すずの死
すずか交通事故で……亡くなってしまいました、
クロは、眠っていて、現場をみていなくて……
すずをタオルで包んで段ボールの箱にいれ、
(……現場に駆け付けたときには、……もうすでに、すずはぴくりともうごいていなくて、くびもとからくちもとにかけて、赤い首輪したみたいに……遠目からは本当に首輪にみえました……
あまりにも、しんじられなくて、……だって、朝にはやんちゃにうごき、あまえ、クロにお兄ちゃん風をふかせていたのです、
触れると、身体はまだ、やわらかくて、血も乾いては居なくて……
……それなのに、もうすでに、瞳孔はひらきっぱなしで、ちいさな爪先ほどもないコバエが、すずの顔のあたりを飛んでいるのです……
……しんじきれなくて、呆然とみつめたあと、(この間の時間の感覚はよくわかりません)
白いハンドタオルを顔元に被せて、その後、白いタオルにくるんで、小さな小さな段ボールの箱に入れる前、入れたあと、箱ごと、深い穴にいれるとき、
生き返ってくれるのではないかって、……何度もゆすって、でも、とうとう起き上がりませんでした、
かわいそう、で……
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父が、木の傍に、ユンボで穴を掘り、段ボールの箱の場所に戻ると、クロがすずの入った箱のなかに寄り添うようにふたをあけると、じっとこちらを見つめていました ……ほんとうにかわいそう、で……
すずがクロの面倒をまめに見ていたお兄ちゃんだったので……見ていられず、、クロにいいきかせて、しばらくは、クロの様子を一番近くでみつめようと思います、
……いのちは、あっけない、です
もう、すずの山吹色のひとみと、茶がはいった、きじねこの、やんちゃ甘えた赤ちゃんすずをもう二度とみれないと思うと寂しいです、
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……今、クロは、おなかいっぱいになって、わたしの部屋のベッドの上で、安心したように、眠っています