生け贄だった聖女
足元からくる火が高く燃え上がり、セリエは炎に包まれた。
しかし、その後、いくら探してもセリエの亡骸は見つからなかった。
炎の中、光に包まれたセリエを見た人々は、天に昇ったのだと口々にいった。
火に焼かれたはずなのに、どこも痛くない、初めは苦しかったのに今は苦しくない。
暑さと痛さで麻痺したのかもしれない。
でも、どうしてこんなに考えることができるの?
「大丈夫ですか?」
「え?」
誰かに声をかけられ私は目を開ける。
そこに飛び込んできたのは辺り一面の花、その花を私は見た事があった。
そして、目の前には司祭服を着た1人の男性が立っていた。
「神様?」
そう言っても良いほど綺麗な顔立ちの優しそうな笑顔の人だった。
どこかお母様の面影がある。
「いえ、私は神様などではありませんよ」
優しく微笑む男性。
「でも、ここは死の国なんですよね?」
「いえ、死の国でもありません」
「でも、私、火に焼かれて」
「そのようですね、服が少し焦げているようですが、しかし、貴女は生きていますよ」
その言葉を聞いて、私は泣いてしまった。
「落ち着いたようですね」
どのくらい泣いたのだろう、ユウスと名乗ってくれたこの人は泣いてる私が落ち着くまで、ずっと隣にいてくれた。
「昨日の夜に神託があってのです、今日のこの時間この場所に聖女が現れると」
「でも、私は聖女なんかじゃ」
「いえ、一目見た時に分かりましたよ、貴女が聖女なのは、貴女の母親の名前はもしかして、エリスではないですか?」
「え?そ、そうです」
突然、お母様の名前を出されて驚いた。
「やはり、その髪とてもよく似てらっしゃる」
「知ってるんですか?」
「ええ、もともと、エリスはこの国に住んでいましたから」
「え?」
「私はエリスと同じ協会で司祭になる為に勉強していたのですよ、その時、エリスは聖女の素質があったのです」
お母様がまさかここの国の生まれで、この人と同じ協会にいたなんて。
「しかし、エリスはある男性に恋をしてこの国を去っていきました。」
「駆け落ちなんですか?」
「いえ、この国の人達にとても祝福され旅立ちましたよ、もちろん私も」
「よかった」
「人の幸せは自分も幸せにしてくれる、それがこの国の教えの1つでもあるのです」
そう言うと、ユウスはすっと立って、手を私に差しのべてくれた。
「エリス、今はゆっくりと休んでください、そして、もし良ければこの国で勉強なさい、貴女も母のように聖女を目指すかどうかは貴女が決めれば良い、この国は貴女を歓迎しますよ」
その笑みは本当に優しい笑みだった。
私はユウスの手を取りゆっくりと立ち上がる。
「ありがとうございます」
自然に笑顔が出る。
そして、私はユウスと一緒にお母様が好きなこの花の中、新しい未来を胸に歩いた。
これにてセリエのお話は完結です。
この後は、いつもの後日談、キャラ紹介が続きますので、お付き合いください。
よろしくお願いします。




