最終攻略戦
初めてダンジョンに潜ってから1年。
白騎士団でのランクも上がったクロニクル。
彼はこの城に来た本当の目的を成そうとしていた。
あれから、何回かダンジョンを攻略した。
クリアと組んだり、他の団員と組んだりして、ちょうど今日で白騎士団に入って1年になる。
俺も今では白騎士団の上位ランクになり、白騎士団専用の鎧ももらった。
ライトアーマーだが、エンチャントが付与されているお陰でかなり防御力も高い。
さて、起きるか。
1年目の朝、俺はベッドから起き上がる。
そう今日で1年、そろそろ目的を達成しなければいけない。
この1年頑張って攻略したが、どうしても70階層を越えられなかった。
理由は簡単だ。
1人ではなかったからだ。
パーティーを組む以上、自分以外のメンバーがやられたり進めなくなった時点で強制帰還する事になる。
クリアでさえ、70階層からかなり進むのが辛くなるのだから、他のメンバーでは突破は到底無理だ。
武器、防具も戦利品からバージョンアップしていったが基本的な性能が追い付いていない。
やはり、あの方法しかないのか。
俺は身支度をし、白騎士団本部のある城へと向かった。
「あ、おはよう、クロニクル」
本部には先にアンナが来ており書類整理をしていた。
上位ランクになれば、ダンジョン攻略以外にもこういった書類整理をしなくてはいけない。
俺も机に座って書類整理をする。
こういった雑務が増えたが、上位ランクには特典として戦利品の拾得の優遇。
パーティーメンバー選出の自由。
任意でダンジョン攻略をする事が出来る。
ただし、白騎士団ではダンジョンに入る時には必ず複数で攻略しなくてはいけない決まりもあった。
「今日はどうするの?」
アンナは書類整理が終わったのか近づいてくる。
「今日はちょっと用事があるからそれを済ませるよ」
「そっか、残念。
それじゃ、今度攻略付き合ってよ」
そう言ってアンナは部屋を出ていく。
そう俺は今日、目的の為にある物を手に入れなくてはいけない。
それから書類整理を済まし席を立つと、部屋にユリスが入ってくる。
「ん?早いですね」
片手に書類を持ったユリスは副長の椅子に座る。
ユリスはあれからダンジョン攻略の功績が認められ、2人目の副長に就任していた。
最近、体も成長してきたみたいで、前より膨らんできてるな。
「視線が怪しいですよ」
ユリスは書類を机に軽く当てて整える。
「成長を確認していた」
「いや、確認されても困りますけど」
前より大人っぽくもなったかな?
「今日はこれからどうするんですか?」
ユリスも同じように聞いてくる。
「今日は用事があるからそれを済ませる予定」
「そうですか、最近パーティー組んでないから今日は団長と一緒にどうかと思ったんですが」
少し残念そうに呟く。
「すまんな、また次回お願いするよ」
「分かりました」
俺はユリスにまたなと手を振り部屋を後にした。
向かうはあいつがいつもいる所。
「どうだい調子は」
俺はある物を保管している場所に来た。
「やぁ、クロニクルお疲れさま。
今日もダンジョンかい?」
受付で愛想よく答えてくれたのは元白騎士団のケインだ。
半年前、何度も挑戦した50階層で自分の実力ではこれ以上は進めないと団長に除隊願いを出した。
ただ、気配りの上手さや社交的な事もあり、団長がここ強制送還ブレスレットの保管室での仕事をしないかと進められ今に至る。
団長の見立て通り、直ぐに仕事を覚え持ち前の気配りを発揮、今では保管室の副室長になっていた。
「いや、今日はブレスレットの記憶チェックをしにね」
ブレスレットには様々な冒険の記録が残されている為、復習する為にこうやってチェックしにくる事も多い。
「そうか。じゃ、ごゆっくり。
私はそろそろ交代の時間なのでね。
また、会おう」
俺はケインに手を振り保管室に入る。
今の時間帯は他の団員も少ない。
今日は運良く誰もいなかった。
俺は指輪を触った後、自分のブレスレットの場所ではなく、黒騎士団の保管場所に行く。
今使った指輪はこの前手に入れて【気配完全遮断】のエンチャントが付与された指輪。
だいたい10分間は効果が続く。
俺はある人物のブレスレットの前に止まる。
そして、そのブレスレットを取った。
俺はすぐさま保管室を出た。
入り口には交代の為、人が居らず何事もなく通りすぎる。
そして、次の目的地に急ぐ。
そこは城の地下にある扉だった。
地下へ降りる階段の前には見張りの兵士がいたが、今の俺は完全に消えている状態。
見つからず進む事ができた。
階段を急いで降りる。
目の前に大きな扉。
俺はもう1つの指輪を使う。
【通り抜け】と呼ばれるエンチャントのついた指輪。
1度だけどんな壁も通り抜けれる指輪だ。
俺はその扉を抜けた。
同時に指輪も壊れる。
まぁいいさ。
目的はこれで達成できる。
奥に進むと地面に巨大な扉。
これがラストダンジョンの本来の入り口だ。
今は厳重に閉じられている。
俺は扉の上に立つ。
もちろん、腕にはブレスレットを着けている。
ブレスレットが光だし、足元に魔方陣が現れる。
調査の結果、元々ダンジョンに入る魔方陣がこの場所にあったのは調べがついていた。
今は多くの攻略騎士が入れるように今の場所に移したらしい。
魔方陣が淡く光俺はダンジョンに転移した。
転移したとたんにブレスレットが粉々に崩れる。
これで地上に帰るにはダンジョンボスを倒した時に出る魔方陣のみ。
ブレスレットを着けていなければ死んだらそのまま地上には戻らずダンジョンで朽ちていく。
他人のブレスレットをなぜ使わないかというとそういうデメリットが存在するからだ。
ま、俺は使ったがな。
ここは90階層。
俺が使ったのは黒騎士団団長クロウのブレスレットだ。
そして、俺の目的は地下最下層に行く事。
俺はそこでやらなければいけないことがある。
まずは90階層。
さすがここまで来るとダンジョン内をボスクラスのダンモンが歩いているな。
ミノタウロスにオーガロード、ゴブリンマスターまでいるのか?
【気配完全遮断】はまだ使えないか。
なら仕方ないか。
俺は真っ黒い剣を腰から抜く。
この剣は故郷から出てくる時に持ってきた自分専用の剣だ。
魔力を剣に通す。
剣は赤黒い炎に包まれた。
俺はダンモンの集団に突っ込む。
まずはミノタウロス。
胴を薙ぎってそのままオーガロードに剣を突き刺す。
筋肉を締めたのか剣が引き抜けない。
なら、剣に送る魔力を上げる。
赤黒い炎がオーガロードの全身を包み込み、オーガロードは苦しみながらのたうちまわる。
最後はゴブリンマスター。
飛び込みながら上段からの振り下ろし。
ギャン
さすがマスター剣で受けるか。
だが、その剣に俺の剣の炎が移る。
慌てて剣を捨てるゴブリンマスター。
いい判断だが、俺はすれ違う間に首をはねた。
ミノタウロスも徐々に炎に包まれ倒れこむ。
おれが使った炎は終焉の炎。
1度対象に燃え移れば決して燃え尽きるまで消えることはない。
3体の魔物は炎に包まれながら消え去った。
大量の宝石が落ちたが今の俺には必要ない。
早く進まないといけないからな。
次々に出てくるダンモンを倒し90階層ボス、フルアーマーミノタウロス。
終焉の炎を使えばどんな相手だろうと燃やし尽くせる。
91階層、スライムキング
92階層、キングゴーレム
93階層、マスターシャドウ
94階層、リッチロード
95階層、ドラグオン(竜人族のダンモン)
96階層、魔王の影
97階層、右王、左皇
98階層、オールブレイカー
やっとお目当てのダンモンが来た。
俺はオールブレイカーを白騎士団に入って初めてゲットした武器で倒す。
オールブレイカーは剣に吸収された。
そして、99階層。
まさか、ここに出てくるとはな。
幻影の魔王騎士。
魔王の右腕と言われるモンスター。
魔王の次に強いとされるそのモンスターだが、こいつは偽物だ。
魔王騎士はその手に持つ剣に炎を纏わす。
その技は知っている。
俺も剣に終焉の炎を纏わした。
2、3撃打ち合ったがやはり本物には到底及ばない。
【気配完全遮断】を使う。
相手は俺を完全に見失う。
そして、俺は騎士の背後から胸に剣を突き刺した。
グギャ~
断末魔を叫びながら炎に包まれ消えていく騎士。
消える最後にこちらを見て何かを言ったように見えたが所詮ダンモンだ。
俺は最下層に続く魔方陣へと進んだ。
そこは1つの部屋だった。
これまでのように迷路のような道はなく、ただ魔方陣から出た先は部屋だった。
奥には首から上の部分と両手首が壁から出ている魔王の姿がある。
やっと見つけた。
故郷から出て長い月日がたった。
やっと俺は目的を達成する事が出来る。
腰から剣を抜く。
白騎士団に入って初めてゲットした剣。
今はオールブレイカーの力が宿っている。
さぁ、これで終わりにしよう。
やっと俺は自由になれる。
剣を構えゆっくりと魔王の前に行く。
そして、俺は魔王の胸の辺りに剣を深く突き刺した。
早足でしたがこれでオセロ終わりになります。
この後、例の彼のお話、後日談、キャラ紹介に続きます。
では、次回もお楽しみに




