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悪魔姫は世界征服より昼寝がしたい!  作者: みずほたる
古の悪魔姫は仕事量が多い
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ぐうたら王女、舞踏会を夢見る

「姫様。ピアニカ帝国から舞踏会の招待状が届きました。いかがなされますか?」


フラット王女が来てから数週間後、オカリナにそんな質問をされた。


「西にある国だっけ? 領地をふんだんにくれるくらいだから敵ではないけど関わりたくないって思われてると思ってたわ」


「フラット王女の件でナチュラル王国と交流ができましたからね。向こうとしても無視はできないものと認識されたのでしょう」


「行くとしたら私とオカリナ?」


「ヴィオラも連れていくべきかと。身分は村長ですが見た目は綺麗なエルフです。あと人間代表としてクラリが良いかと。種族が違えどうまくやっている証明にもなります」


「そうね。ならドレスコートしないと」


「今度四人で買い物に行きましょう」


そんなやり取りをしている二人を陰から聞き耳をたててる人物がいた。


「私も行きたい!」


そう。フラット王女だった。


「こんなところで働くんじゃなくて、王子様と結婚したら贅沢三昧できるじゃない」


決意を固めるのであった。


その日の午後。


「馬車ですか。なんだかんだいって結構しますよ?」


旅の商人を城に招いた。私とオカリナなら飛んでいけるがヴィオラやクラリも一緒となると話は別だ。おんぶするわけにもいかないし。


高いなぁ。私の手持ちじゃきついなぁ。


見積書とにらめっこをしていると、


「最近珍しいものがあるんですよ。その名もレンタル馬車」


「なんじゃそれは?」


「三日間有効の馬車です。有効期限が切れたらパッと馬車が消えます。これなら買わなくてすむし安いですよ」


「帰り道困るではないか。まぁ仕方がない。今後のことも考えて普通の馬車を買うことにしよう」


「ありがとうございます!」


商人は商談が成立し、喜んで城を出ようとすると、


「私にレンタル馬車を貸してちょうだい」


「あなた様は?」


「ナチュラル王国王女フラットよ。訳あってここで働いてるわ」


「左様ですか」


王女だと聞いて商人はウキウキで商談をはじめるのであった。


翌日。


「姫様。フラット王女が怪しい動きをしています。どうやら舞踏会に行きたがっている模様です」


勤務時間前。フラットは働きたくないのでそれまで自室から出てこないことを逆手にとってオカリナが報告してきた。


「連れてく? 一応あれでも王女だから何かあっても嫌だったのよね」


「確かに。ピアニカ帝国の狙いも把握してませんしね」


「でもなんで舞踏会に行きたいんだろ? ぶっちゃけ知らない人だらけの中に行きたくないんだけど」


「いずれ姫様の配下になるでしょうから、有能そうな人物には目星をつけておくべきかと思います」


「正直食べて飲んでいるだけがいいなぁ」


「何をおっしゃられます。食レポの修練の成果を見せる時です」


「宝石箱なんか言いたくない!」



フラットはここで働いてわかったことがあった。基本日当だが頑張って成果をあげれば、少しだが給金が増えることに。


「レンタル馬車代はなんとかなりそうだけど、ドレスがないわ。ナチュラル王国に行けば数えきれないくらいあるっていうのに。お兄様に手紙を送っても必要ないだろって返されたわ」


全てがバレバレなのだが、念密な計画をたてるフラットなのであった。


「シャンデリアが落下して死体に悲鳴をあげる修練ってなんなのよ」


オカリナに渡された修練書を読みながら一人ブツブツ文句を言う私。


「紅茶をご用意致しました」


フラットが気を使ったのか持って来た。


「フラットよ。今度ピアニカ帝国で舞踏会があるのじゃが」


言いきる前に、


「行きます! ぜひ行きます!」


「そういうの好きなのか?」


仮にも王女である。幾度も経験して来たのだろう。


「舞踏会はどうでもいいんですが、王子様は好きです」


「え? ああいうのが趣味なの?」


私は唖然とした。オカリナの話によるとピアニカ帝国は。


「好きです! 大好きです! ぜひ結婚したいです!」


思い出す前に押しきられてしまった。まぁここは異世界だし、私の知らないことも多々あるし。恋愛は自由だし。


「そうか。そこまでは言うのなら」


連れて行ってあげよう。と言いかけると、


「それはなりませぬ」


オカリナが姿を現した。


「当日、ナチュラル王国のシャープ王子がかわいい妹を一目見たいと申し上げて来ました。折角ですし家族水入らずさせてあげたいと思います」


「私はお兄様よりも王子様に会いたいんですが!」


「それは兄弟で話し合ってくれ。私は伝言を頼まれただけだ」


「シャープ王子は舞踏会に行かないのか?」


「呼ばれてすらいない。だそうです。なんか企みがうっすらと見え始めました」


「なるほど面白い。フラット王女よ。いい機会だ。兄にうんとあまえるがいい」


悔しそうなフラットだったが仕方がないと思うことにした。



さらに一週間後。


「フラットよ。留守は任せたぞ」


「お任せ下さい。姫様」


四人を見送った後、フラットは私の部屋を開けようとしたが鍵がかかっていて、地団駄を踏んだ。


「ちょっとドレスを借りようとしただけなのに!」


オカリナの自室に向かう。毎回似たようなゴスロリドレスを着ている。趣味は悪いがメイド服よりはマシだと判断した。


「姫様であっても立ち入りを禁ず」 


フラットは躊躇した。入ったら殺される気がした。


結局あきらめて城門前に立ち、馬車が来るのを待った。


行けても帰る駄賃もないしバレるのよね。


綺麗なドレスもないし、王子様に相手にすらされないだろう。


それに姫様はもちろん、憎たらしいオカリナや身分の低い村長も美しいのは認める。それに比べて私は。


と、途方に暮れるフラットの前に、


「何してるだべ?」


確か薬師のバスクラといったか。フラットにウンコを飲ませようとした彼女目線からしたら極悪人だ。


それでま命の恩人であることは間違いない。


「舞踏会に行きたいけど行ったところで無意味って悟ってたのよ。ドレスもなければ靴もないわ」


「そんなもん医師のフラットさんに言えばいくらでもあるだ。あの人、神なだけあって綺麗な服だの靴だのいっぱい持ってるだよ」


フラットの目に光がさした瞬間であった。


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