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逆鱗のハルトⅡ  作者:
183/308

破壊を司るもの。⑥

******


男を連れ帰ってから六日。

受付のおばちゃんはメイジと思しき人たちを引き連れて帰ってきた。

どこから呼び寄せたのかはわからないけど、中々強そうな人たちが八人揃っている。


災厄の破壊獣がいる洞窟は、しっかりと埋めてきたそうだ。

また、危険だからと一帯を封鎖したとも話してくれた。

本当にこのおばちゃん、何者なんだろうなあ。


――そして、伝達龍が帰ってきた。


アルヴィア帝国帝都にいるはずの、研究都市ヤルヴィの協会支部長ストーからの返事と、自由国家カサンドラのトレージャーハンター協会会長からの返事だ。


今日も今日とて、トレイユ支部の個室を借りた俺と爆風は、来る途中で買った雫型の赤い果実……ペールを頬張りながら、まずストーの返事を広げた。

向かいに座る支部長……そういえば名前、聞いてないな……にも、聞いてもらうことにしている。


「……ストーには、ここについてすぐにサーディアスの情報を送っていたんだったな」

爆風はそう言って、厚い羊皮紙を読み始めた。


◇◇◇


お元気ですか、爆風さん、逆鱗さん。

私は無事に帝都へと到着し、すぐに皇帝にお会いすることが出来ました。


研究結果とアイシャの情報を交えた説明の結果、各国とトレージャーハンター協会への情報提供を行うことで同意を得ていますが、若手筆頭サーディアス……彼が関わっているとすれば、慎重にならねばなりませんね。

とは言え、既に白薔薇がトレージャーハンター協会本部へと向かっていますから……私の方でも会長に一報を入れておきましょう。


……それから、少し気になることが。


帝都には魔力結晶が集まります。

ここ自体が巨大な古代都市の上に成り立っているため、日々多くのトレージャーハンターたちが地下へと潜り、ときに大きな結晶を持って帰ってくるのですが……『買い占め』が行われている痕跡が今までにないほどにはっきりと確認されました。


ここまでは、前にお話した魔力結晶を集める者がいるという情報の裏付けでしかありません。


しかし、それに付随して、新しい情報を得ました。


……魔力結晶の粉。これが、薬として流れ始めているようです。 

なんらかの処置を行うことで『薬』となるのでしょうけど、報告を聞いた限り、逆鱗さん、貴方は情報を持っていますね。


サーディアスが『危険な紅い粉』を使っていることを書いていたものですから、私の好奇心は刺激されるばかりです!


とにかく、気を付けてください。やはりなにかが動いている。


私はこれから帝都で、トレージャーハンター協会本部とのやり取りを行います。

貴方たちは自由国家カサンドラへと向かうのでしょうから……会長にすぐ会えるよう、ひとつの肩書きを与えます。


アルヴィア帝国皇帝勅命の使者。

同封したもう一枚の書状が正式な任命書となりますので、くれぐれもなくさぬようにお願いしますね。


追伸。

東のカールメン王国から、報告書が二通届いていますよ。

貴方たちの依頼だと記載がありましたのでお伝えします。


砂漠の町ザングリの裏ハンター、ゴードと、その妹アーラ。

樹海の町ライバッハの裏ハンター審査官、ナチとヤチからですね。


どちらも、地殻変動がある場所の特定と、その付近での怪しい者の活動を伝えてくれています。


では、自由国家カサンドラに無事辿り着くことを祈ります。

どうか、お気を付けて。


◇◇◇


爆風は読み終えた羊皮紙と書状を、ゆっくりと机に置く。


俺は緊張を解いて小さくふう、と安堵の息をつき、顔を一度、手のひらでこすった。

ナチとヤチ、ゴードとアーラは、うまくやってくれたらしい。


けど、放っておけない事案も出たからな……早く動かないとならないはずだ。

『薬』とやらが出回り始めたってことは、一国の危機そのものだろう。


……それにしても、アルヴィア帝国皇帝勅命の使者って、相当なもんじゃないのかな。


触れるのも気が引けて書状とやらを覗き込むと、俺と爆風の名前、使者に任命すること云々と、硬い文書が連なっていた。……正式な印と思しきものも捺印されているし、やはり『本物』のようだ。


「これはこれは……いや、なんという……あのアルヴィア帝国が『冒険者』を任命するなどと、今までは考えられませんでした。曲者ストールトレンブリッジ……やはりやり手か」

しきりに口髭をもごもごさせ、支部長は険しい顔付きで呟いた。


……そっか、アルヴィア帝国は冒険者……アイシャの人間を嫌っているんだもんな。


「トレージャーハンター協会からすれば、冒険者を使者に任命したアルヴィア帝国は、そうまでしても協会と協力したいのだと捉えるでしょう。……間違いなく、ストールトレンブリッジが働きかけ、仕向けたものですね」


支部長はそう言って苦笑すると、椅子の背もたれにもたれ掛かった。


「とはいえ、ここまでくれば協会も動くしかないでしょう。こちらも、災厄の破壊獣について調べを進めておきます」



13日分の投稿です!

よろしくお願いします!

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