神とか名乗るクソジジイ
「うわぁぁあ!!」
秋は真っ暗な闇の中を落ち続ける
「いつまで落ちんだよ!」
少しすると光が見えてきた
「ヤベッ、このままだと地面にぶつかる―」
急に落ちるスピードが緩くなる
しかし、落下は止まらずに地面にぶつかる
ドンッ!っと音が響く
「いってぇ、スピード緩めるの遅すぎだろ」
秋が腰をさすりながら文句をたれる
「なんだここは」
そこはさっきの暗闇とは違い、眩しいくらいに真っ白の空間があった
「どうなってんだこの部屋、ドアもなけりゃ壁もないぞ」
その時―
「お前か、新しい漂流者は」
声と共に髭を沢山生やした年寄りが現れる
「誰だお前?」
「失礼なガキだなぁ、人に名を聞くときゃ自分からなのるもんでしょ」
「こりゃ失礼クソジジイ、朝霧秋だ」
「アキかおなごによくいそうな名前じゃのぅ、まぁどうでもいいわ、お前どうやってここに?」
「どうでもよくねーよ、お前こそ名乗れよ」
「おっとこりゃ失敬、私の名は神だ」
神と名乗る男が髭をさする
「は、歳とりすぎてとうとう頭イカれちまったのか?」
「人間如きが無礼だぞ、私は正真正銘の神だ、貴様なんぞ赤子の手をひねるくらい簡単に殺せるぞ」
「俺とやり合うってのか、年寄りを殴るほど落ちぶれちゃいねーよ」
「なんだ、ビビッてるのか?」
神が挑発する
「舐めやがって、いいだろ相手してやるよ!」
秋が神に飛びかかるが―
「馬鹿じゃのう」
神はそう呟くと自らの掌を秋に向ける、すると秋が見えない何かに吹き飛ばされた
秋は倒れこみ咳き込む
「なんだ今のは、急に体が押された感じがしたが」
「これが神の力じゃ、お前如きが敵うはずもないだろ、それよりお前に頼みたい事がある」
「なんだよ」
秋が咳き込みながら立ち上がる
「実は、お前がいた世界とは別の世界に魔王と呼ばれる奴が現れてこの私を倒そうと企んでるのじゃ」
「それで俺は何をすりゃいい?」
「魔王を倒して欲しいのだが」
「アンタがやりゃいいだろ、そんな面倒な事お断りだね、俺は家に帰らしてもらう」
秋が部屋を見渡す
「出口はないぞ、お前には倒してもらうまで帰らさないからな」
「嘘だろ、なんで俺なんだよ」
「成り行きかな、私はいろいろ忙しくてそっちに手がまわせないからの、それにお前帰っても暇じゃろ私はその願いを叶える為によんだし、魔王も倒せてお前も暇潰しになるこれぞ一石二鳥ってな!」
神が腹を抱えて笑う
「いや、笑えないから」
「ま、まぁその代わりにお前が望む能力を授けてやる」
「能力?」
「あぁ、お前が行く世界は魔法ってのがあるからの、魔法を使えないお前にとっちゃ不利になるだろうからの」
「ふーん、じゃあ神を殺せる能力かな」
秋が不適な笑みを浮かべる
「可能ではあるけど私ってそんなに恨まれてるのか・・・」
神の表情が暗くなる
「なんてね、お前から貰った能力でお前殺しても楽しくねぇもん」
「驚かせるでない、はよ決めんか!」
「そうだな、今のままでも充分だけど、そだ相手の能力を奪う能力かな、強い奴倒して能力奪ってたらいつかアンタを殺せるかもだし」
「それでも私を殺したいのね、分かったお前にその能力を授けよう、それでは魔法の世界アルベムへしゅっぱーつ!」
「え、待ってその世界の説明とかまだ聞いてな―」
突然目の前が光る
「じゃあ、頑張っての~」
秋が眩しくておもわず目を閉じる
(ん、なんだ声が聞こえるぞ)
秋が閉じていた目を開くと―
「なんじゃこりゃ!!!檻の中じゃねーか!!」