわけだ。

殺したのか?」

「殺す?

いえ、俺はただ経験値を貯めてるだけです」

「そうか」

俺は別に嘘をついてはいない、これをすれば俺のレベルが上がるのは本当だ。

「今はレベルいくらなんだ?」

「48いや、今日ので49ですかね」

「そうか」

俺の言葉に先輩は悲しそうな顔をする。

なんでそんな顔をするんだ?

「お前は自分が何なのか分かっているのか?」

先輩が聞いてくる。

それは。

分かっている。

俺は。

「ゲームの世界のキャラクターです。

元ですけどね」

そう、俺は【美男子の大冒険】と呼ばれるアプリゲームの主人公だった。

知らない洞窟で俺はいきなり死んだ。

どうやって死んだかはもう覚えていない。

そして気がついたらこの世界にいた。

半年は何が何やら分からなかったが、俺はなんとか生き延びた。

しかし、その半年に俺は俺に襲われた。

日雇いのバイトの帰りに急に頭痛がしてそいつは現れた。

咄嗟にそばにあった鉄パイプで俺は応戦した。

俺とまったく同じ顔のその青年を倒した俺の頭の中で音がなった。

ステータス画面を開くと俺のレベルが2になっていた。

そして、俺は徐々に自分が何者か思い出していた。

「じゃ、そこに倒れているのは」

「俺でしょうね、誰かがあのゲームをやって死んだ俺はこの世界に転移してくる。

俺が転移してくる時はすごく頭痛がして場所とかが分かるんですよ」

そして、俺は時計を見る。

そろそろ零時だ。

「そして、やられた俺は零時になると消える」

零時になった瞬間に俺の足元にいた青年はそこに何もなかったように消えていた。

手に持つタオルに付いた血も消えている。

「そうか」

先輩は相変わらず悲しそうな顔をしている。

「なんでそんなに悲しそうなんですか?」

俺は先輩に聞いた。

「おまえ、今の顔鏡で見たことあるか?

感情がまったくない人形のような顔だぞ」

そうだろうな。

見た事はないけど、何となく分かる。

「最近、バイトでもおまえの笑顔はなんか機械的だ。

感情がなくなってるみたいに見えた。

だから、俺は気になっておまえの後を追った」

「そうだったんですね」

確かにレベルが上がる度に何かなくなってる気がした。

「どうしたいんだおまえは?」

先輩。

俺は。

「普通に生活したかったんです。

せっかく転生したんだから新しい人生を楽しんでやろうと思ったんです。

でも、違う。

何か違うんです」

「そうだろうな、この転生はおかしくなっている」

「なんで俺、自分を殺さないといけないんですか?

どうして、何も知らない自分をこの手で?」

「2つの事をすれば抜け出す方法はある。

1つはこの世界とゲームの世界を繋いでいる楔を失くす事。

もう1つは転生させているモノを失くす事だ」

俺はゆっくりと頷いた。

「どうしたい?

このままがいいなら俺はこの件からは手をひく。

もし、もうこの状況を止めたいなら手をかす」

俺は鞄からナイフを取り出した。

誰かに見つかった。

そして、俺の悩みを聞いて解消してくれる。

なら、答えは1つだ。

「先輩」

「なんだ?」

「俺、普通の生活がしたかったんです」

「ああ、そうだな」

「バイトして、金貯めて、彼女とか作って結婚して」

「ああ」

「今度生まれ変われたらそんな生活がおくれたらいいな」

「そうだな」

「なんで泣いてんすか、先輩」

「約束は必ず守る」

「ええ、手、貸してくださいね」

俺はゆっくりとナイフから手を離し先輩に手を伸ばす。

真っ赤に染まった俺の手を先輩は力強く握ってくれた。

「はは、刺すの上手くなったはずなんですけどね」

「ばか野郎が」

段々と力が抜けてきた。

はぁ、夕焼け綺麗だったな。

今度は誰かと見に行けたら最高だ。

後は先輩に任せよう、これで頭痛に悩まされずにゆっくりと寝れる。

「おやすみなさい、先輩」

「ああ、ゆっくりと休め」

その言葉を聞いて俺はゆっくりと瞼を閉じた。

コンビニの前にたむろしている3人の青年を見つけた。

あれがそうだな。

「おい、このゲーム飽きてきたな」

「ああ、初めはよかったんだけどなぁ」

「そういやぁ、おまえ、あのクソゲークリアしたのかよ?」

「え?いや、まだだよ。

ていうかあんなのクリア出来ないだろ」

「そかもな。でも、クリアしたら一躍有名人だぜ」

「まじで、なら久しぶりやってみるか」

真ん中の青年はそう言いながらゲームを起動する。

【美男子の大冒険】だ。

俺はおもむろにその青年のスマホを取り上げた。

「な、何すんだ、おまえ」

俺は思い切りスマホを地面に叩きつける。

ガチャン

「う、うわぁ~」

「な、何しやがる」

地面には粉々に砕けたスマホ。

そして、そのスマホから魔方陣が消えていくのを感じた。

これで約束は守ったぞ。

「おい、おまえ、弁償しろやって?

どこいった?」

「え?あれ?」

青年が周りを見ているがもうそこには俺はいない。

さっさと退散だ。

こんな胸くそ悪い世界なんて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ