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プロローグ 雨の中散りゆく花

「やった……やったぞ!」


そういって両手を掲げる男。

その男にこたえ、歓声をあげる人々。


「ついにこの国をおとした……!これで平和にまた一歩近づいた。な?」


そういってまっすぐこちらに笑顔を向けてくれる人。


「お前が軍師として頑張ってくれたおかげだ。ほんとよくやったよ」


そう声をかけられ返答する。

けどどこか上の空でなんといったか自分でもわからない。


思えば私は勝てたというのに笑顔をもらすことも仲間とともに騒ぐこともしていない。


なんだろうこの感じは……。

寒気がする。



次の瞬間私は駆け出した。


自分でもなぜ走っているのかハッキリとはわからない。

体が勝手に動くような感じだった。




作戦が見事成功し、勝ち取ったばかりの見慣れない城の中。



いつもならどこかワクワクしながら見る城の中の景観にさえ寒気がして、吐き気までしてきて、転びかけながらただ、駆ける。



勝利に沸くみんなの間を走り抜けて、先ほどまでいた場所の反対側にたどり着く。



近くにあったバルコニーに駆け込み、外を見やれば……



「……っ」

息が止まりかける。



嘘だ……

嘘……嘘……嘘っ!!



嘘でも幻でもないとわかっているのに現実を受け入れたくないと頭がグワングワンいいだす。




目が合った、大軍の先頭にいで立つ女。


なぜだろう。

見覚えがある。

そして同時に感じる。彼女らは味方じゃない。

敵だ。


血の気が引いていく。



みんなに伝えなきゃ。

敵が来たって。



なのに、足がもつれて、頭から血の気が引いていって……


ばたりと倒れこむ。



最後に見たのは、見慣れない城の冷たい大理石の床。


最後に思ったのは、なんで私はこんなに馬鹿なんだろうって、そんなことだった……。


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