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逆鱗のハルトⅡ  作者:
134/308

まだ見ぬ流れへと。②

******


ヤンヌバルシャの素材は合計でなんと80万ジールにもなった。

大金も大金である。

殊勝なことに、アマルス達は流石に貰いすぎだと焦って減額を希望したんだけど、俺達が押し切って約束通り半分の40万ジールを受け取らせた。

彼等はその時ゴクリと喉を震わせていたけど、俺はそれを眺めながらひっそりと考えてしまった。


……そもそもファルーアが爆発させなかったら、この何倍の素材があったはずだからな……。


「……ハルト……あんたその顔で私を見るのやめてくれる?悪かったわ……」

「顔に出過ぎだぞお前」

すると、ファルーアとグランに言われてしまった。

しまった、全然ひっそり出来てなかったらしい。

「はは、ごめん、思わず……」

首を竦めると、二人は笑みを返してくれた。


俺達はリューン、ガルニア、爆風のガイルディアと合わせた8人で、残りの40万ジール(フェンは抜くことになったんだよな)、つまり一人頭5万ジールを貰った。

その内3万ジールを各々の装備品の手入れなどに充て、2万ジールはグランの管理するパーティー用財布に突っ込んでおく。


それとは別に、ストーから情報提供の報酬として白薔薇には一人当たり2万ジールを貰ったんだけど、これはまとめて旅の準備費用に充てることにした。

研究所で話した、樹海の街ライバッハからの提供ってことにした情報のことだな。


グランの提案で、その余りは俺の旅の資金として持たせてくれるそうだ。

そっか、お金も持っておかないとだもんなぁ。



……そんなわけで、翌日。



食糧や消耗品の補充などを一通り済ませた俺達白薔薇は、宿に戻ってパーティーで分担している荷物の再振り分けを行った。

最低限の物は元々それぞれで持っているけど、テントや食器、応急処置用品なんかは担当を決めて管理していたからだ。


そういえばこれ決めたのも大分前だったなぁって、ちょっと懐かしい。

ちなみに俺の担当はポンチョと応急処置用品だったから、薬を少し買い足して、俺が持っていく用と白薔薇分で分けておく。


「テントが無いと雨の日が面倒そうだなー」

床に並べた荷物の確認をしながら俺がぼやくと、隣にいるディティアが笑って応えてくれた。

「ガイルディアさんが持ってるんじゃない?」

「どうだろう、雨でも寝袋ひとつで寝そうだけどなあのオジサマ」

「あはは、流石にそれは……ん、どうかなぁ」

ディティアも半信半疑みたいな返答になったので、思わず笑ってしまう。

何なら立ったままでも平気で眠れそうだよな、爆風は。


彼女は俺が並べた荷物を眺めると、自分の懐から飛龍タイラントの鱗で作ったナイフを出した。

不思議に思って見ていたら、ディティアが意を決したような顔をして俺を見上げる。

「ハルト君、あの」

「うん。どうした?」

「えっと、このナイフ……ハルト君のと、交換してくれないかな」

「交換?」

「う、うん……えっと、持っててほしいなぁ、っていうのと、持ってたいなぁ、っていうのと」

「はは、何だよそれ?」

思わず笑ったら、頬を紅くして話すディティアは、だんだんと俯いて恥ずかしそうにもじもじする。

「ええっと……ね。ハルト君がいない間、私のナイフがハルト君を守って、ハルト君のナイフが、私……達、を、守るの、どうかなって……」


俺は、一生懸命に言葉を紡ぎながら、ちらと俺を見上げた彼女に――やられた。

何だそれ、可愛すぎるだろ。

どうみても小動物だ。


「ディティア、相変わらず可愛いこと言うよな」

理由もすごく気に入ったし、俺は自分のナイフを出して、ディティアの前にぽんと置いた。


ところが、彼女は顔を両手で覆っていて、全く見ていない。


「……?ディティア?」

「あ、あの、あのねハルト君!そういうのは!も~!」


「炸裂したわね」

「本当だね~、俺のナイフをティアに持たせてあげて、ハルトのナイフ没収しちゃおうかなぁ」

「ディティア、よく頑張ったぞお前は」


口々に好き勝手言う皆に、俺は一瞥をくれてやった。

「っていうか、何だよ?俺、変なこと言ってないよな?」


ところが。


「言ってますッ!!はいっ、ナイフ確かに預かりました!はいっ、このナイフを預かってください!ハルト君の馬鹿ー!」

「えぇ……!?」

いきなりディティアに怒られてしまった。

そんな変なこと言ったつもりはないんだけどな……。



とりあえず――膨らんでいた彼女の頬を左右から潰してあげたら、更に怒られたのだった。



******



平和パートです。

明日からはガイルディアとの2人旅です。

よろしくお願いします。

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