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第2話 のくちゃん、強くなる

「くやしいし、痛いよ~~~~」


 僕は、泉で傷を洗っていた。

 泉の水は冷たいし、ひりひりするよ~~~。


「痛いんですか?」


 あれ? どこから声が聞こえてきたんだろう。


「誰?」

「私です」


 あれ? 宙が光っている。

 うわ、眩しい。

 ゴシゴシと、僕は目をこすると、目の前に女の子が立っていた。


「君は?」


 かわいい子だな~。僕くらい背が小さいや。

 髪はサラサラの銀髪で、すごく長い。

 でも、お風呂上がりなのかな? バスタオルを巻いているよ。


「あれ? 忘れてしまったんですか? あなたをこの世界に転生させたときに会ったじゃありませんか?」

「あれ? でも、あの時は、もっとこうお年をめしていたっていうか」

「あれ? そうでしたか? そういえば、全身整形魔法を使ったんでした」

「あ、そうか、それなら、納得だね。確かに、あの時の面影がどこかしらあるね。とくに、すね毛とか」

「生えていません!! 全身脱毛魔法を使いましたから」

「ああ、そうか、それなら、納得。最近の魔法はすごいな~」


 僕は、両腕両脚の擦り傷を泉で洗った。

 泥をちゃんと落とさないと化膿しちゃうんだよね。

 だからちゃんと洗わないと。

 でも、う~~~~~痛いよ~~~~。


「ずいぶん、酷い目に遭いましたね」

「うん、リンチされたんだもん。でも、僕はこんなことでは泣かないよ。強い子だもん」


 と言った瞬間、

 ウルウルウルウル。

 我慢だよ、僕。我慢。

 でも、


「うわああああああああああああん。くやしいよおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「激しく泣くんですね。もう、52歳のおっさんなのに」

「うっ、うっ、うっ、年齢は関係ないよ。くやしいんだもん」


 僕は、腰にはいたトランクスで涙を拭った。

 ちゃんと洗っているし、全然汚くないから大丈夫だよ。


「で、年ま女神さん、何か用?」

「今は、年ま女神ではありません。幼女女神です」

「ああ、そうなんだ」

「はい」

「で、僕に何の用なの?」

「えっとですね。のくちゃんさんのクラスアップについて、お知らせに来たんです」

「え? 僕、クラスアップできるの?」

「はい、引きこもりニートから、聖人になれます」

「本当に?」


 僕は思い出した。

 初めて年ま女神と出会った時、次のようなことを言われたんだ。

 

 30歳まで純潔を守れば、魔法使いに、

 35歳まで純潔を守れば、僧侶に、

 40歳まで純潔を守れば、賢者に、

 45歳まで純潔を守れば、大賢者に、

 50歳まで純潔を守れば、聖人に、


 こういわれたはず。

 よかったピュアでいて。


「ちなみに、55歳まで純潔を守ったら、何になれるの?」

「55歳まで純潔を守ると死にます」

「うげっ、なら、僕の寿命は、あと4年じゃん」

「大丈夫です。純潔を奪ってもらえば、問題ありません」

「でも、それだと、クラスアップしても、また引きこもりニートに戻っちゃうんじゃあ」

「一度、聖人になって、純潔を奪われたとしても、聖人のままですよ。安心してください」

「よかった。あ、でも、僕、今、51歳だけど、なんで、今頃報告に来たの?」

「それは、聖人になるには、もう一つ条件が必要だからです。それが、ちょうど揃ったのです」

「どんな条件が必要だったの?」

「それは、追放の怒りです」

「追放の、怒り……」


 ふつふつと、追放された怒りが湧き上がって来た。

 みんな、僕に酷いことをして・・・、

 すごく、すごく、痛かったんだから。


「クラスアップしますか?」

「もちろんだよ」

「では儀式を」

「このちびでデブのおっさんを聖人に、聖人に、聖人に、ぼにょぼにょぼにょ」


 なんか、すごい魔法だな。

 ぼにょぼにょぼにょって、すごくかっこいい呪文だ。

 

 ふと、僕の体を淡い光がまとう。

 あれ、僕、体が光っている。


「さあ、怒るのです」


 え? 怒るの?

 怒る。

 怒る。

 怒る。

 あああああああああああ、みんな、僕を、ボコボコにして、許さないんだから!!


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 僕の怒りに呼応し、

 火山が噴火した。

 地面がひび割れた。

 月が真っ二つに割れた。

 宇宙のどこかの星が、粉々に砕け散った。


「もうちびでデブなんて言わせないんだからああああああああああああああああ!!」


 咆哮を終えると、僕の姿は変わっていた。


「かっこよくなりましたね」


 え?

 泉に反射した僕の姿を見ると、ちびでデブの僕はもうそこにはいなかった。


 僕、かっこよくなってる・・・。

 背も高くなっているし、

 金髪碧眼だし、

 すごく、女の子にもてそう。


「これが僕?」

「はい、うっとりするほどかっこいいです」

「本当に?」

「はい」


 幼女女神ちゃんが言うんだから、僕やっぱり、すごくかっこいいんだ。

 やったね。


「さあ、僕、行ってくるよ」

「どこに行くんですか?」

「そりゃあ、もちろん、勇者パーティを倒しに行くんだよ」

「やっぱり、倒さないといけないのですか?」

「うん、それが、ざまぁのテンプレだからね」

「納得です」


 僕は強く、そして、かっこよくなった。

 さっき、僕をボコボコにしたこと、許さないんだから。


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