1-3
『あー…顧問が言ってた気が逸った生徒ってお前らか』
今思い出しましたと言いたげな口調で、一人頷く姿も絵になるのは如何なものかと思う。
その隣で笑顔を崩さずずっとのほほんとした様子で見つめていた副部長の武石先輩が口を開く。
『蓮司くん、取り敢えず新入部員に自己紹介した方が良いんじゃ無いかなぁ?』
『それもそうか。勧誘会でも軽く挨拶していたが、俺がオカルト部の部長で間宮蓮司だ。先輩でも部長でも好きに呼んでくれ』
座っていた椅子から立ち上がり自己紹介する辺り、口調以外は紳士的なんだなと思ってしまった。多分失礼だから口には出さないでおこう。
『はいっす!部長!!顔は綺麗なのに何で口調はそんなにキツいんすか?!』
『あ?』
木ノ下くん?!???って隣に立つ私は目を白黒させてしまった。眉間に皺を寄せ明らかに不機嫌そうな表情の間宮部長はジロリと木ノ下くんを見る。
隣に立つ武石先輩も、様子をずっと見ていた隅の方に座る他の先輩二人も笑いを堪えていた。
『……そんなにキツいか?これが通常運転だからあんまり気にしなかったな。と言うか、お前らも笑ってないでフォローしろよ』
不機嫌そうな顔だと思っていたが、実は困惑していただけのようだった。こう言う所は少し不器用さがあるのかも知れない。
『いや、フォローのしようが無いでしょ。あ、アタシは加賀谷イチカ。よろしく』
眼鏡を掛けた少し吊り目気味の目元に知的さを感じる先輩が、口元を歪めてニッと笑む。あー多分女子生徒に別の意味で人気だろうなと感じてしまった。
『俺は篠崎純。まぁ、俺は色んな所に助っ人に行ってることが多いから、顔を合わせることは少ないかも知れないが所属はオカルト部だ、よろしく』
オカルト部員にしてはガタイの良さが際立つ先輩は、案の定色んな部活を掛け持ちしているようだ。身長は幾つあるのかな、180前後だろうか。部室の天井が窮屈さを感じさせる。
『私は副部長の武石美郷だよ。さっきまでの惨状のような事が多いから部長が必ず出ないと行けない所以外は、私が立ち会うか出席する事も多いかも。覚えていてね?』
周りの空気が一気に浄化されるようなほのぼのとした微笑みを浮かべる副部長は、言葉の端々に圧を感じさせる。実のところの黒幕かも知れないと思っておこう。
『以上、現在のオカルト部の部員は2年の4名だ。3年も数名居たが、文化部は基本的に4月には引退する。運動部に関しては大会やインターハイなんかがあれば、それが終わるまで在籍って感じだな』
説明を聞きながらうんうんと頷く新入生の私達。そんな中、元気よく手を挙げて質問をする木ノ下くんはとっても積極的だと思う。
『はい!本格的な部活の活動はいつからっすか?!』
『2人は既に入部届を出してくれてるから、実質今日からが活動で良いはずだ』
『やったー!じゃあ、明日からオカルト漬けっすね!!よろしくお願いします!じゃあ、俺は用事があるのでお先するっすよ!また明日!』
それだけ伝えると木ノ下くんは勢い良く駆け出し、また明日の辺りは声が遠すぎて微かに聞こえるぐらいだった。え、結構自由人過ぎる。
その日は挨拶だけ、と言う事もあり部活動は終了した。
そして、それから一ヶ月ほど経った。




