第3話 元勇者さんの朝はまだまだ騒がしいようです
「その子に何をする気だ!!」
突然、制服姿の真面目でお堅そうな眼鏡を掛けたいけ好かない野郎がドアを開けて開口一番にそう言って来た
「朝ご飯でも食わせようかと」
「じゃあなんで泣いているんだ!!」
「世間の荒波が辛かったんじゃない?」
「しらばっくれるな!!どうせお前がその子に乱暴をしたんだろ!!」
「何で俺がわざわざ女に乱暴しなきゃいけないんだよ」
「うるさい!前科があるだろ!!」
なるほど、そういう事か 何でこいつがこんなに絡んで来るのか疑問だったが一応理由はあったらしい
あの巨乳の洗脳のせいか…………
「はぁ……お前は何か勘違いをしてるみたいだが俺はこいつとはまったく何もないからな」
「じゃあその子は誰なんだ!?」
「知らない」
「は? 知らないってとぼける気か!?」
「昨日道端に落ちてたから拾った」
「拾った………?」
「台風なのに、外にいたから連れてきた」
「それはもちろん了承を得てだよな………」
「勝手に連れてきた」
「猫や犬じゃないんだぞ!!」
「知るかよ」
「分かった、警察に連絡しよう」
この愚弟はスマホを取り出し本当に警察に連絡をする気らしい
警察は面倒だな、俺は未だに目のハイライトが消えているうるさくて泣き虫な痛魔コスを正気に戻すことにした
「おい、うるさくて泣き虫な痛魔コス」
「………………えっ? それってまさかですけど私のことじゃなですよね?ねぇ?」
「そんなのどうでもいいから ちょっと先にあっちの部屋で朝ご飯を食べててくれないか?」
「どうでもいい!?ちょっと人のことをうるさくて泣き虫なイタなんちゃらとか言ってそんなことってなんなんですか!!」
こいつ人の話もろくに聞かないし情緒不安定な子だな………
俺は哀れみの感情を込めて優しく言ってやった
「何を今更常識人ぶってるんだか知らないが、痛魔コスお前はさっきまで痴女みたいな格好で外でナニをしてたんだ?」
「うっ…………それは気が付いたらこの格好に勝手になってて……………………」
「そうか無意識にその格好になったのか それはもう生粋の痴女だな」
「痴女…………分かりました、あなたの言う通りにさせていただきますから痴女はやめてください………」
「よかった、俺も痴女と一緒に居たなんてことだったら精神衛生上あまり良くなかったからな」
「分かりました!なんでも言う事を聞きますから痴女はやめてください!!」
何故か顔を赤らめて目をぎゅっとさせている
「ん? 今なんでもするって言ったか?」
「……………………………」
俯いているから表情は見えないが頷いたから肯定らしい
「まあいいか ちょっとあっちの部屋に行って先に朝ご飯を食べててくれ」
「え? そんなことでいいんですか?」
「ナニを期待してたのか知らないが早くあっちの部屋に行ってご飯を食べててくれ これ2回目だぞ」
「わ、分かってますよ あっちの部屋でご飯を食べてればいいんですよね!?食べますよ!!食べさせていただきますよ!!」
食い意地の張ったうるさくて泣き虫な痛魔コスは奥の部屋に行った
そして俺はようやくスマホに向かって色々と喚いていている愚弟を見る
学校に行く途中で痛魔コスを見かけて、きっと来たのだろう
めんどくさい
「だから、何度も言っているでしょう!! 下着姿の女の子にサイズの合ってないワイシャツを着せて泣かしている変態がいるから早く来てくれって言っているだろが!!」
俺はスマホで警察に連絡をしていた愚弟にボディーブローを食らわせて黙らした
ゴルパァ!!
「すみません、家の弟が血迷った用でご迷惑をお掛けしました」
「さっき、変態が下着姿の女の子にワイシャツを着せてハァハァやってを泣かしていると連絡があったんだが大丈夫なのかね?」
「………………… お互いの同意の上といいますか一種のプレイです」
「君も苦労しているんだな……私の妻ももっと激しくしてくてといつもせがんで」
ブチッ!
他人のそんなものなんて知りたくもない
さて、面倒だから愚弟の記憶は消しておこう
伸びている愚弟の頭を掴む
手に魔力を集中させる
「アバババババババ」
電気に感電したみたいになっている
「おい、まずはさっき見たことを忘れろ」
あとそうだな
腕時計を見てニヤリ
「途中で土産でも買って担任にでも渡してろ」
愚弟はムクリと起き上がり、何事もなかったように学校に行った
今のも魔法の一種なのだが、どう見ても洗脳だ
俺は嫌いだとか言いながら魔法を使うクソ野郎なのだと軽く自己嫌悪しながらも朝ご飯を食べることにした
どうやら、食い意地の張ったうるさくて泣き虫な痛魔コスは俺のことを待っていたらしい
いただきますをしてトーストを食べる
「このパンとコーヒー冷めてますね………」
トーストもコーヒーもすっかり冷えてしまっていた
「あのクソ野郎め!!」