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悪魔姫は世界征服より昼寝がしたい!  作者: みずほたる
コルネットシティ、開拓編
39/42

女神、ゴミ扱いされる

「姫様。中古買取査定の修練のお時間です」


ミナエモン城に帰ってきた翌日、オカリナがどこからか大量の粗大ゴミを台車に山積みにしてきた。


「……なんじゃこれは?」


「第一話で廃村になった村、覚えてますよね? あそこから“使えそうなもの”を回収してきました。鑑定団に出したら意外と高く売れる掘り出し物があるかもしれません」


「掘り出し物があったところで、元は村人の物じゃろう」


「“いらんから好きにしていい”と許可を得ています。さあ、早速修練をはじめましょう」


私はため息をつきながら山を漁るが、すぐに違和感を覚えた。


「……オカリナよ。この箱の中に女神が入っておるのじゃが」


「本当ですね。『誰かもらってください』と書いてあります」


「捨て猫ならぬ捨て女神とは世も末じゃな……。じゃが鑑定団に出しても価値はなさそうじゃから、見なかったことにしよう」


「そうですね。我が城はペット禁止ですし。女神は勝手に空飛ぶし、無駄に光るので夜眩しいいですからね」


私たちは女神を完全に無視し、黙々とゴミの査定を続けた。


――そのとき。


「ふわぁ……よく寝た。って、ここどこ?」


箱の中から金色の光と共に、寝起き丸出しの女神が起き上がった。


そして私を見るなり――


「あ、悪魔姫じゃない。お久しぶり」


「お主など知らぬ。帰れ」


「いや、勝手に拉致しておいて帰れはおかしくない? ていうか何してるの?」


「ゴミの分別じゃ。ちなみにお主は“ゴミ”と査定したぞ」


「女神に向かってゴミってひどくない!?」


女神が涙目で抗議してきたが――


私は無視して次の壺を手に取った。


「これは背中の壺じゃな。押せば疲れが取れる品物じゃ。しかし著作権的に大丈夫かのぅ?」


「ギリいけるかと」


「よし。他国に高く売りつけてなかったことにしよう」


「懸命な判断です。姫様」


「ちょって待って。女神より著作権の方を心配する作品なんか、見たことないんだけど!」


「そんなの妾には関係ないしのぅ。タダ飯食えせるほど我が国は豊かではない。崇拝してくれる国に行くことをお勧めするぞ」


「そうですね。残念ながら国民は神より悪魔姫様を崇拝してるから、どちらかと言えば女神はアウェーになります」


淡々とオカリナが説明をすると、リィナが汗を垂らして。


「女神がアウェーって、ここは地獄かな?」


「いや、世界から見たら天国よりかと」


「リィナも天国に住みたい!」


「じゃが断る」


「そこをなんとかお願いしゃす!」


手を合わせて悪魔姫に頭を下げてくる女神。


「オカリナよ。面倒くさいゴミを拾ってきてくれたのぅ」


「申し訳ございません。ですが腐っても女神です。一つくらい他の者より優れているところがあると思います。それを活かして働いてもらいましょう。しかし我々ではすでに役立たず査定をしてしまいました。平等に査定してくれる人を呼んで参りましょう」


オカリナはそう提案すると、人間代表としてクラリを呼んできた。


「姫様。オカリナ様。この羽が生えて無駄に目立つ虫ケラは誰ですか?」


「女神らしい」


「はぁ、で、私はこの女神って人が姫様のために役立つか査定すればいいんですか?」


「そんなところだ」


クラリが理解したところで、私は女神リィナに言った。


「女神よ。アピールタイムじゃ」 


「フッ、とくと見よ! これが神の後光よ!」


眩しいくらいにリィナの背景が光り輝く。


「人はこの神の後光にひれ伏すのよ」


リィナは、どうだ。すごいだろうといった顔をしているが、クラリが


「姫様の絶望のオーラを毎日浴びてるんで、別に平伏したいとは思わないです。強いて言えば、眩しいんで目に悪いな。くらいですかね。まぁ平伏してどうするんだ?ってのもあります」


クラリが腕を組んで結論を告げた。


「……まとめると。眩しいだけで、害の方が大きい。査定結果は――“マイナス”ですね」


「マイナス!?」


リィナが素っ頓狂な声を上げる。


「光ってるだけで働かない存在より、光らず働く民の方が上です。当たり前ですよ」


「そんなぁぁ!」


私が肩をすくめる。


「ほれ見ろ」


「そ、そんな……」


オカリナが追加で尋ねる。


「他に役立つ力は?」


「『神の裁き』くらい……。この杖を掲げると、無罪なら天使が降り、有罪なら雷が落ちる。でも体力をめっちゃ使うのよ。フルマラソン1回分くらい」


「じゃあ一日三人は裁けるな」


「死ぬわよ!」


私はうんうんとうなずいた。


「仙人を悪人摘発に使い、お主を裁判長にすれば法整備ができるな」


「判断基準が女神ではなく杖なのも公平ですね」


「では決まりじゃ。住めて良かったな、女神よ」


クラリもうなずく。


「ついでに法文書の整備もお願いします」


話が固まった瞬間、リィナは膝から崩れ落ちた。


「……私にとっては地獄なんだけど」


項垂れる女神を見て、私たちは静かに次の査定を続けるのであった。

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