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逆鱗のハルトⅡ  作者:
92/308

貴方のことは嫌いです。⑤

******


そのまま治療所に泊めてもらった俺達は、翌日すぐに宿を確保した。


アマルス達は、治療所に通うために治療所近くの宿。

まだこのヤルヴィがどんな街かも知らないし、この後どう動くのかもよくわからないんで、俺達はトレージャーハンター協会ヤルヴィ支部のすぐ近くにした。


「しっかし、よくよく見るとこの街は随分裕福そうだな」

グランが周りをぐるりと見回しながら溢す。


……そうなんだよな。

門から入ってすぐの店も、何というかきらきらしてたし?

道行く人の格好も、何かこう、お貴族様のようだ。


「そうか、あんたら帝国自体が初めてか……この帝国はトレージャーハンターが少ない国かもしれねぇぜ。見ての通り、裕福な奴等が多いからな。帝都はもっとすげぇんだわ」

アマルスが両手を頭の後ろで組みながらぼやく。

ヤヌはその隣で少し居心地が悪そうな顔をしていた。


見渡せば、レンガ造りの街並みは美しく、通りも整備されている。

すれ違う人々の殆どは武器なんて何処にも見当たらず、優雅なドレスやかっちりしたシャツという出で立ちだ。


故郷であるラナンクロストですら、こんな光景見たことないぞ。


「すごく栄えてる国なんですね」

興味があるのか、ファルーアとふたりであれが素敵だこっちが可愛いとはしゃいでいたディティアが返す。


アマルスは苦笑した。


「俺は学がねぇから殆どわからないが、そうらしいな。ヤヌ、お前は?」

「……少しはわかる、帝国は大量の魔力結晶を持っているらしい。だから研究はトールシャでもかなり進んでいて……それを売ることで潤っているそうだ。何故かは知らないが、比較的魔物も少ないはず」

「魔力結晶……」

思わず復唱してしまって、俺は頭を振った。

研究って、まさか造ろうとかしてない……よな。


「そうすると、この街には研究所でもあるのかしら?」

ファルーアが眉をひそめ言うと、アマルスが言った。

「お、流石だな。その通り、あるぞ。だから裕福な奴等が多いってわけだな」


******


トレージャーハンター協会ヤルヴィ支部。


そこは他の建物と同じレンガ造りの外観で、あまり大きくはなかった。

普通の家と同じくらいしかないのだ。

流石に緊張しているのか、アマルス達は口を引き結び、硬い表情である。


入ると、正面の受付のカウンターに、2人の女性が並んでいた。


「いらっしゃい!……お見掛けしない方々ですね、本日はお仕事ですか?」

向かって右にいた女性が微笑む。

大きな蒼い眼で、くるくると巻かれた金の髪は背中を覆う程に長かった。 


すると。

「ああ、来たね!待っていたよ」

ガシャコ、と、重そうな音が右側から聞こえてきた。

予想は出来ていたけど、そっちに振り返る。


頭から爪先までを甲冑に包まれた兵士……うん、アーマンだな……が、両手を広げ、俺達に(恐らく)微笑んでいた。


リューンもいるかと思ったけどいなかったから、何となくほっとしちゃったんだけどさ。


…………

……


アーマンの計らいで、トレージャーハンター協会ヤルヴィ支部の支部長が話を聞いてくれるそうだ。

広い部屋に俺達とアマルス達、支部長と甲冑のアーマンが座る。


支部長は人の良さそうなおじさん。

黒縁の丸眼鏡で、濃茶の髪は少し長めだった。

……俺のバフの先生とも言うべきカナタさんを思い出させる、優しい見た目と雰囲気の持ち主である。


アマルス達はガリラヤの件を報告し、討伐者は亡くなっていると思っていたと伝えた上で、革にしてしまった部分を返却し謝罪という形で終わらせた。


それとは別に過去に法を犯していたことも話した彼等は、『話すことを決められたのは白薔薇のお陰だ』と言うことも忘れないでいてくれて、アーマンが甲冑のままゆっくりと頷いたのが見える。


とは言え、ここはただの支部であり、どういう処分を行うのかは何と裏ハンターに任されるそうだ。


いやいや、そこ、支部長でいいだろうに。

何だろう……トレージャーハンター協会って、そういうところがざっくりしすぎてると思うんだけど……いいのか?それで。


そこで俺達は裏ハンターの証を見せて支部長の許可をもらい、アマルス達に『エニルのために稼ぎ、そのお金は治療所に納める』ことを課した。


「すまねぇ……本当に」

「ありがとう……ありがとうございます」

アマルスとヤヌは深々と俺達に頭を下げる。


少し震えたその肩に、グランは無言で大きな手を乗せた。

そして、そのままにやりと笑う。


「しっかりしろ。大丈夫だ、お前らはやれる」

「……へっ、簡単に言って……あんたらは本当に……っ」


下を向いたままのアマルスに、ボーザックが笑う。

「エニルが起きてヤヌの店が出来た時には、招待してよ!」


今度こそ、アマルスは膝から崩れ落ちて、目元を右腕で隠してしまった。


「ヤヌさんのお店、私も楽しみにしています」

ディティアがヤヌに微笑むと、ヤヌも、目を真っ赤にして頷いた。


******


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