表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆鱗のハルトⅡ  作者:
302/308

次なる未知へと。①

******


次の日。


……シュヴァリエと話したことを、皆には朝食のときに伝えた。


――飯食いながらあいつの話をするのは不本意だったけどな。


シュヴァリエの協力者が、アルヴィア帝国にある研究都市ヤルヴィのトレージャーハンター協会支部長、ストールトレンブリッジであったことも勿論話してある。


ボーザックが騙されたねーとからから笑い、グランとファルーアは渋い顔をする。フェンは黙って乾し肉を囓り、ディティアはあはは、と苦笑してみせた。


それから、俺たちは各々散らばって、拠点を片付けているところだ。


「ふあ……あぁ~」

大欠伸をした俺に、グランが苦笑した。


「お前どんだけ夜更かししたんだよ……ほら、きびきび運べ~」

「わふ」


その足下にはフェンがいて、彼女は畳んだ布を背中に乗せて運んでいる。

俺たちは洞窟の拠点に使っていた衝立の一部を、ふたりで運んでいるところだ。


「ディティアと話し込んじゃったからなぁ……」

ぼやくと、グランはふっ、と鼻で笑う。


「お前の元気があるのはディティアのおかげだろうよ」

「まあ……うん。それはある」

「……なんだ、素直じゃねぇか?」

「そう? ディティアにはかなり怒られたけど」

「あぁ? いや……なんとなく想像はつくが、なにやらかしたんだよ」

「え? 別に変なことは――」


――俺がとつとつと話すと、グランは盛大にため息をついてみせた。


「成長したのか、してねぇのか……」

「はぁ?」


眉をひそめた俺にグランは苦笑して、衝立にかけた手の位置を変えながら言った。

「まぁいいさ。とりあえず運んじまうぞ」


◇◇◇


撤収作業は順調で、拠点にしていた洞窟の広場は、ほとんど岩肌を晒すだけとなっている。


ただし、まだこの洞窟に未調査の空間があることを懸念したトレージャーハンターたちが、何組か残ることになった。

そこに、砂漠に降り立った俺たちに仕事を斡旋してくれた兄妹、ゴードとアーラも交ざるそうだ。


「……まあ、俺たちにかかればなんら問題はないですよ!」


そう言って胸を張る丸鼻のゴードの隣、アーラは肩を竦める。


「正直、ナーガ姐さんと白薔薇の皆が知り合いだったことには驚いたよね」

「俺たちも、アーラたちがナーガの従姉妹って聞いてびっくりしたよー」

ボーザックか笑うと、アーラも笑った。

「あははっ、そうだよね! ほんと、お兄さんたちと会ってからいろんなことが起こった気がする!」


「そうね。あっという間だった気はするけれど」

ファルーアがふふっと妖艶な笑みをこぼすと、ゴードはなんだか照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。


「……俺もアーラも、皆さんには本当に感謝してます。また、会いに来てください」

「おう。アーラと仲よくしろよ!」

グランが、顎髭を擦る。


……ゆっくり整える時間があった今日、その顎髭は綺麗に切り揃えられていた。


すると、アーラが俺のそばにやって来る。


「そうだ、逆鱗のお兄さん」


「ぶっ、それ、やめろって……」

噴き出して応えると、アーラはにこにこしながら、ほかの皆に聞こえないようこっそりと囁いた。


「ティアお姉さんを大切にね! あんな素敵な人、いないよ?」

「え……」


……俺はたぶん、数回、瞬きしたと思う。


「ゴード、アーラ! ふたりとも、元気でね!」

答えられずにいるあいだにディティアが笑いかけたんで、アーラは俺にばっちりと片目をつぶってみせてから、ディティアのところに行ってしまった。


呆けていた俺の足を、フェンの尾がぱしりと叩く。

しっかりしろって言われた気がした。


「うん、わかってる……フェン。悪いな」


……言われなくても。任せとけ、アーラ。


小さく呟いた俺に、フェンが満足げに「ふすぅ」と鼻を鳴らした。


******



切りが悪くなっちゃうので、短めです!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ