第六章~叫び~
さて困った。
私はいつものようにスーリヤを待っていたら、いきなり空から帰って来たと思いきや、子供と竜を連れて泉に飛び込んだのだ。少女は全身火傷をおっていて、後すこしだけ遅ければ、死んでいた所だった。
本来ならば、人の命を助けない私だったけれど、この人が泣き叫ぶように救いを求めてきたのだ。断るに断れず、私は渋るように少女を治療した。
これが昨日の話し。
不器用な人が不器用なりに助けた少女を見る。傍らには主人を守るように横たわる小さな竜。まるで、ひと昔前の彼のようだった。
“人と竜が争わない世界になってほしい”と、誰もが願いそうな望みを持って、彼は最悪なる家族をも手に掛けて実現させた。 もう願いは叶ったのだから、望むことなんて無いはずなのに‥‥‥。
そう思いたかった。
スーリヤも疲れ果てて眠っていて、昨日から言葉を交わしたのは本の数秒間くらいだけだ。起きたらとっちめてやろうとそう思う。だが、それ以前に、一つ、厄介なことがあった。そう、王宮だ。
彼がこの半月の間、レイウ゛の村で何があったのか、だいたい予想は付く。
なぜ半月も足止めを喰らったのか?憶測だが、スーリヤはレイヴに行き、情勢を調べている間に王宮の反感心を抱いているレイヴに加勢。王宮の問題視していたレイヴの反感はあっていたということ。王宮は半月もの間、戻って来ない総長を死んだと王宮は勝手に認識し、村を焼いたという具合か。
可哀相に、この娘はレイウ゛の最後の生き残りというわけだ。
「んっ‥‥‥」
少女の目が覚めた。キョロキョロと視線を動かした後、ゆっくりと体を起こす。
まだ傷が痛むのだろうか、苦悶の色をあらわにしながら一番痛む胸を押さえていた。起き上がるだけでも相当大変な作業そうで、たびたび額に汗を滲ませ、息を荒々しく吐く。
「苦しそうだな‥‥‥」
なんとなく、会話をしようと思ってもいなかったが、ただ何となく話しかけてしまった。
「‥‥‥はい、苦しいです」
少女は少し驚いた様子で体をびくつかせたが、そう告げた後、私を見て言葉を続ける。
「身体が痛くて、大袈裟かもしれないですけど、死んでしまいそうなほど苦しいです」
「そうだね‥‥‥彼がもう少し早く此処に来なかったら、貴女は死んでたわ」
自分の服の下には何回も巻かれた包帯がある。それを確認した少女は胸に宛てがっていた手のひらを一層、強く握り締める。
「でも、私以外の村の人は死んでしまった。近所のおじさん、おばさん、一緒に遊んだ友達も、お父さんも。・・・・もう、みんなと一生会えないことの方が、苦しいです」
受け入れがたい現実を正面から受け止めた少女は、嗚咽混じりにむせび泣く。私は少女の身体をそっと傍らに寄せた。
「我慢しなくていい。泣けるだけ泣きなさい。恥ずかしいことなんてないのだから・・・」
少女は、こらえていた涙腺が崩壊し、滝のように大粒の涙を流しながら、吠えるように泣いた。
「う‥‥‥あああぁぁぁぁっっ、うわあああぁぁぁんんっ!!」
少女は泣く。泣き続けた。自分が良いと思うくらいにまで泣きはらした。ああ、この子は普通の子とは違うと、そう確信した。竜と共にある生まれその一生を終える一族、レイヴは確かに未知なる力を秘めている。竜と心を通わせることができ、言葉も交わすことができたというが、それは時代を追うごとに、言葉すらも交わすことができなくなってしまい、ただ心を許せる双方となっていたようだ。だが、そのレイヴの村は今はもうない。
全ての元凶が王宮か・・・
スーリヤがレイヴに半月間も滞在している間は私も大変だった。何度も何度も同じように、懲りない王宮はこの森に踏み入れて私を捕まえようとした。だが、この森は私をかばってくれるように王宮の兵士たちを一切この中に入れないようにしていた。
と言っても、自然の力は人間に追っては意思がないものと思い込んでいる。そのためにこの森の入口は徐々に切り払われていると言ったほうがいい。
そのため――
日課のように降り注いでくる投石や矢の数々。私はこの泉には入らないように結界を張っており、絶対に侵入することができないようになっている。ただ、なぜ昨日スーリヤ達が入ってこれたのかは、結界の力が弱まっているためだろう。だから確信した。人一人というよりは成竜一匹分すら弾かれてしまう程に私の結界が弱体化している。結界の強さを維持するためには、ずっと私が起きて魔力を注がなければいけないとだめなのだ。
一度襲われたあと、私はすぐに結界を覆ったのだが、不眠不休は体に堪える。
いつの間にか静かになっていたことに私は気がつくと、少女は眠っていた。眠れることができないため、少女に睡眠という点だけに私は、軽く嫉妬のため息をはいた後、少女の体を寝かしつけた。
私は立ち上がって背伸びをし、筋を伸ばしてやる。固まっていた筋肉が少しだけほぐれて気持ちがよかった。周りを見渡し、ぐーぐーと眠っていた、昨日スーリヤが乗ってきた飛竜に近づいた。
私の気配に気がついた飛竜は目を開けてこちらを見ると、驚愕するように瞳を大きくした。
「な・・・なんで、こんな所に竜人が!?」
「・・・む、私を知っているということは、百年単位で生きてきた竜か」
がくがくと竜の体が恐怖で震える。私は竜の額に触れると、ビクンと、痙攣するように体を大きく上下に動かした。
「そんなに怖がらないで、私は貴方に害は加えない」
「‥‥‥ホントか?」
私は頷きで返事をして、まず聞きたい事を、竜に質問した。
「貴方は、あの人を背中に乗せていたけど、なぜ?」
「それは‥‥‥」
何やら言いにくそうに口ごもる竜に、私は違う質問をぶつける。
「じゃあ、貴方はレイヴで何をやった?」
「‥‥‥主の命令で、村を焼き払った」
「‥‥‥その主とは?」
「王宮の竜騎士と、話してくれた」
やはりか‥‥‥。
「ありがとう‥‥ねえ?」
「はい、なんでしょう!?」
「ちょっと頼まれ事をしてくれない?」
私はそう告げて、竜に指示をした。
この森の守護、私たち四人を守ること。此処に来る敵を打ち払うことを、竜に話した。
「出来そう?」
竜はちらりとスーリヤを見ると。
「今の主はあの方でございます。私は、この命が果てるまで、主人を守り通すことを誓っています。ですから、その脅威となるものを打ち払いましょう」
凛とした声で竜はそう、告げた。
「そう‥‥‥お願いね?」
私は竜の鼻頭を優しく撫でてあげる。竜は気持ち良さそうに目を閉じていて、先の恐怖は消えたように穏やかだ。
「貴女は不思議だ。私たちは親から子へと、竜人は危険だから近づいてはいけないと言われていたのに」
“貴女からはその気配が感じられない”と、そう言い残して彼女は森から飛翔していった。
気づけば私の手は竜のようにふるふると震えていた。何に怯えているのだろう?何に恐怖しているのだろう?私はただ、普通でありたい。みんなと同じでいたい。そう、願っているのに、私だけが他の姉妹達よりも危険ではないから動植物達にも好かれている?
酷い話しだ。私たちは誰よりも人を愛し、誰よりも世界と在りたいと願っているのに、誰からも愛されず、世界は我々を嫌悪している。
もはや五人の中で、人と交わろうと思っているのは私とミーナだけ。
姉さんも、ラーミアもカイナも、世界を憎んで生きている。否定される事は慣れっこと思ったら間違いだ。自分自身を否定、存在を否定、力を否定、なにもかもが否定された世界で、ずっと蔑まされてきた世界で、平気でいることのほうがおかしい。最早私たちが出来る行動は、破壊となってしまった。
否定されたことを壊して鬱憤を晴らすだけになってしまい、その破壊衝動に塗れた私たちの所業をを見てきた世界は、私たちをいらない存在として、私たちを排除することに決めたのだ。
私だけが良いわけが無い、私だけがこの人と交わって良いはずがないのでは?そう思うと胃液が逆流してきそうになり、手を口元に宛がう。
「‥‥‥あはは、考えすぎかな」
「なにを?」
突然声を掛けられた事に驚きを隠せないまま、私は振り向く。
「‥‥‥起きてたの?」
スーリヤは頷いて応じると、立ち上がり、近づいてくる。
「ああ」
「酷いなぁ、起きてるなら教えてくれても良かったのに」
「うん、それは済まなかった」
スーリヤは淡々と話しかけてくる。
「‥‥‥どうしたの?」
なんだか静か過ぎる空気に耐えられなくなった私は質問する。
「あまり気にしてなかったから、なんも思っていなかったけど、君は竜と喋る事が出来るのか?」
「‥‥‥そう‥だよ」
「‥‥‥俺さ、レイヴでお世話になった時に、あることを聞いたんだ」
心臓の鼓動が早くなる。彼が次に口を開く時、なにを言うのか手に取るようにわかるからだ。
「竜人‥‥‥という名前をさ」
「‥‥‥それで?」
私は平然を装いながら、あくまで知らないふりをして話をきく。
「五人しかいない竜人の中に、君の名前があった。聞いた話しでは、竜人は人も竜をも超えた存在だって。万物の声を聞けると、言われた」
「‥‥‥うん」
何も言い返さない、言い返せない。彼が言っていることは全て真実だ。何処に真実を覆せる話しが出来るのか。
「君は‥‥‥竜人なのか?」
問いただされた瞬間、私たちの間になにかが引かれた気がした。ぴしりと、渇いた物に亀裂が入るような感覚。
でも、答えない訳にはいけない。彼の問いには答えなければいけない。そもそも、このことはいつかばれるだろうと思っていた。それが、今日になっただけだ。
「そうだよ。私は竜人。貴方達が血眼になって探し出そうとする存在の一人。驚いた?」
彼は軽く頭を横に振る。
「驚かないの?私は竜人なのよ?」
「‥‥‥昔さ、俺が此処に迷い混んだ話しは覚えてる?」
覚えている。彼が友人の間で流行っていた度胸試しの際、友人を探そうとしてこの場所にまで来た話しだ。
私は彼の問いに頷きで返す。
「その時に出会った竜の目と、君の‥‥ソーマの目と被ったんだ。優しさを秘めているのに、何処か、悲しさを持った目だった所が」
彼は一呼吸間を開けて再び口を開く。
「間違いじゃなければ、教えて欲しい・・・君は、あの時の竜なのか?」
彼はまっすぐに私を見つめてくる。そう、初めて会ったあの時、私に問いただしてきた言葉のように。
“君はなんで、そんなに悲しそうな顔をしているの?”
今でもそのような顔をしているのだろうか。
「もし・・・・私がその答えに“はい”と言えば、あなたはどうするの?」
そう言うと、スーリヤは私に近づいてくる。
「嬉しいな。うん、嬉しいよ」
お互いの距離は一メートルは切っている。彼の目は子供の頃から変わっていない目の輝きと純粋さのままだ。嘘を言う人ではないと、これまで共に過ごしてきた私は、改めてこの人の強さを知る。
「だってさ?ずっと、会いたかった竜がこうして目の前にいるんだよ?一目見た時から好きになってしまった彼女は今、目の前にいるのだとしたらさ、俺はこれまで、好きな奴と一緒に過ごしてきたんだよ?ずっと君と話したい。もっと君のことを知りたいってさ。俺はこれまで恋心というものを感じなかった。けどさ、それはもう心に決めたやつがいたからなんだよ!」
彼は強く私を抱きしめる。それこそ、一生離さないと、誓いを立てるように。
「ソーマ、俺はあんたが竜人だからって、毛嫌いしない。人じゃないとか、竜よりも強いとか、そんなことは関係ないんだ。俺は、ありのままのお前が、好きだ!!」
私は、頬を伝ってくる涙の存在に気がつく。彼の腕が私を離さないように、私は彼に応じるように腕をスーリヤの背中に回して、強くすがりつくように力を入れる。
「莫迦っ・・・私、ずっとその言葉を待っていたんだよ?もしかしたらスーリヤは私のことなんか嫌いなんかじゃないのかって、思っていたのにさ。こんな・・・こんなところでさ・・・」
「御免な、ずっと正直になれなかった俺をもっと罵ってくれてもいい。でも、この気持ちだけは正直だ・・・」
互いの心臓の鼓動が聞こえてきそう。それだけ、私たちは体を密着しあっているということだ。これまで、こんなに近かったことは一度もない。だから今日は特別な日ということにしておこう。お互いの気持ちを交差しあった記念ということに。
「私も・・・好き・・・貴方が私に触れた時から、私はずっと貴方が好きだった・・・」
私はそう言い、密接していた身体を離して五歩くらい後ろに下がる。
白い光りが私の身体を包むと、徐々に身体全体を変化させ、竜の形態に変わる。
この姿に変わるのも久方ぶりか。竜人の力をフルに活用することが出来る姿だが、私はその逆と言える。右目に宿る魔法の邪眼は人型よりも弱くなる。私としては戦闘には不向きだ。
人の形としているのが良いか、竜として在るのが良いかで能力は変わってくる。
「‥‥‥あぁ、本当に君だったのか」
スーリヤは竜になった私を見ても逃げずにこちらに寄ってきて、鼻頭を優しく触る。節くれだつ手指だが、小さかった少年の時から、その温かさは変わらない。
「でも、本当に私で良いの?」
「気持ちは変わらないよ‥‥‥絶対に」
「私といると貴方は不幸になる、それでも───」
言いかけた私の頬を軽く叩く。
「それ以上、言うのは禁止だ。自分自身を陥れるのは良くない。それに、不幸とかは今はどうでもいいんだよ。今、生きている時に君を愛することが出来るのなら」
私は人の姿に戻り、スーリヤの身体に寄り掛かる。
「私も貴方の事を愛してる」
私はスーリヤの顔を覗きこむと、数秒間、照れたように顔を背けたが、覚悟を決めると流れるように、私たちは互いの唇を重ね合わせた。
───王宮。
普段の会議室では、飛び交う事が無かった怒声が、今日に限っては止まない雨のようだ。
スーリヤがいない間、隊長らを次に束ねる役目を持つ団長、ジーラは、今回秘密利に行われていた作戦について、一人の男を問い詰める。
「どういうことか、教えてほしいな十番隊隊長?」
雑多にばらまかれる紙。他の隊長らも内容を確認したが、異議を唱える程に、この計画はおかしいものだった。
「団長は知らないのですか?今やこの世界の頂点に君臨する生命体はこの竜人だけでなのですよ?」
人を小馬鹿にした態度にジーラは眉根を寄せる。
「それは貴様の口から何度も聞いた。俺が言いたいのは、この竜人を捕らえる為に、何人もの兵士を犠牲にしたかということだ!」
報告書には透写された一人の女性の姿が描かれていた。色までは識別出来ないが、長く伸びた耳が特徴的である。俯瞰された図だが、情報としては有力。そこに写し出されている絵は、王宮の竜騎士が無惨にも殺されている所だ。
「貴様一人が考え出した結果なのなら、厳重な処罰に値するが?」
そのような脅しには引かない十番隊隊長。
ジーラは感じていた。こいつは妙に頭がキレるやつだと。前々から思っていた。まるで前の団長のような男だと。
ふとジーラは思い出す。この男が隊長に新任された時からずっと目深に被られたフードの奥にある素顔をしらない事に。さらに言えば名前もしらなかった。
「お前は‥‥‥誰だ?」
不意に漏れた言葉が会議室を静寂に追いやる。
男はため息を付き、肩をすくめる。それは見ているものをゾクリと、背筋に寒気が走るほどの悪寒。キビキビとしていた声は急激に低い声に変わり、聞いたことがある声になった。
「元、団長の顔を忘れるとは、いやはや出世したねぇ・・・ジーラ君?」
「・・・ロア団長?」
バサリと、フードを取り払うと、その顔は重度の火傷に侵された傷だったが、声と髪、それにかすかに面影がある元団長の姿に皆の顔が驚愕に満ちた。
「そうだ、久しぶりだなジーラ団長?」
「そうですね、てっきり俺は死んだとばかり思っていたが・・・死んでいなかったということか」
ジーラは皮肉を込めるように笑うが、ロイはなんとも思わない様子でジーラの皮肉を受け流す。
「あの時に死んだのは吾輩ではない。影武者でな・・・・そもそもあの戦いは吾輩が仕組んだものでな?」
「・・・・・?」
ジーラは目の前にいる男が、今何を言ったのか、理解できなかった。だが、段々とロアが言ったことを理解するように浸透しきったあと、ジーラはロアに掴みかかろうと身を乗り出した。
だが、二人の間に割り込む影が一人。剣を鞘から抜く時に出る独特の音の次に、ヒュッという風きり音がジーラの耳に届く。ジーラはすぐに背後へと跳ぶと、髪の毛が何本か落ちたのが視界に入る。
“斬られた”という、現実を突きつけられたあと、誰が自分たちの輪に入ったのかとジーラは体勢を整えて前方を見やると。
「・・・カルナ」
カルナはジーラのつぶやきには何も答えない。ただ、冷たい目で自分を見ていることに、なにか違和感を覚える。
なぜ、カルナがロアを守るようなことをするのか?もしかすると、こいつはロアの術中になにか掛かっているのかかもしれない。だったら話は単適につながる。
「ロア・・・貴様、カルナに何をした!」
「吾輩は何もしてはいない。ただ、カルナには吾輩の求める世界を話したら、賛同してくれたぞ?」
「カルナ・・・それは本当なのか?」
カルナは何も答えない。静かに、ジーラとの距離を詰めていく。もはや戦うしかない、そう考えたジーラは腰からグラディウスを取り出す。
こういう短物は得意じゃないんだが・・・
構えるのと同時に、カルナはジーラへと襲いかかった。
「っくそっ!!」
竜騎士一の軍刀使いに自分が勝てるとは最初から考えていない。ただ、この場からどうやって逃げ出すのかを問題視しながら、頭の中で考えを張り巡らせる。
そう、まずはこの場にいる隊長らを逃すことに専念しなければけない。
「おい、お前ら!!さっさと逃げ――!?」
ジーラは既になん分か経っている攻防の中で、犠牲者でも出てしまっているのではないのかと心の隅にあった事柄が、自分の目で見たことは、予想を上回る事柄だった。
殺されているのは二人、そのうち、あとの六人は笑ってこちらを見ていた。
ジーラは一瞬で理解する。すでにこの隊長たちは、ロアの手中に収められた者たちだということに。戦意喪失。ジーラは握るグラディウスを離した。
「スーリヤ・・・ごめんな?」
カルナの無慈悲な一撃がジーラの心臓へと穿たれる。追撃と言わんばかりに、軍刀はジーラの鎖骨を斬り進むように登ってくると、その勢いでカルナの軍刀は首を跳ね飛ばしたのだった。
一部始終みていたロアは大層ご機嫌となり、血だまりとなった会議室の真ん中に立つと。
「さて、これで我々の計画を反対するものは居なくなった。では、本題に入りましょうかな・・・竜人捕獲作戦を・・・」