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転移無双  作者: 天野 空
第三章 生け贄の聖女
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生け贄だった聖女

足元からくる火が高く燃え上がり、セリエは炎に包まれた。

しかし、その後、いくら探してもセリエの亡骸は見つからなかった。

炎の中、光に包まれたセリエを見た人々は、天に昇ったのだと口々にいった。

火に焼かれたはずなのに、どこも痛くない、初めは苦しかったのに今は苦しくない。

暑さと痛さで麻痺したのかもしれない。

でも、どうしてこんなに考えることができるの?


「大丈夫ですか?」

「え?」

誰かに声をかけられ私は目を開ける。

そこに飛び込んできたのは辺り一面の花、その花を私は見た事があった。

そして、目の前には司祭服を着た1人の男性が立っていた。

「神様?」

そう言っても良いほど綺麗な顔立ちの優しそうな笑顔の人だった。

どこかお母様の面影がある。

「いえ、私は神様などではありませんよ」

優しく微笑む男性。

「でも、ここは死の国なんですよね?」

「いえ、死の国でもありません」

「でも、私、火に焼かれて」

「そのようですね、服が少し焦げているようですが、しかし、貴女は生きていますよ」

その言葉を聞いて、私は泣いてしまった。


「落ち着いたようですね」

どのくらい泣いたのだろう、ユウスと名乗ってくれたこの人は泣いてる私が落ち着くまで、ずっと隣にいてくれた。

「昨日の夜に神託があってのです、今日のこの時間この場所に聖女が現れると」

「でも、私は聖女なんかじゃ」

「いえ、一目見た時に分かりましたよ、貴女が聖女なのは、貴女の母親の名前はもしかして、エリスではないですか?」

「え?そ、そうです」

突然、お母様の名前を出されて驚いた。

「やはり、その髪とてもよく似てらっしゃる」

「知ってるんですか?」

「ええ、もともと、エリスはこの国に住んでいましたから」

「え?」

「私はエリスと同じ協会で司祭になる為に勉強していたのですよ、その時、エリスは聖女の素質があったのです」

お母様がまさかここの国の生まれで、この人と同じ協会にいたなんて。

「しかし、エリスはある男性に恋をしてこの国を去っていきました。」

「駆け落ちなんですか?」

「いえ、この国の人達にとても祝福され旅立ちましたよ、もちろん私も」

「よかった」

「人の幸せは自分も幸せにしてくれる、それがこの国の教えの1つでもあるのです」

そう言うと、ユウスはすっと立って、手を私に差しのべてくれた。

「エリス、今はゆっくりと休んでください、そして、もし良ければこの国で勉強なさい、貴女も母のように聖女を目指すかどうかは貴女が決めれば良い、この国は貴女を歓迎しますよ」

その笑みは本当に優しい笑みだった。

私はユウスの手を取りゆっくりと立ち上がる。

「ありがとうございます」

自然に笑顔が出る。

そして、私はユウスと一緒にお母様が好きなこの花の中、新しい未来を胸に歩いた。

これにてセリエのお話は完結です。

この後は、いつもの後日談、キャラ紹介が続きますので、お付き合いください。

よろしくお願いします。

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