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逆鱗のハルトⅡ  作者:
9/308

まずは情報です。①

******


「トールシャ上陸~!!」


ぱあっと笑顔を広げて、ボーザックが桟橋に降り立った。

船酔いから開放された大剣使いは、久しぶりの陸地に感動したらしく、しゃがみ込んで地面をさわさわする。


「ずっと船にいたから、何だかふわふわするね」

隣にいたディティアが笑ったから、

「ディティアもふわふわしてるよな」

と頭をぽんぽんしたら怒られた。

「は、ハルト君!!そういうことは、あんまり言わないように!あと頭ぽんぽんするのも!」


はは。やっぱりディティアは可愛いなあ。


「相変わらずあんたは……だからボコボコにされるのよ?」

ファルーアには、呆れ顔でぴしゃりと一蹴される。


……確かに、ボッコボコにされたんだけどな。


そうそう、気になってたんだけど、街から一定の距離まで来ると、海龍は一旦船から離れるそうだ。


あとは人力で船を港に着けるだけである。

これで、時間に正確で遅れない、魔物にも襲われない、奇蹟の船の出来上がりというわけだ。


「海都オルドーアよりでかそうだな」

物珍しそうに後から降りてきたグラン。


入れ替わるようにして、ひょろっこい青年がすれ違う。


ふわふわの金髪だけど、全体的に肌が黒くアンバランスだったから目立っていて、思わず眼で追ってしまった。

「……そうだな」

グランに頷きながら尚も見ていると、青年はそのままジャンバックに駆け上がっていく。


あんな人乗ってたか?

首を傾げていると、すぐに上から声が降ってきた。


「船長!?身体は大丈夫なんすか!」

「おー!お前達会いたかったぞ!さすが俺の奇蹟の船!定刻通りだ!」

「馬鹿者!客人に報せず何が奇蹟の船ですかな!?散々でしたぞ!!」

「おおー親父!!いや、親父船長!!今回は助かったよ、病気はもう大丈夫だ!」

「今はそんなこと聞いておりませんぞ、馬鹿者ーー!!」

「はっはぁ!やっぱりあんたらは親子さね!」


あー、ってことは、あれが本来の船長か……。

賑やかな船上に、思わず苦笑。


「人間、見た目じゃねぇな」

同じ事を思ったようで、グランが船を見上げて、ぼやいた。


…………

……


トールシャの玄関港、ライバッハ。

砂と岩を固めて作った四角い建物が並び、全体的に薄い橙色の街が、俺達の記念すべき新大陸の第1歩になった。


頭にバンダナを巻いた屈強な男達が、両手に木箱を担ぎ上げて闊歩する。

あれは船乗り達だろう。


ところどころに露店があり、魚を焼いたり肉を焼いたり……とにかく色々な匂いが混ざっていた。


その他にも、軽装備の冒険者……あー、ここだともうトレージャーハンターかもしれないな……が、行き来している。


活気もあって、規模も大きそうだ。


「はぁー、なんか、すっごい広そう」

地面を堪能し終えたボーザックが、今度は手でひさしを作りながら辺りを見回す。

俺達も隣に行って、同じようにぐるりと見渡した。

「とりあえずギルドからだな。フェン、混んでるから気を付けろよ」

グランが荷物を担ぎ直して言う。

「がうっ」

フェンは楽しそうに答えた。


……これだけ広そうだと、ギルドを探すのも骨が折れそうだ。


そうしている内に、顔馴染みのようになっていた商人や冒険者達が、次々に人混みに消えていく。


冒険は一期一会である。


……すると。


「ねぇ、グラン」

ファルーアがグランに眼を向けずに名前を呼んだ。

「どうした?」

「迎えの話なんてあったかしら?」

「あ?…………おぉ?」

俺もファルーアとグランの目線を追う。

視界に入ってきたのは……うん。

『ようこそ白薔薇』

大きいけど軽そうな看板を掲げ、すっかり顔が隠れている青年(だと思われる)の姿だった。

「聞いてないですねぇ……」

ディティアも首を傾げる。

「俺達以外にも白薔薇っているのかな?」

ボーザックも言いながら頭を掻いた。


「どうする?グラン」

「奇蹟の船だしなぁ、連絡が行ってりゃあ、ああやって待つこともできるだろうが……」

「あー、確かに」


放っておくのも何となく気が引けて、俺達は、とりあえず声を掛けることにした。


「こんにちはー」

まずは安定のボーザック。

青年は、その声に顔の前にあった『ようこそ白薔薇』を下ろすと、ボーザックを眺めて困った顔をした。

「ああ、ええと。こんにちは……?」

大分訝しげである。

「ねえ、その看板なんだけど」

「これ?……その、人を待ってるから」


ツンツンした紅い髪。

眼は切れ長のつり目。


線は細くて……そうだな、華奢な女性みたいな奴だった。

背は、ボーザックよりちょっと高いくらい。

ベージュのパンツに白いシャツ、首には赤いスカーフが巻かれて、前で結ばれている。


青年は、少しおどおどして見えた。


「君が待ってるのはどんな白薔薇?」

ボーザックは困惑する青年を余所に、どんどん話を進めていく。


正直、俺達を見て反応無いところを見ると、本当に別の白薔薇がいるんじゃないか?と思った。


「……屈強な戦士達らしい。僕も、見たことは無いんだ……」

「へえ、何をした人達なのかしら?」

「龍を、倒したみたい」

「龍ねぇ。どんな龍だ?」

「え、ひ、飛龍……だったと思う」

可哀想に、ファルーアとグランにも話し掛けられて、青年はますますおどおどし始める。


俺は、後ろにいた銀のもふもふを前に出してあげた。

「その屈強な戦士達は、銀色の魔物を連れてたりはしない?」 


……青年の切れ長の眼が、見開かれた。


本日分の投稿です。


毎日21時から24時を目安に更新しています!


よろしくお願いします!

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