表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆鱗のハルトⅡ  作者:
152/308

咎人がもたらすものは。⑧

「行くぞ! 逆鱗!」

「わかってるっ……ハンナ走れ! 速度アップ、速度アップ!」

俺はハンナの威力アップを二つとも書き換えて、双剣を振り上げて飛び離れた爆風より先に、広場を繋ぐ木道へと飛び込んだ。

ハンナも付いてきているのを確認し、その後ろになった爆風へ視線を走らせる。


三体になったアダマスイータが、威嚇音を発して最初の獲物である爆風に向き直る……くそ、速い!


「ハンナ急げ!」

「い、急いでますわっ」

「速度アップ!」

俺はハンナの反応速度アップも書き換えて、速度アップの四重にしてやった。

少し足踏みしてハンナを先に行かせ、草で覆われて視界が悪い中を、爆風より先行して突っ切る。


今はそれどころじゃないっていうのに、何で四体いるんだ! とか、二体相手ってどうすんだよ! とか、思考がぐるぐるした。


ザザザザッガサガサッ!


突如視界が開け、転げるようにして広場に出た俺は、眼の前で盾を構えていたラウジャに背を向け、怒鳴った。

「二体は俺達の部隊がもらう!ラウジャは一体を!」

「二体って……失敗したのかい!?」

「四体いたのですわ! 来ますのよッ!」

距離を取りながらハンナが答えてくれる。


「速度アップ、反応速度アップ、肉体強化!」

俺はラウジャの部隊にバフを広げ、飛び出してきた爆風に頷いて見せる。

爆風はすぐさま俺の隣で向き直り、腰を落とす。


「気張れよ逆鱗ッ」

「任せろっ……威力アップ、威力アップ!」

ハンナのバフも書き換えて、俺は双剣を構えた。


爆風を追って、黒い塊が再び飛び出してくる。


ここでまた一体を引き剥がさないと……!


『シャアアッ……ガッ』

先頭の一体が、二本の前脚を高く上げ、口から液体を吐き出す。

跳んで避ける爆風。

今の今まで彼の足があったその場所で、ジュウッっと白い煙が上がった。


『シャアッ』

爆風の着地を狙い、もう一体がすかさず回り込んで前脚を上から振り下ろす。

再度跳んだ爆風と入れ替わるようにして、俺は双剣を振り上げた。


「はああっ!」

ザクリ、と鈍い手応え。


斬り飛ばすには足りなかったけど、俺でも傷ぐらいは穿てたようだった。

『ギシャアッ!』

「お前の相手は俺だろう?」

俺を見据えたまま横に移動したアダマスイータに、今度は爆風が仕掛ける。

アダマスイータは即座に爆風に狙いを戻し、四本の前脚を高く上げ、威嚇のような体勢をとった。


……最初に狙った獲物を優先的に追うってのは間違ってないようだ。


「こいつをもらうよっ! お前達、気張りな!」

その間に、飛び出した別の一体をラウジャが横から戦斧で斬り付け、他のメンバーが取り囲む。


「凍りなさい!」

狙い澄ましたように、ハンナが杖を掲げた。


ラウジャ部隊と一体のアダマスイータが、氷の壁の向こう側へと分離される。


「私はあちらに合流しますの! 行ってくださいませ!」

ハンナの声に、爆風は威嚇する一体を無視して、最初に液体を吐いた奴の前へと飛び出す。


その後ろを追い掛けようとする二体目の後ろ脚に、俺は双剣を繰り出した。

また、鈍い感触。


『シャアッ』

たまらず向き直る二体目。


……最初に液体を吐いた奴の方が、二回りは大きいようだ。

俺は、小さい方のアダマスイータの頭にギラギラと光る三つの複眼を睨みつけた。


――いいぞ、ちょっとだけこっち見てろよ!


「やるな逆鱗!」

注意を逸らした二体目の横を、爆風が風のようにこっちへ駆けてくる。

その後ろから、大きい方のアダマスイータがガサゴソと這ってきていた。


俺の後ろには、広場へ続く木道。

俺はすぐに踵を返し、爆風より先に自分の部隊が待つ広場へ向かって走り出した。


一体は爆風が受け持って、その間に弓使いのカント、長剣と盾のルミール、戦斧使いのヴォルードと一緒にもう一体を仕留めてしまえばいい。

ちゃんと話し合っていたはずだ、大丈夫……!


漸く考えがまとまったのに、心臓は思いのほか早鐘のように脈打っている。


『シャアアギャアアアッ!』


……俺と爆風の後ろで、二つの黒い塊が激昂した。


3月1日分の投稿です。

来週から忙しくなるので、また21時~24時更新を目安とする予定です。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ